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紙の本

「字幕屋」さんの矜持が伝わってくる一冊。

2011/10/23 16:34

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本は昨年末に読んだ「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」で触れられており、興味を持って手にした。1988年に出版された本で、オンライン書店でも新品を入手することは困難な本である。
著者の清水俊二氏は明治39年生まれ、この文庫本が出版される数ヶ月前にこの世を去られた。戦前から映画字幕の仕事に携わっていらした。タイトルからは字幕の作り方が書かれたHow to 本を想像するが、内容はそうではない。映画字幕に関わる様々なエピソードを綴ったものである。

しかし、ところどころで「字幕作成講座」のようなものが愉しめる。外国映画の台詞をまずそのまま載せ(ほとんどが英語である)、そうして「さあ、この字数で上手く日本語で字幕を付けてご覧なさい」と読者に投げかけるのだ。これが思いの外、難しい。私はあまり英語が得意ではなくボキャブラリーに乏しいから当たり前なのだが、英語に自信のある方でも「字幕作成」という特殊な作業は難しく思われるのではないだろうか。原文を直訳すればOKというわけではない。以前、「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」でも触れたけれど、映画のストーリーをよくよく理解していないと字幕は作れない。
例えば「You」という言葉ひとつにしても日本語では、「君、あなた、お前、貴様」、まだまだある。もしかすると「あなたたち」と複数かもしれない。そういうことを全てチェックした上で字幕というものが作られていくのだ。しかも、そうやって苦労して作った字幕は観客にその苦労を意識されてはいけない。映画の鑑賞を少しでも妨げるような字幕は失格なのである。空気のように、ストーリーの流れに沿って、字幕を読んでいることを意識させずに、それでいて内容はちゃんと伝えなければならない。ほぉ…。大変な技術である。

戦前から映画字幕作成に携わってこられたということで、その時代ごとの字幕作成の世界の流れをかいま見ることができる部分は、非常に興味深く読んだ。日本からサンフランシスコまで片道で二週間かかった時代や、航空機にベッドがあった時代。今では信じられない時代だ。

そう言えば、改めて考えると当たり前なのだけれど、言われて初めて認識した事実。字幕一枚一枚を手書きしていた、ということだ。昭和の時代、私が観ていた字幕はどうなのだろう。あれもまだ手書きだったのだろうか。そんなことを意識しないほど、「字幕」は映画に溶け込んでいた。

最近は字幕派より吹き替え派の方が多いとも聞く。ディズニー映画だと必ず字幕版と吹き替え版が同時上映されている。しかし、私が小・中学校の頃に観ていた外国映画は字幕しかなかった。「E.T.」も「アニー」も「ネバー・エンディング・ストーリー」も「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も。それでもストーリーを楽しむのに何ら支障はなかった(小学校にまだ入学していなかった弟も字幕版で「E.T.」のストーリーをちゃんと飲み込んでいたのだから、考えてみると不思議である)。それだけ「誰にでも、どんな世代にでも理解できる字幕」というものが創られていたということなのだろう。字幕で読み取れない部分があったとしても、映像や音から自分自身で補っていたのかもしれない。吹き替えはTVだけでしか観られないという時代だった。

清水氏は字幕の話を「苦労話」として捉えられるのを好まなかったという。楽しんでやっていたのだから、と。本書からは、著者の「字幕作成」という仕事に対する矜持というものが伝わってくる。そうしてその仕事に対する情熱も。譲れない部分、諦めなければならない部分、その葛藤に触れたエピソードもある。

文庫解説は清水氏の教え子ともいうべき戸田奈津子氏である。清水氏の人柄がよく伝わってくるあとがきだった。

意訳だの誤訳だのと、やいのやいの言われることも多い「字幕」。しかし、それぞれの持ち味があってよいのではないかとも思う。外国映画を自分自身の感覚のみで心底味わいたいのなら、字幕なしでオリジナルを観ればよい。「字幕屋」は「字幕屋」なりのこだわりがあって、「字幕」を創っているのだと思う。それは「演出」と言ってもよいくらいの大作業である。できるだけオリジナルの良さを活かす「演出」だ。そこにある程度、「字幕屋」さんのオリジナル部分が入り込んでくるのは避けられない。それも込みで愉しめる「字幕」映画が私は好きだ。

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2006/08/20 12:26

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2007/03/11 19:35

投稿元:ブクログ

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2011/10/23 16:31

投稿元:ブクログ

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