紙の本
高橋是清の財政政策と東日本大震災後の政策をむすびつけているが…
2012/04/24 21:57
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投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
高橋是清の財政を検証し肯定して,それと比較して東日本大震災後にとるべき政策として国債の日銀ひきうけを主張している. 高橋財政に対しても評価しない意見がすくなくないが,それ以上に,当時と現在との世界経済の差をかんがえると,「高橋財政の成功」 が,いまとるべき政策を支持する理由にはならないようにおもえる.
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震災後に、何冊かの経済、復興に関する本が緊急出版された。それらのうちの一冊。何らかの形で仕事を通じて復興に携われないものかという漠然とした思いの中で手に取った。
関東大震災、第二次世界大戦、阪神大震災という3つの大災害についてレビューし、今回の震災で復興はどうあるべきかを提言している。
以下のような記述は納得がいった。
・復興の財源は国債発行でねん出し、国債は日銀が引き受ける。
・今回の福島原発による損害は、今まで隠れていた原発の費用が顕在化したものである。したがって、この費用は本当は電気利用者が事故が起きる前から負担すべきであったもの。従って、原発災害の対策費用がこれから電気料金に上乗せされることは合理性がある。
・現在は原発のコストとして、事故時の対策費用、使用済み核燃料のリサイクルや処分の費用が含まれていない。これらはコストとして内在化して電気料金に反映されるべきだが、そうすると、原発は高コストとなり、現実的な電源とはなり得ない。
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3月の震災から約1ヶ月弱しか経ていない段階で、よくもこれだけの資料を集め、まとめることができたものだと驚く。そういう意味でのスピード感をとても感じる。エネルギー政策の箇所などは正直、これからの議論が必要かと思うが、それでも読み応えがありました。
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リフレ派経済学者の著者が,今次の震災復興について,関東大震災,戦後復興,阪神淡路大震災の歴史を踏まえて論じる。国債の日銀引受によって復興支出を増加するのが肝要としている。国債日銀引受は従来からの持論らしい。
復興国債を民間が引受ける場合は,財政支出の乗数効果だけにとどまるが,日銀が引受ければ,それに加えて貨幣増加による需要拡大効果もあるという。ただ,財政法は国債の日銀引受を原則禁止してる。これは政府がそれに頼って放漫財政に陥ることを避けるため。
戦前の高橋財政で,国債の日銀引受は行なわれた。これは失敗だとする考えもあるが,高橋の暗殺までは昭和恐慌からの脱却に一定の成功を収めていたそうだ。
戦後復興でも国際や金融債の日銀引受が行なわれた(石橋財政)。このときハイパーインフレが起きたとされるが,これは貿易が封鎖されていたために,原油など原材料が圧倒的に不足していたからだそう。そんなものなのか。この辺の理論は良く分からないな。学者にも意見の相違があるみたい。
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日銀による国債の直接引受がハイパーインフレには
必ずしも繋がらない、という論証として
戦前の高橋是清蔵相の政策が取り上げられていますが
この辺の史実がわかりません。
こちらを詳しく取り上げた金融経済史書をつぎに読もうかと
思います。
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確かに今の時代にマッチしている人選ですね。デフレ脱却、増税阻止に最適かも。
学者らしくなく、とてもよくわかりました。