- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
紙の本
女子サッカーへの応援歌
2004/08/12 16:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あきすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は最近注目されている女子サッカーに興味を持った人向けの簡潔でわかりやすい入門書であると同時に、サッカーをしたいと思う(もしくはしている)女性からその家族、そして選手を支える人々までをふくめて、女子サッカーに携わる多くの人々のための貴重なヒントをふくんだ一冊となっている。
本書の著者は『新・サッカーへの招待』(岩波新書)などの優れたサッカー入門書があるサッカージャーナリストの大住良之氏と元日本女子代表のライター、大原智子氏で、本書の構成は以下の通り。
第1章は日本女子サッカーの始まりからLリーグの結成、バブル崩壊の波を(ある意味男子以上に)受けた苦難の時期、そして世界への躍進を始めるまでの日本女子サッカー史をまとめている。
続く第2章では世界の女子サッカーの始まり、差別を受けた歴史、そこからワールドカップ、オリンピックへと発展していった世界の女子サッカー史がまとめられている。ここでは現在の女子サッカー界を支える代表的選手、ミア・ハム(アメリカ)、ビルギット・プリンツ(ドイツ)、スン・ウェン(中国)、ハンナ・ユングベリ(スウェーデン)が紹介されているのも興味深い。
また第3章は日本の女子サッカーが抱える問題が紹介されている。100ページに掲載されている女子サッカー人口の分布グラフは必見。おそらく大きな問題のいくつかを理解していただけると思う。女子選手育成に取り組んできた横須賀シーガルズFCのクラブ代表へのインタビューも掲載されている。
そして第4章は日本女子サッカーの頂点・Lリーグの歩みと所属チーム紹介、最後の第5章は日本代表のFW澤穂希選手とMF酒井與恵選手の女子サッカー選手としての歩みに関する対談という構成になっている。
サッカーを観戦する人、プレーする人、それを支援する人とサッカーの関わり方によって関心の持ち方は様々であり、本書を読む際にもそうした関心に沿って読まれるのではないかと思うが、本書に関してはいずれの関心からスタートして読んでも充分に興味深く読むことが出来る構成になっている。
それでも特に本書で興味深かったのは女子サッカー普及をめぐる問題である。注目が集まってきたとはいえ女子サッカーはまだ選手育成のシステムや選手のプレー環境など、これから芽を育ていかなければならないまだまだ発展途上の段階にある。女子選手がとくに「サッカーをすること」に関して男子選手以上に非常に自覚的に取り組んでいるのは、自分の置かれたプレー環境の中においては必然的なことであったと思われる。
サッカー協会などでも取り組んでいるようであるが、まだ完成したとは言えないようであるし、サッカーを続けていきたい女子選手には悩みも多い状況であるのだろう。
そうした現状の中で、冒頭でも書いたとおりに本書はこれからサッカーに取り組もうという女性(特に小中学生)やその周りの支援者がこうした問題を考える上での(解答ではなく)ヒントが多く読みとれる点が貴重である。
タイトル通り、本書は女子サッカーへの愛情あふれた一冊なのである。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |