紙の本
素直な感情表現。
2008/08/22 23:26
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直な話、私はあまりエッセイ集というのが好きではない。いくらお気に入りの作家のそれであっても、大概冷めてしまう。だけどそれは、作家たちが紡ぎ上げる物語が好きなのであって、時に作家たち自身の身近な現実には興味がないと言ってしまえばそうだからだろう。けれど、本書はそんな私にとっては衝撃的で、同じ県民だったということも手伝って心から楽しめたし、興味深いものだった。
本書は、山本文緒は最近書いてないな、好きなのにと思っていた頃に店頭に並んだものである。山本文緒らしく豪快で、大胆な表現法がここにもきちんと生きていた。けれど、そこで終わるのではなく、山本文緒の日常であったり、作家になったきっかけであったり、直木賞候補に挙がった時の感慨などが事細かに描かれている。山本文緒の時間が、本書の中で延々と流れていき、世界が広がっていく。離婚した頃から始まり、いつしか彼女は再婚までしている。
私も神奈川県民だったので、有隣堂という書店が日本で一番大きいと思っていた。山本文緒もそう思っていたという記述、私は思わず笑ってしまった。彼女はやがて、東京の丸善や紀伊国屋の存在をしって圧倒されるのだ。彼女が辿った道を、私も辿っていた事になる。
山本文緒は、作家は副業のつもりで始めたという。作家だけでは食べていけないくらいの生活で、実家に戻ったりしながら、本書の中で札幌に部屋を持つ。作家という職業が、副業から本業になり、朝5時半起きしていたOL時代とは全く違った時間を過ごしていく。直木賞候補に挙がった時の感動が十分伝わってくる。
彼女が書き上げたいくつもの作品には常にリアリティが備わっている。本当に起こりそうな、人間本来の感情であったり事柄であったり。本書を読了した後、その作品が山本文緒から生まれたという事実に、妙に納得してしまう。なるほどね、というのが簡潔な感想ではないだろうか。そして、山本文緒はいつも、何かしら満たされていないように思える。人間とはそういうものかもしれないが、本書はそういった物を顕著に物語っている。東京が好きで、東京に住み続けるだろう彼女を、私はこれからもずっと応援していきたいと思った。
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4/11 あちこちの雑誌に書いたものをまとめたもの。ふつーのことを書いてあるのに「読ませる」のはなぜだろう。なんか悔しい気持ちになった。
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山本文緒、うつ病との闘病を経て久しぶりのエッセイ集。
昔のものもまざってて、時系列がわかりにくい。
枕元において暇つぶしに散読中につき、まだ未・読了。
この人、ホント、生きてるのしんどいだろうなぁ。
だから、女性から人気あるんだろうなぁ。
人の不幸は蜜の味ってことですか。
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2008/10/11友人よりレンタル。日常に近い視点で書かれていて、「あ、こう思う人もいるんだ」という発見があったりして楽しい。すごく読みやすいです。
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作者の31歳から41歳までのエッセイをまとめた一冊。
作者の周りの環境の変化と共に変わる気持ちの変化や、時を越えても変わらない想いなどが分かる。特に、「ここに一人でいる理由」と「贅沢な助手席」が今の自分に共感できた。
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山本文緒さんのエッセイ。
やっぱり自分と性格にてるわーーーってのが多い。
暴飲くらいかなあたししないの。てかできない。
でもとてもいいことだからこそある。
親が死ぬという状況にあらかじめ慣れる為に独り暮らしと言う考え方。そして、日本人はもともと狩猟民族ではなく農耕民族(でも私は狩猟・・・って思う)ゆっくり種をまいてじっくり育てればいいと思う。
人生には成功と失敗の2種類しかないのではない。あやふやでいい。なぜなら、物事を決め付けたい時は心が弱っている時なのだ。こうしなくっちゃ、と思いつめた時こそ無理にでもお休みをとることをおすすめしたい。
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エッセイ。
普段エッセイはあまり読まないけど、
山本文緒がデビュー〜現在(執筆当時)まで
ぎゅぎゅっと凝縮されている本であり、
等身大な感じがすごくおもしろい。
魅力的な人(人間として)なんだな〜と思いました。
エッセイ読まない上に、読んでも読み返すことはないんだけど
これだけはけっこー読み返しました。
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この本に限らず、エッセイって、自分と同じことを感じたり考えている人がいることに驚いたり、安心したりするために読んでいるのだなと思う。ときには自分の考えに気づかされたり、別の視点をもらったり、発見もあるけれど。
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山本文緒さんのエッセイ。
山本さんの本は全部読んでるかもってくらい一時期読んでた。
エッセイも楽しいです。
考え方や伝え方がとてもおもしろくて私は好き。
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山本さんの31歳から41歳のさまざまなエッセイが収録されています。年齢的に自分と近いので読みながら色々感じました。好きな文章です。すごく共感する部分もあり、まったく違う部分もあり、ですが。「天気予報の時間になるとテレビをつける(しかも平井さんの)」のが嬉しかった!そんな人私(と家族)以外にもいるのね、と。その前にうつ病の話(「再婚生活 私のうつ病闘病日記」)を読んでいたので背景もわかって尚理解が深まる感じ。
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2010.5.6 読了
山本文緒さんのエッセイ。
やっぱり、山本文緒さんは小説の方が面白い!!
でも、エッセイもスラスラ読めてしまう。
嫌いぢゃなぃ☆
短編集なので、空いた時間に少しずつ読めるのも楽な感じ。
続きが気になる感じぢゃなぃのに、何故かスグ読んでしまった!
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前から気になっていたのに、店頭では見つけられずアマゾンで注文しました。エッセイを読むたびに感じる、ひねくれ加減と怠惰な時の状態に自分を重ねあわせています。違うのは、山本さんはもっと頭がよく、作家として苦しみながら努力されている点。当たり前でしょ…一緒にすんなって!ですか。
最近は小説よりエッセイの方が穏やかに読めます。
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人の心の動きを愛してる、とあったけど、自分の心の動きもすごく丁寧に観察してる人だなぁと思った。
作家を目指した動機とか、直木賞候補になりたかったの件りとか、リアリティ感じたなぁ。
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『いやなものはいや』で古い友人に対して『もう電話しないでくれる?』と言った山本さんがすごく羨ましく思えた。
私は人を誘うばかりで誘われるという事がほとんど無く、時々誘ってもらえると舞い上がってはい、よろこんで!と返事してしまう。例え相手が苦手だと意識している人であってもだ。
そして返事した後に少し後悔し、いざ会ってみると様々な毒をぶつけられて会うんじゃなかったと大いに後悔する。
気持ちを切り替えようにも会うと返事してしまった自分が悪いと思ってスムーズに切り替えができない。
『だから私はなるべく気が進まないことはやらないようにしている。厭なことは厭だというのが、他人や自分に対する礼儀のような気がしているのだ』
誘われるのは嬉しいけど、会った時にどんな気分になるかを冷静に考えて、厭な気分になると判断したら潔く断ろう。
自分だけじゃなく相手への礼儀にもなるなら。
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私の好きな作家の1人、山本文緒
彼女とは共通点がたくさんあって(勝手にこっちでそう思ってるだけだけど)
かなり親近感が湧く
山本氏の小説も好きだけど、やっぱり本音の部分が垣間見れるエッセイが好き
この本はいろんなところに書いたエッセイを数年分まとめたものです
一人暮らしのダラダラした日常あり、ちょっぴり真面目な話ありと、やっぱり
楽しく、だけどちょっとほろ苦い気持ちにさせてくれる1冊でした
共通点がたくさんある(はず・・・)から、私も山本氏のように40歳目前で
再婚できるかな・・・