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人類と建築の歴史 みんなのレビュー

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みんなのレビュー34件

みんなの評価4.1

評価内訳

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紙の本

人類と建築の歴史/人間の精神は建築に宿る?

2005/10/18 13:32

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:tujigiri - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルどおり、人類の歴史を建築様式の変遷から考察したもの。
本書の目的を有体にいえば、さながら筆跡で人格を観るようにして、歴代の建築物に投影された人間心理を解析しようとする試みということになる。
第一章では進化の黎明期における簡易住居に顕れる「円」の思想を示し、続く第二章では世界各地に散らばる巨石遺構から、それまでの地母神信仰に加えて人類が太陽信仰を具有する過程を明らかにしていく。
第三章と第四章では一般論から離れ、主に日本の縄文住居と神殿建築にスポットを浴びせながら、世界中で独自の建築文化が花開ていく軌跡を追う。
宗教が建築様式を規定し始め、多様性が頂点に達する時代を俯瞰する第五章では、産業革命が地球規模で建築をヨーロッパ型に収束していくまでを解説する。
と、ここまでは、ときに宗教学や歴史学においていまだ諸説紛々たる事象を事もなげにスイスイと定義していく筆運びに半ばひやひやさせられながらも、概してコンセンサスのとれた論説が述べられており、気色もどこかのどかでさえあるのだが、第五章の最終稿と第六章の冒頭において、考察は以下の驚嘆すべき文章によってたちまち金縛りにされる。
『この五歩目を歩みぬいた果てに、おそらく建築の神さまも予想できなかったような不思議な現象が起こる。』
『現在、世界のどの都市に出かけても、似たようなビルや集合住宅が立ち並んでいる。パリでもローマでもエジプトでも東京でもメキシコシティでも変わらない。鉄とガラスとコンクリートで作られた四角な箱に大きなガラスのはまった建物ばかり。十九世紀の世界はヨーロッパの歴史主義建築一色に染め上げられたというのに、二十世紀に入ってのこの変化はいったいどうしたというんだろう。』
そのまま澱みなく現代建築の祖となったドイツのバウハウスを紹介しながら、筆者は二十世紀の人類が数学的な思考を手に入れたことを指摘し、マルクス主義やアインシュタインの相対性理論、フロイト心理学などの極点にいたる前世紀のパラダイムを次の言葉で浮き彫りにする。
『わずか三十年の間にそれまでの歴史主義から切れて幾何学的構成へと純化できたのは、おそらく、目を外から内へと振り向けたからだと私は考えている。過去の造形とか目に見える自然といった直接の外界から離れ、人間の内なる造形へ、意識下にひそむ造形的蓄積へと目を向けたのではないか。』
そして筆者はフランシス・フクヤマが使ったのと同じ言葉で、こう結論付けるのである。
『一つから始まり、多様にふくらみ、また一つへ。人類の建物の歴史は、約一万年して、振り出しに戻ったのである。』
『このことは何を語るのか。』
『もしかしたら二十世紀をもって歴史が終わったのかもしれない。』
建築学とは、なんと鋭い目を持つのだろうか。

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紙の本

<住居>から<建築>へ−−深く洞察力を持つ、啓蒙的入門書

2005/09/29 06:39

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:稲葉芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 えてして、大学のエライ先生の書く「入門書」は細部にばかり拘っていて全体像がまるで見えてこず、ちっとも「入門」的でない書物になりがちである。その点、この藤森氏の著作は、素人にもとっつき易い間口の広さを持つと同時に、面白半分に覗いてみた分野が如何に奥深いものかを教えてくれる優れた啓蒙書になっている。
 そもそも建築史など、ぼく自身はさほど興味を抱いておらず知識も皆無で、書店で拾い読みした際の感触が良かったので何となく買ったに過ぎないが、一読驚嘆、これは凄い拾い物だった。
 筆者は、文明発祥から現在までの建築史を6つの段階に分ける:1)世界共通の石器時代、2)四大文明に分かれる青銅器時代、3)多様さが最大となる四大宗教時代、4)多様性が減退に向かう大航海時代、5)欧州以外では各国の固有性が衰退する産業革命時代、6)世界が一つとなる20世紀モダニズム——この6つである。
このような区分がすっと頭に入るのは、筆者が建築史を表層的に捉える(語る)のではなく、文化人類学的方法で建築を観るからである。その結果、1万年余の大河の歴史を一気に見渡す、息を飲むような素晴らしい鳥瞰図を提示してくれた。
 例えば・・・。旧石器時代は、地母信仰に基づく<住まい>しかなかった。しかし、新石器時代においては太陽信仰が、神の存在を知らしめす表現として建物が作られた。これが<建築>の誕生である——と、筆者は言うのである。
 ××時代の建築は○○が特徴で、これは△△時代の影響で云々という、無味乾燥な歴史教科書でしか<建築>を教わったことの無い人間にとって、このような分析は目から鱗が百枚程落ちるものである。歴史の流れに基づいて個々の建築を並べ立てる従来の「演繹」的建築史に対し、歴史の大きなうねりから根底に在る変革を見出そうとする「帰納」的建築史と言ってもいいかもしれない。
 人間の<生きる>という営為と<建築>が、このように表裏一体となって発達(発展)してきたのだという軌跡を一気呵成に概観して、何か清々しい感動に包まれた。

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