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紙の本
もし、あの小谷野敦が岸本葉子に熱を上げていなかったなら、わたしはこの人の本を手にすることはなかったかもしれない。頭のよさを誇示しない東大出身者の本の案内は
2004/12/13 21:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《東大出で保険会社勤めの経験もある著者が、一人暮らしをしながら読んだ様々な本を紹介する》
エッセイ集『軟弱者の言い分』で小谷野敦が絶賛していた岸本葉子。東大出でありながら、気取らないというのが売りのエッセイストは、今までも自分の独身生活や、マンション購入、離れて暮らす母親への心遣いなどを優しく語っていたが、その人の読書案内。どのような本を、どう裁くのか期待しながら読んだ。
吉村昭『落日の宴』(講談社文庫)を読んで、川路聖謨を知り、理想の男性の一人と考えるようになったという文、私などは山田風太郎の明治物で知った川路だけに岸本との出会いの違いに、差を感じる。ドウス昌代『イサム・ノグチ』(講談社)も、ノグチのあまりの女性遍歴にあきれた私だが、やはり美女の見方はかなり違う、甘いのだ。太宰治と関連付けるあたりも、女性ならではの視点かもしれない。
他の本でも一人暮らしや、老後の心配、妊娠への憧れみたいなことを書いているが、今回もさりげなくそれが出てくる。たぶん、そういった本音を、きれいに見せるところが小谷野敦好みなのだろうが、私には少し奇麗事すぎてしまい、サクラモモコや群ようこのほうにいっそう親近感を抱いてしまう。山の手と下町の違いとでもいうのだろうか。
エンターテイメントや美術関係の本は殆ど無くて、どちらかというとマイナーで、あまり人に読まれそうにない本ばかりが取り上げられているのは、岸本の好みもあるだろうけれど、発表誌の依頼のせいかもしれない。
困るのは、そういう本は紹介されても少しも読む気にならないこと。いや、一概には言えない、椎名誠が紹介する本などは、全く知らないものでも読みたくなる。二人の違いは何か、多分読む喜びの表出だろう。出会い、発見、そして読む楽しさが岸本のこの本からは伝わってこないのだ。書評は、上品なだけでいけない、そういう見本だろう。
その点、美貌かどうかはともかく岸本は斎藤美奈子の足元にも及ばない。キレがないのである。そういえば、岸本ファンの小谷野敦は、斎藤の文に対してかなり辛らつなことを書いていた。女は顔だけじゃあないんだよ、小谷野くん。
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