漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説2
<クイーン名人との出会い編18首~47首>
ちはやふるストーリー 第18首 - 第29首
※この記事には、ちはやふる ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。
かるた部が悲願の全国大会へ出場する― 新との再会とクイーンとの出会いがもたらすもの
ちはやふるには、かるた大会の個人戦、団体戦で数多くのライバルが登場します。多くのライバルの中でも、東京都予選大会で決勝を戦った強豪・北央学園は、よきライバルであり、時には一番の味方にもなります。
千早たち瑞沢かるた部は、北央学園との熱戦を制し、全国大会への出場権を手にします。そして東京都代表として競技かるたの聖地・近江神宮へ赴きます。
近江神社とは、
第38代天智天皇をまつる近江神宮は、天智天皇の古都、近江大津宮(大津京)跡に鎮座する神社です。滋賀県西部の大津市中心部にほど近い、琵琶湖西岸の山裾にあります。旧官幣大社・勅祭社で、社殿は近江造り・昭和造りといわれ、近代神社建築の代表として登録文化財となっています。
開運へのみちびきの神、産業文化学問の神として崇敬が深く、また漏刻(水時計)・百人一首かるた・流鏑馬(やぶさめ)で知られ、境内に時計館宝物館があり、漏刻・日時計なども設けられています。
千早は福井での一件以来会えていない新に、自分たちが全国大会での団体戦で勝ち進んでいることをメールで伝えていました。
近江の地で、ふたたび新と再会できるのではと期待を膨らませる千早でしたが、新が試合に出場していないと知り、一時落胆していました。しかし、試合には出場しなかった新は、同じ近江の地に訪れていました。
ちはやふる 5巻(24首~29首)では、千早は個人戦に出場します。そこで対戦したのは現クイーン・若宮詩暢(しのぶ)でした。
近江の地で「かるたが好きだ」と改めて自分の気持ちをかみしめる者、日本一を本気で目指し生みの苦しみを味わう者や、待ち望んだはずの再会を心から喜べない心境を抱える登場人物たちの姿が描かれています。
第18首~29首の中で特選の見どころを登場人物ごとにご紹介していきます。
ちはやふるの見どころ・千早(ちはや)編 夢が本物の夢になるとき
二次元目!より
千早は、初の全国大会での個人戦で現クイーン若宮詩暢(しのぶ)と対戦します。クイーン若宮との熱戦に敗北をし、自身に足りないものを知り、クイーンとの実力の差を痛感し、ひとり悔し涙を流します。
本気で味わった苦い経験は、これからの千早をより強くしていきます。千早自身にとっては、何となく描いていた夢がリアルな目標になった出来事でした。
この日から千早は、「打倒、若宮詩暢」を胸に、より一層かるたの練習に打ち込んでいきます。ライバルの存在は、いつの時代でも青春ドラマには欠かせないものです。
ちはやふるの見どころ・太一編 一番近くにいるのはいつも
良きマンガ求ム!より
ちはやふるファンには太一のけなげな姿を応援する人も多くいます。多くの太一ファン(おそらく女性)が、彼の評価をさらに高くした場面を一つご紹介します。
悲願の全国大会の団体戦で千早は体調を崩し、試合中に倒れてしまいます。千早が畳の上に倒れる前に太一が千早を支え、「綾瀬棄権します」と一言だけ告げる場面です。このシーンが「イイ!」らしいです。
太一自身も試合中なのに、部長として周囲をよく見ているところはさすがです。さらに、千早のことをいつも一番近くで見ているのは太一だということを印象づけます。新に対してでしょうか。
ちはやふるの見どころ・新(あらた)編 もう一度自分と向き合うとき
良きマンガ求ム!より
全国大会が開催される近江で、新が祖父との思い出にふける場面です。新は、千早が太一に抱えられて試合会場を後にするところに出くわし、体調不良から試合を棄権した千早に付き添うことになりました。
棄権したことを心から悔やむ千早を目にした新もまた、自分のまっすぐな気持ちを思い出してしまいます。
新はその後、子どもの頃の新を知る人物からの「きみのかるたは綿谷先生そっくりだから」という言葉に、祖父が教えてくれたかるたが好きだという本来の気持ちも噛みしめます。
そして、競技かるたの聖地・近江神宮で、新はついに競技かるたの世界へ再び帰ってきます。
ちはやふるの見どころ・クイーン若宮詩暢編 期待を裏切らない個性
ちはやふる登場人物は、エキストラも含めて濃い登場人物が揃っています。その中でも千早の最大のライバルであり、クイーンの若宮詩暢は、期待を裏切らない個性的なキャラです。
「スノー丸」というキャラクターが大好きで、周囲からは「ダサい」と言われるセンスを惜しみなく披露しています。動いたりしゃべったりすると美人に見えない「無駄美人」とも言われている千早との共通の趣味がある点は、漫画のあらすじに面白さを添えています。
ちはやふるストーリー 第30首 - 第47首
名人位・クイーン位挑戦にかける想い
※この記事には、ちはやふる ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。
クイーン若宮詩暢との熱戦で、クイーンの圧倒的な速さと強さを目の当たりにし、千早はさらなる高みを目指て練習に励むようになります。
恩師である「府中白波会」会長の原田先生のアドバイスや、名人位・クイーン位挑戦者決定戦で出会う「準クイーン」とも呼べるライバルたちとの試合を通して、千早は自分の武器を磨いていきます。新たな武器を獲得しようともがく千早の姿に、感動の内容が詰まっています。
クイーン・若宮に続き、名人・周防久志の登場で、新と太一の競争心に火がともり、千早をめぐる関係が動き始める段階です。
ちはやふるの見どころ・新と太一のライバル関係編 負けたくないのは試合だけじゃない
良きマンガ求ム!より
名人位・クイーン位への挑戦権をかけた個人戦には、新もいました。新が戻ってきたことで、千早をめぐる関係を不安に思う気持ちと友人が昔の姿を取り戻したことへの喜びの気持ちで、太一は大きく揺れ動きます。いろんな気持ちがこみ上げて来るのでしょう。
一方の新は、個人決勝戦まで進みますが、ここで、小学生の頃に在籍していた白波会の先輩に破れます。
悔しい気持ちでいる新のもとに太一がやってきます。かるたから1年半も離れていた新に、ライバルとしての言葉をかけるのですが、その時の表情はかるたと千早への気持ち両方に含みを持たせています。この表情は、ぜひ漫画「ちはやふる」でお楽しみください。
ちはやふるの見どころ・千早の変化編 ここにいたらいいのにと思う相手
漫画ノススメより
競技かるたの練習に励む瑞沢高校かるたの部員たちも、クリスマスイヴはそれぞれクラスの友人と過ごすことになりました。
クラスの友人と過ごす時間を楽しみながらも「部のみんながここにいたら、もっといいなぁ」と言う千早に、机くんが、「ここにいたらいいのにと思う相手はもう家族なんだって」と言います。ここで千早が思い浮かべたのは、新の姿だったという場面です。
ちはやふるの見どころ・クイーン若宮詩暢(わかみや しのぶ)編 まさかの激太り
良きマンガ求ム!より
クイーン位挑戦権をかけた個人戦まであと一歩のところだった千早は、テレビの前で若宮のクイーン防衛戦を観ていました。
テレビ画面に映った若宮が、以前の華奢なクイーンとは違う、まったく別人の姿になっていることに驚きます。太っていたのです。太った理由も、さすがクイーンと思ってしまうものなので、ぜひ漫画でお楽しみください。
どうしたら短期間でこんなに体型が変われるのかと思ってしまうのは私だけでしょうか・・・やっぱり「ちはやふる」の登場人物はみんなキャラが濃いです。
ちはやふるの見どころ・駒野くん(机くん)編 机くんの名言
百人の友達より
ちはやふるは漫画もアニメも両方で隠れファンが多いと言われます。コアなちはやふるファンからそう聞きました。
瑞沢高校かるた部員の机くんこと駒野くんは、学年首席の太一に次ぐ秀才で、勤勉な人物です。机くんだからこそ言える言葉があります。
赤点ばかりの千早は、進級をかけて定期試験前の勉強を机くんに教えてもらいます。図書館で勉強をしていた駒野くん(机くん)と千早、西田くん(肉まんくん)の三人は、当日は名人戦・クイーン戦直前の大会の日で、太一はその大会に出場していました。
どうしても太一の応援に行きたい千早は、こっそり図書館を抜け出して試合会場へ行ってしまいます。
試合会場から図書館へ戻った千早にかける机くんの一言がかっこいいです。大人の自分にもズシリとくる一言でした。
まとめ
前回に引き続き、今回もネタバレし過ぎないように千早、新、太一それぞれのクイーン位・名人位にかける思いと個人が成長していくちはやふるの展開を解説しました。
クイーン若宮と名人・周防は、その強すぎる才覚から孤独にかるたを続けていますが、千早たちの成長で、この二人にも変化が生まれていきます。
ちはやふる第18首以降は、かるた部員のメンバーはもちろん、クイーンや名人をはじめとしたライバルたちからエキストラまで、個性豊かなメンバーが続々と登場していきます。
ちはやふる 第48首以降では、高校二年生になった千早たちかるた部にも新入部員が加わり、千早・新・太一の関係にも大きな変化が訪れます。
ちはやふるの相関図が見たい方はこちらの記事をどうぞ → 漫画でわかる競技かるたを描く青春ドラマ「ちはやふる」の徹底解剖
次回も、ちはやふるの展開をネタバレも交えながらその面白さをお伝えします。
以上、漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説2<クイーン・名人との出会い編18首~47首>でした。
ライタープロフィール
川添 勤(かわぞえ つとむ)
1968年生まれ。2010年フォロワー数20万人超えの「ハマコーTwitter」をプロデュース。
当時、日本のTwitterフォロワー数ランキングトップテン入りに貢献する。
2011年、故浜田幸一氏の最後の本となる「YUIGON」(ポプラ社)を監修。ベストセラーとなる。
2014年2月、キッザニア日本の創業者住谷栄之資氏の「キッザニア流!体験のすすめ」監修。
2014年10月には10万部を超えるベストセラーとなったゲッターズ飯田の「運命の変え方」に企画協力。
この記事で紹介した漫画
ちはやふる(4)
千早(ちはや)は、転校生・新(あらた)が、小倉百人一首競技かるたの札を払う姿に衝撃を受け、同級生の太一(たいち)とかるたを始める。卒業で新と離れた千早だが、再会の日のため、強くなることを太一と誓う。そんな二人の情熱に導かれた瑞沢高校かるた部の仲間と、都予選での熱戦を制した千早は、全国大会の会場、夢に描き続けた近江神宮を初めて見上げる。一方、新もまた、ある秘密を背負い、同じ近江の地を踏みしめていた!?
ちはやふる(5)
初めての全国大会団体戦で、まさかの途中棄権に涙を飲んだ千早(ちはや)。悔しさを抱えつつも、仲間たちの声援に支えられ個人戦へと挑む。いよいよ始まる、トップレベルの選手たちの戦い。まだ見ぬ強さに胸を高鳴らせる千早のまえに、彼女は現れた。史上最年少クイーン――若宮詩暢(わかみやしのぶ)。未知なる強さ。空前の速さ。ライバルなき世界を知るのは、彼女ただ一人――。
ちはやふる(6)
千早(ちはや)に刻み込まれた、クイーン・若宮詩暢(わかみやしのぶ)の圧倒的な強さ。より速く、より鋭く――さらなる高みを目指して練習に打ち込む千早の姿は、仲間と周りの人々をつき動かしてゆく。迎えた公式戦、部員それぞれが目標を掲げて挑む中、千早は、初戦の相手に意外な弱点を見抜かれてしまう――。競うものはただひとつ――心。瑞沢(みずさわ)高校かるた部が、突き進む!!
ちはやふる(7)
間近に迫った名人位・クイーン位挑戦者決定戦予選。それは、最高クラスのA級選手しか出場できない特別な場所。千早(ちはや)と新(あらた)に追いつきたい――焦る気持ちを胸に、A級昇級をかけた大会に一人挑む太一(たいち)は、そこで新と出会う。太一の応援にかけつけた千早。再び巡り合った3人の思いは!? 思い強まり、夢走り出す巡り合い。かるたで響きあった3人の絆が再び――!!
ちはやふる(8)
熱気高まる名人位・クイーン位挑戦者決定戦・東日本予選。初戦で小6のスピードスターを下し、勢いづく千早は、続く2回戦でも前クイーンを相手に爆発的な攻めを見せる。精鋭たちが繰り広げる熱い戦い。それを見つめる一つの影が……。選ばれた者だけが立つことを許される夢の舞台。勝ち上がるのは――? 名人&クイーン、そろい踏み! かるた界最高峰がいまベールを脱ぐ!!
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