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みんなのレビュー501件

みんなの評価4.2

評価内訳

501 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

良書!ただし、入門書ではないので注意

2006/12/20 22:06

14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これはなかなかの良書である。ただし、「インターネットのことを全然知らないからこれでも読んで勉強するか」という人には少し敷居が高いだろう。日頃ネットに接していればいるほど、ここに書いてあることに実感として共鳴できるのではないだろうか。
 この何年かで僕が痛切に感じていることは検索技術の進化がウェブの世界を激変させたということ。著者はこのことを充分認識した上で、さらに大きな要素をいくつか加えて、ウェブの世界の過去・現在・未来を解き明かしている。
 序章で述べられている、1990年代半ばから現在に至る「三大潮流」は、1)インターネット、2)チープ革命、3)オープンソース、である。そして、第4章では「総表現社会=チープ革命×検索エンジン×自動秩序形成システム」という方程式で今後の社会を総括しようとしている。これだけを読んでも多分何のことか解らないだろう。でも実際に読んでみればかなり納得できるはずだ。普段ネットに接していればいるほど、その納得は深いものになるのではないかと思う。ただし、逆に言うと、著者が文中で何度か指摘しているように、旧来の「エスタブリッシュメント」に属する人たち、「ネットのこちら側」にいる人たちにとっては、ひょっとすると全く説得力のない空論に聞こえるのかもしれない。
 この著者の偉いところは単に分析や解説を述べるのではなく、ちゃんとビジョンを提示しているところである。そして、見事に系統立ち、思想性に溢れ、鋭い洞察力に基づく文言の一つ一つを支えているのは、著者の「ウェブの現場体験」に拠るのだと思う。さすがにIT分野の知的リーダーと称されるだけのことはある。僕自身はかなり的確な世界観であると思うし、預言の書としても現状で考えられる最高水準のものではないかと感じた。
 単なる読み物としても良質のエンタテインメントだと思う。ただし、冒頭で述べたように、入門書ではないので、念のため。
by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

あちら側の世界とこちら側の世界をつなぐよき回路

2006/04/16 21:10

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読み終えた後、久々に刺激的な本に出会えた喜びを感じた。インターネット元年といわれる90年代半ば以降、我々の生活は、ネットに依存する割合が多くなるばかりである。それは、自分がインターネット上の各種サービスに新たに登録する度にIDとパスワードを設定しなくてはならず、それが日々増えていき、しまいには覚えきれなくなってメモに書き留めたりすることからも分かる。しかし、それは少しずつの変化であって、何か劇的な変化が起きつつあるとまでは思ってはいないのではないだろうか。
 ところが、これから先の10年はweb2.0と呼ばれるテクノロジーによって、これまでのweb1.0の世界とは全く異質な変化が起きるという。ネット業界に身を置いていても、実際にこんな風に説明できる人は少ない。著者は、それができる有能なテクノロジーライターである。そこに、本書が爆発的に売れている理由があると見る。
 本書を読み進むほどに高まるわくわく感。読み終えた後の、これからの世界に対する期待感。こういった感覚を与えてくれる本は、日本の景気が本格的に回復しつつある時代の雰囲気にぴたりと一致している。「閉塞感が漂う時代」という言葉は巷にありふれているが、どうすればその閉塞感をうち破れるのか明示できる人は少なかった。
 本書は、インターネットの「あちら側」の世界と「こちら側」の世界とを対比して見せ、「あちら側」の世界がweb2.0というテクノロジーによって、これまでできなかったことを次々に可能にしていくことを鮮やかに描き出している。これによって読者の抱える閉塞感を解消してくれるのである。
 例えば「ロングテール現象」。書籍を売り上げ順位ごとに並べてみると、上位に位置する飛び抜けて多い部数を誇る書籍が高い山を築き、わずかな売り上げに過ぎないその他多くの書籍が広いすそ野を描く。これをロングテールという恐竜のしっぽに例えるわけであるが、これまでであれば陽の当たる場所に出ることのなかったその他多くの本の中から、web2.0の世界においては、上位本との類似性から陽の当たる場所に連れ出され、埋もれていた良書が脚光を浴びる可能性を高める。これは、価値の転倒をもたらすものであり、負け組が一気に勝ち組に転化することを意味する。これが、よき意味でのルール破壊者としてのweb2.0テクノロジーである。
 古くからの構造である閉塞感漂う「こちら側」の世界に対し、ネットの「あちら側」の世界がいかに新しい可能性をもたらしてくれるかを実にオプチミスティック(楽観主義的)に記述している。しかし、いかに進化しようとも、常に「あちら側」の世界に生き続ける訳にはいかない以上、「こちら側」の世界とを上手く橋渡ししてもらう必要性がある。本書には、それが実によくできている。ネット上での言論にとどまらず、こちら側の世界の産物の典型である「新書」という形態によって、より多くの人の目に触れるようにしたのが、そのよい証明である。その意味で、本書とその著者は「あちら側」の世界と「こちら側」の世界をつなぐよき回路となっている。むろん、一点の曇りもないとまでは言わないが、希望の明かりを我々に灯してくれる良書と言って間違いないであろう。

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紙の本

グーグルが目指そうめざそうとしている本質は、形を変えた民主化運動であり、人間解放運動ではないか。

2006/03/09 20:03

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:橋本啓介 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本で書かれているグーグルが目指そうめざそうとしている本質は、形を変えた民主化運動であり、人間解放運動ではないだろうか。
我々の常識からすると、我々は自由な民主的な社会に住んでいると思っている。しかし、そこには組織があり、人間の恣意があり、権威があり、立場があり、お金の力があり、政治力があり、という中では人間は序列というハイラーキの中に押し込まれており、本質は、今の現代は、形を変えた中世時代の封建主義の時代となんら変わっていないと、グーグルの人達はこの世を諦観しているのではないだろうか。
しかし、インターネットが出てきて彼らとしては、本当の意味での人間解放運動が行えると考えたのではないだろうか。
本当の意味で人間解放運動を行うためには、人間の恣意が入ると難しい。人間の恣意によってそこには権威が生まれ、序列が生まれてきたという歴史があるためだ。
だからこそ、彼らはその人間の恣意を排除するために、コンピューターを信奉し、出来る限り人間の入る隙を排除しようとしているのではないだろうか。
世の中の情報を見る目や理解するための頭の中のフィルターをとっぱらい、彼らの考え方を見てみると、人間の本質にたどり着く感じがする。
いずれにしても、アメリカはすごい国である。日本人は、長いものには巻かれろで、”Big is Everything”が浸透しているが、アメリカ人は、”Big is Nothing”の考え方が浸透しているから、グーグルなどの”破壊者”が出てくるのだろう。日本ではそういった考え方は排除される傾向にあるためグーグルみたいな”ばけもの”が出てくるのは不可能なことだと思う。

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紙の本

道具が僕らを作ること

2006/11/17 22:36

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 僕にとってのITとは メールのやりとりやアマゾン・楽天での購入程度であり ブログの作成程度である。デジタルデバイドという言葉があるが まあ 遅れている方であることは間違いない。


 そんな僕にして本書は面白かった。続けて二回読まされた本は僕の30年以上の読書暦でもそうそう無い。何が 僕をして 二回も読まさせたのか。


 本書はITを通じた一種のアジテーションの本である。「不特定多数無限大の人々」がITを通じて自らの意思を発揮すれば その結果は おそらく基本的には「善」であるべきだという強い主張が本書の基本である。
 一読している間は グーグルの事例やら ネットの「こちら側」と「あちら側」というような個別の話に気が引かれる。更には「自分の仕事でも どうやれば もっとITを使えるか」というような事を考えてしまう。これは ある意味では作者の掌の上でぐるぐる飛んでいる孫悟空に近い。問題は その掌がどんな掌なのかである。作者は「不特定多数無限大の人々」への基本的/確信犯的/盲目的な楽観を説いているという点が この掌の最大の特徴である。その意味では 本書は 社会論であり もっと大げさに言うと 革命論とすら読めてしまう。


 それにしても時代の流れは速い。技術の進歩に人がついて行けてないはずだ。「人は道具を作るが その一方で道具が人を作る」というのは誰の言葉だったか? 僕らがITから受けている影響も甚大である。意識的にせよ 無意識的にせよ。

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紙の本

”ウェブ進化論”〜からを

2006/05/05 18:41

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ココナッツ - この投稿者のレビュー一覧を見る

梅田望夫”ウェブ進化論”(ちくま新書) は最近の 日本型(≒マーケット型)Web の成り行きに対して不満を持ち続けていた人たちにとってちょっとした清涼剤を与える 本 になったかもしれない.
あいかわらず日本ではマーケット占有型のサービス全盛そうだけれど...閉塞感もいっぱいだ.革新的で大衆民主主義的なWebテクノロジーというものが求められているのかもしれない?!ができようとしている.ずっとまえ 走っていた ネットスケープ が持っていた疾走感を グーグル は確かに持っている.アマゾン にも少しある.はてな は疾走しているのだろうか?彼らはそれを維持できるだろうか?
とにかく //はたじるし//が立てられたのだ.ネットに参加せよ!!ブログを書け!!スクリプトを書け!!ウェブストアを開け!!
をにしていくために...
→Myブログ
→My日記

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紙の本

Web2.0とは一体何ぞや

2007/09/13 03:24

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はにわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

さんざん言い尽くされてきた感のある
Web2.0とは一体何ぞやと問いに、
簡潔に答えてくれる良書。

googleやらロングテールやらブログ、SNSと
最近になって産まれてきたネット関連の話題
について大体は言及されている。
もちろん私の大好きなwikipediaについてもだ。

それにしてもWeb2.0という名称に
違和感を感じてしょうがない。
私も古い”こちら側”の考えに
固執する人間だということであろうか?

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紙の本

プログラマの立場から

2006/08/10 19:16

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:だいだ - この投稿者のレビュー一覧を見る

Webアプリケーションを構築していく中で、経験的に、インターネットの「あちら側」で処理をしてしまうことの利点は感じていました。そして、規模こそ小さいけれど「情報発電所」的なアプリケーションも作ってきました。
そういう意味では、これまで自分の感じていたことと、それが「こちら側」に及ぼす影響を的確な文書で読ませていただき、小さな自信と励みになっています。
私にとって一番の収穫は「ロングテール現象」をはじめとするWeb2.0のキーワードがどのようなビジネスモデルと結びついているのかを実感できたこと。
これまでやってきた実績を、いかに新しいビジネスモデルとして発展させていくか。
新しい課題とともに、無限の可能性に飛び込んだような気持ちです。

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紙の本

面白いのはここからだ!

2006/03/31 00:57

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nanako17girls - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本の面白さは「知的欲望を刺激する」Webについて歴史的、文脈的にIT=コンピューターを解説している。「Web2.0」がもたらす新しい変化にシリコンバレーに住んで、学んだことを語っている。本書を要約すれば、IT関連コストの低下がもたらした「チープ革命」新たな情報収集としての「ブログ」インターネットがもたらした「ロングテール」という新たな流通、ビジネスetc・・など、現場にいながら見えてくる「変化」がギュッと濃縮されている。本書で最も注目すべきは「オープン・ソース」だろう。そこで起こるのは、マイクロソフトが行ったソフトウェアの高騰に対しての、新たな試みである。ソフトウェアを無償でWeb上で公表して、そこからそのソフトを一部の技術者だけではなく、それを使う人々が「複製」「再配布」「改良」を行っているものだ。寡占状態のマイクロソフトに対する挑戦でもある。そこから新たなビジネスモデルが生まれてくる。一部のマニアのものからの「脱出」とも言えるかもしれない。「社会全体」で作り上げるソフト。まるで夢のようなはなしだが、本書を読むと、そんなことも可能かもしれない、と思ってしまう。単にコストの問題だけではない。Web2.0がもたらす、新たな進歩である。ITなんて、よくわからない、興味がないという人にオススメだ。もちろん、難しい問題もある。「誰もが自由に表現できる」とても魅力的なことだ。まだまだ先の見えない世界である。だからこそ「今から」なのだ。Win95の登場以来の革命。それこそが「Web2.0」なのだ。楽しみながらやっていきたい。あせることはない。必要なければそれでいい。そんなスタンスに貫かれた、本である。

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紙の本

さよなら高速道路無料化計画

2011/11/16 12:06

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る

「です・ます調」レビュー100本ノック。9本目。

書店でブログに関する書籍を物色。裏オビに書かれた目次に目が止まりました。第四章「ブログと総表現社会」に興味を引かれ購読。

出版は5年前。当時はブログが日本で頭角を現し始めた時期でした。同著でも詳しく紹介しています。

ブログの章が目当て。だから他の項目はナナメ読み。のつもりが興味深い話題もちらほらと。なかなか楽しませてもらいました。ソースが古いので今更感はありますが。文体としては理系っぽくてちょっと読み辛かったかも。

将棋好きの著者。羽生善治さんとも親交があるそうです。オビに推薦文も書かれています。

ウェブ進化論というよりはグーグル進化論ですね。「あちら側」と「こちら側」という観点でグーグルの理念を解説しています。情報を処理する機能すなわち主導権を「あちら側(サーバ)」と「こちら側(クライアント)」のどちらに持つべきなのか? 近年の傾向を見れば、その答えは言わずもがなです。

ロングテール現象の件が最も興味深かったです。インターネットの本質を語る上で重要な問題定義の造語。

体高10メートル以上で1キロメートル以上のロングテールを持った恐竜。それを横から見たシルエットのようだ。(P99)

グラフで表すと、右肩上がりの注目株が「恐竜のアタマ」。つまり、それ以外の底辺を這う「シッポ」の箇所です。

これの反対概念が大企業を支配する「80:20」の法則。とるにたらぬ80%は無視し、重要な20%に集中。それこそが経営の効率を高めるという基本理念。そこをあえて「シッポ」の方をすくい上げることによって、産業の通説を根底から覆し、新しいシェアを獲得する。こうやって過去の産物をせっせと紹介している僕なんて、その最たる例ですね。

その定義が「ブログと総表現社会」に絡んできます。恐竜のアタマによって牛耳られていたメディアでの発言権。それがブログの台頭によって誰もがクリエイターや文化人になれる時代が訪れました。

はたして、そんなうまい話があるのでしょうか?

「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」あるとき、羽生さんは簡潔にこう言った。聞いた瞬間。含蓄のある深い言葉だと思った。(P210)

羽生善治のさんの言葉が暗示的ですね。ウェブによって発言権という名のETCを得たぼくら。結局どこに行きたいの? 高速道路休日1000円も終わり、無料化計画も破綻をきたしました。そろそろ次の進路を見据える時期なのかもしれません。

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紙の本

「はてな」?

2012/07/13 14:11

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

プロとしてではなく1ユーザーとしてだが、30年近くコンピュータと付き合ってきた。私はウェブの未来を楽観的にも悲観的にも見ていない。コンピュータにできることもあれば、できないこともある。それだけのことだ。そして、著者の予想のようにウェブは進化していくだろう。進化には良いも悪いもないからだ。

 ロングテールの理論もアドセンスとアフリエートの違いもよく分かった。いまウェブのあちら側で何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか、何を起こそうとしているのかがよく分かってよかった。WEB3.0の胎動もすでに始まっているのだろう。いまの若い人たちは何を考えているのか分からないと思っている人には必読である。周りを見回すとWEB2.0はすでに小中学生にも浸透し始めている。

 ただ、私にはアメリカ人であるグーグルのメンバーや著者のようにネット上で実現される「民主主義」や「平等」を無邪気に信じることができない。アドセンスで実現される結果は、ロングテールをまとめ食いするグーグルメンバーと日銭を稼ぐその他大勢の格差社会ではないのだろうか。さらに言えば、このような会社は、10年後には現社員が引退し若い世代と交替しない限り、マイクロソフトと同じ運命を辿るだろう。著者は、著者の言う若い人が中高生にとってはすでにオジサン・オバサンであることに気づいているのだろうか。

 最初に書いたコンピュータにできることもあれば、できないこともあるというのは、コンピュータの利点と欠点と言い換えてもいい。たとえば、確かに、小泉自民党圧勝やブッシュの勝利を予言(予測)できることはわかる。しかし、ブッシュや小泉が政権を握ることが我々にとって正解なのかどうかは教えてくれないのである。また、個人での使用においても、匿名性やプロソディの欠落は、正負両面を持っている。それは、電子メールや掲示板での誤解やいざこざの原因となっている。しかし、たとえ人の体温をコンピュータで再現できたとしても、(A.I.の世界が実現されても)それを温もりと感じるのか鬱陶しいと感じるのかは、個人の問題であるし、どちらも感じられないほうがいい時もある。

 このような問題はやはり情報リテラシー教育の充実によっても克服する努力が必要だろう。そのような意味で、「東京大学教養学部テキスト 情報」川合慧(東京大学出版会)を併読することを勧める。また、この本では中高生には難しすぎるので、中学高校向けのよいテキストが出版されることを期待する。

 さて、全体を読み通して感じたのは、美味しい情報満載で読む価値はあるが、著者の意図するところは「(株)はてな」の宣伝かなと思った。「(株)はてな」が日本版グーグルになれるかというと、私には疑問である。オープンさが中途半端だからだ。また、個性的なブログを書く子どもたちは、自分のページに勝手にリンクを張られるのを好まない。このような形で、個性を売り渡したいと思う若者は、少ないだろう。

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紙の本

「IT革命」の現代的見取り図

2009/05/07 00:33

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る



序章 ウェブ社会―本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち


著者は1960年生まれ。出生地不明だが,たぶん東京都。父が劇作家で,妹が脚本家。幼稚舎から始まって慶應義塾大学(工学部)卒業までずっと慶応の学歴。東京大学大学院情報科学修士課程修了。アーサー・D・リトル に入社。シリコンバレーに引っ越し(94年,34歳)。MUSE Associates創業(97年,37歳)。岡本行夫と「パシフィカファンド」設立(00年,40歳)。(株)はてな取締役に就任(05年,45歳)。『シリコンバレー精神』,『ウェブ時代をゆく』,『フューチャリスト宣言』,『ウェブ人間論』など。ウェッブ好きだねぇ。本書刊行時に著者は46歳。本書カバーの著者近影の撮影者は,はてなの社長(近藤淳也)。
本書は『フォーサイト』と『正論』などに掲載された文章を「素材に書き下ろし」(243頁)たもの。まぁ,これは同じ人が同じテーマで書けばその文章が似通うのは当然。著者は,本書を書きあげるために午前3時に起床し(!),午前中までを,5週間を投じて書き下ろした(245頁)。(12-3)時間*5(週間)*7(日)=315時間。


本書は06年までのいわゆる「IT革命」の現代的見取り図。そのキーワードは,「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」。この三つを用いて,著者はウェブ社会の未来像を描きつつ,「IT革命」の意義を問い,IT革命の第二段階(Web.2.0[うぇぶばーじょんつー])として(第一革命はYAHOO!とビルゲイツのWindows),Googleとamazon.com(の「ロングテール」)を取り上げ,ブログを通じた一億総表現者化(「総表現社会」)を描き出した。「革命」の進行とは,要するに,技術的にも費用的にも素人にとってアクセスや利用が容易化する社会への変質であり,素人でさえこの変化に合流することで多少の金が稼げる社会への転換である。本書副題「本当の大変化はこれから始まる」とは,要するにこれから素人がインターネット空間へと怒涛のように流入する事態を予測(予告?)している。


著者の学生時代の夢は「学問の研究を続けて大学に残ることだった」(167頁)。しかし現在,実生活では,ブログを通じて「バーチャル研究室」を運営し,日常的には研究者的な生活を送っているらしい。日々の生活に満足感を得ているようだ。羨ましい。


(1041字)

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紙の本

ITを外野から観ている「ITおっかけ」梅田君

2010/10/16 11:45

10人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

どうも梅田の本は面白くない。梅田はインターネット革命を演出したエンジニアでもビジネスマンでも何でもない。まあ、平たく言えば「ITおたく」「ITファン」で、インターネットに興味を人一倍持ったオタクちゃんがシリコンバレーにうつりすんでしまった。梅田君は、いうなれば「おっかけ」だ。嵐のおっかけと同じで、松純がすてき、いいえ二宮君の方がキュート的な話を延々としているだけ。ほんと、それだけなのだ。たとえば、マイクロソフト帝国を築いたビル・ゲイツや、ネットスケープを立ち上げたジム・クラーク、アップルを立ち上げたウォズニャックやジョブスの話は滅茶苦茶面白い。時代を切り開いた先覚者、エンジニアならではのヴィジョン、世界観が読者の興味を掻き立てるのだ。ところが梅田君の本には、当然の事ながら、こういう話は一切ない。だって梅田君は自身で何もしていない、ただのおっかけだからだ。いうならば、村でただひとり東京に出た田舎者が、東京に生涯一度もいったことのない田舎者たちに東京のみやげ話をしている。そんな感じなのだ。「東京タワーが何メートルかしってるか」。「天子さまがお住まいの皇居ってのは、なあ、広いんだぞ」。「銀座って、知ってっか?その賑わいときたら。。。」。こんな本を読んで喜ぶのは、結局何も知らない田舎者。そんな感じなんだなあ。そろそろ梅田の賞味期限も限界だよ。

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2006/02/13 11:59

投稿元:ブクログ

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2006/02/16 00:39

投稿元:ブクログ

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2006/02/18 15:48

投稿元:ブクログ

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