紙の本
4篇それぞれに仕掛けがあり、ウマい!という感じ。
2008/04/28 09:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題の「フィッシュストーリー」の他、「動物園のエンジン」「サクリファイス」「ポテチ」の4篇を収めた短篇集。よく練られた展開と小気味いいトリックで楽しませてくれる。4篇それぞれに仕掛けがあり、ウマい!という感じ。
ストーリーを一番楽しむことができたのは「フィッシュストーリー」だ。フィッシュストーリーとは、ホラ話、大げさな話のこと。釣った魚のことは大体実際より大きめに言うことが、言葉の由来らしい。
「僕の孤独が魚だったとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに鯨でさえ逃げ出すに違いない。」という一節から始まる小説を通じて、40数年の時を越えた4つの物語がつながる。それも、一連の物語の発端となる、ミュージシャンのレコーディングの時に、マネージャが言うヨタ話に、大まかに沿った形で続く3つの物語が起きる。
それぞれの物語も、ありそうでなさそうな限りなくホラ話に近い話。それらが細~い糸で、しかししっかりと結び合わさっている。いやいや大したものだ。
もう一つ良かったのは「ポテチ」。重力ピエロにも登場する、黒澤という本業は泥棒で、副業が探偵というハードボイルドなおじさんが良い味を出している。ちょっとした人情話なんだけど、登場人物の振る舞いが可笑しくて笑えた。
他の2篇は、少し期待ハズレだった。もちろんストーリーに仕掛けはあるのだけれど、今一歩平板な印象がしてしまった。短篇になり切らない習作といった感じか。
特に「動物園のエンジン」は、ある人物が動物園の敷地から足を離したとたんに、辺りが暗くなり音のボリュームも下がる、という独特な設定で一旦はその世界に引き込まれた。それなのに、この設定はその後のストーリーに一切絡まない。残念だった。
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あぁ、幸せ。読めて幸せ。この作家を知っていて幸せ。出来ることなら、最後まで読みたくなかった。黒澤さんも好きだし、甲乙つけがたいけど、一番印象に残ったのは表題作。
そういえば、泉ヶ岳に行きたい。奈良や大阪ではなく、仙台を車で走りたい。
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初めて伊坂幸太郎の作品を読む、という読者にとって、この本は面白いと思えるかどうか・・どうなんでしょう?^^;
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2007/2/4読了。
短編集、と言いつつ4つのうち2作品は連作(「重力ピエロ」や「ラッシュライフ」で出てきた'黒澤'さんが暗躍(?)します。犯罪者でありながら、どこか憎めない人たちがたくさん出てきます。
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今までの伊坂作品の中で、登場した人物が再登場する短編集とのこと。数冊読んだ(死神の精度以降)伊坂作品は好きなのですが、読んだことのない作品の登場人物ばかりだったので、本編を読まずにいきなり外伝を読んだような感覚に。関連のある作品を読んで再読したいと思います(2007.2.5)。
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2007/2/6 伊坂幸太郎の新刊である『フィッシュストーリー』を読む。本作は初の短編集で2001年初出の作品から書き下ろしまで計4本が収録されている。どの作品も、過去の作品の脇役が登場しているらしいのだが、伊坂作品によく登場する泥棒で探偵の黒澤以外は、何となく、あの辺りの作品にいたかなぁくらいで、どれがどの作品かは分からなかった。まぁ、そういうマニアではないし、記憶力が悪いのは昔っからなのでそういう細かいことは気にはしないで読んだ。というわけで、過去の作品を読んで無くても読める短編集です。
表題作の『フィッシュストーリー』と『ポテチ』の2作がとても面白い。僕はやっぱり最近の伊坂幸太郎の作品のほうが、昔の作品よりも好きなので、この2作が面白いと感じるのは当然だと思う。
特に『フィッシュストーリー』のような、誰かがやった何かがが、どこかの誰かに繋がっているという物語は好きです。ここでやった何かがどこかの誰かに影響を与えて物語が作られる。これって、何だか素敵なことだと思いませんか?人と人との関係とか距離とか時間とかを超越して、何かが生まれてその派生で何かが起こる。
まぁ、良いことばかりが起こるわけじゃなくて、実際は悪い方向で動くことも多いんだろうけど、そんな中で小さくても良い影響を与えることができたら、これって何だかスッゴク楽しいことだなぁと思います。実生活でそんな俯瞰的な見方はできないので、伊坂さんのような作品でこういう話を読むことができると、見えないどこかで楽しいことが起こっているんじゃないかなぁと思って、生きていく事も案外面白いもんだと思ったりします。
僕が伊坂さんが好きなのは、他にも、文体、世界観、登場人物の相互の関係性、そして、現実的でいながらもロマンも信じているといったところでしょうか。彼の作品を読むと(特に最近の作品では)、社会や人間、自分の生活のことなど色んなことを考えさせられるのですが、一方では自分の心の中にある隙間がスーッと埋まるような感じがあって、とても心地よく読み終わることができるので大好きなのです。
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2007.02.09
待ちに待った伊坂の新作…!
今回は黒澤さんのお話でした。でもなによりも今村くんがかっこよかった。ラッシュライフに出てた若い泥棒、彼だったんだな。とってもよかった。かわいくて、おもしろくって。でもものすごい重い人生だ。相変わらず、伊坂はおしゃれで良い☆小技が効いててかっこよい。
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4つの短編からなるが、個人的には3つ目『フィッシュストーリー』が一番好きだ。
『フィッシュストーリー』
売れないバンドの最後の1曲に関連する、違った時代の人々の物語がいくつか。
短編の中にさらに短編だけど、その短編の中の人物が微妙に繋がっている。
この作風はやはり伊坂幸太郎だなと思わせる。
というか、この作風が好きだ。
「僕の孤独が魚だったら....」などいくつか魚に例えた表現が出てくるが、どれも切なく心に残る。
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・『サクリファイス』が結構好きです。表題作もいいですね。他に『ポテチ』『動物園のエンジン』を含む連作。このなんとも言えない独特の雰囲気、かっこいい台詞回しが好きです。・黒澤さんはラッシュライフに出ていたことは覚えていたのですが、重力ピエロにも…?
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「フィッシュストーリー」が良かった。
レコーディング中の語りが最高!
もしかしたら、みんな世界を救っているかもしれません!
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伊坂さんの新作!これも短編集です。
あっという間に読んだぁ。
過去の伊坂作品に出てきた人も再び登場したりして、やっぱりこの人の書く小説は好きだなぁとしみじみしました!
物語としては普通な感じ。
だけど読んだ後には少しの幸せ。
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文句なしに面白かったです。個人的に短編大好きな人間なんで。
やっぱり表題作の『フィッシュストーリー』が一番好きですね。
売れないバンドのメンバーが、最後の録音中に間奏のところで「これは誰かに届くのかなあ」とか独白する場面が、とてもよかったです。
それとたびたび出てくる、「僕の〜が魚だとしたら、そのあまりの〜で、〜だろう」と言うフレーズもとても良かったです。
そのバンドのつたない願いが、数十年後の世界に大きな影響を与える、と言う展開も良いです。
他の短編も、伊坂さんらしさが出てて、すごく面白かったです
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伊坂作品をコンプリートしているわたし的には、新聞で見た時に、すぐにネットで注文して読みました。
作品紹介にもありましたが、あれに出ていた○○がここにも・・って、伊坂氏がよく使う手法、前は興味を持って読めましたが、今回はう〜〜〜ん・・・・・って正直、感じだったのです。
文中登場の彼、キャラ的には好きなんですよ、私。
だけどぉ・・・チルドレンやグラスホッパーを読了後に得た興奮がなかったのが残念でした。
短編集で、最後のポテチ、昨今話題の東京タワーがちょっと臭っちゃったのは私だけでしょうか・・・
伊坂氏に念を送っちゃおうかしら・・ブツブツ
とか言いながら、また新刊出たら注文しちゃうんだろうけど^_^;
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この本には「動物園のエンジン」、「サクリファイス」、「フィッシュストーリー」、「ポテチ」の4つの話が収められている。懐かしい人物に会えたような作品や似た人を思い出す作品のなか、売れないロックバンドが歌う『僕の孤独が魚だとしたら…』から不思議な物語が紡ぎ出されていく。
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「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」
黒澤氏のキャラクローズアップで堪能。
伊坂氏はやっぱり長編ものの方が好かな。