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紙の本

印刷現場から見える本の未来

2004/05/27 21:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:湯浅俊彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、京都の老舗印刷会社「中西印刷」の専務・中西秀彦氏が印刷現場の視点から出版メディアの現状と課題について論じたものである。
 私が印象的に思った部分をいくつか書いてみよう。
 まず、著者はこの本の書き出しの部分で、出版関係者と本の将来について語ったあとに必ずといってよいほど彼らが「本はなくなりませんよ。いくらインターネットが発達してもね」と言うことをやや皮肉まじりに紹介する。印刷を仕事とする著者にとっては、京都市の「公報」のように100年近くも印刷されてきたものが、突然、紙媒体からオンライン媒体に変化したという現実問題が眼前にあるからである。本書を著者が書く動機はまさにここにある。つまり、本がなくなるか、なくならないか、ではなく、現在本に起こっていることから何が見えてくるのかを明らかにしたいということであろう。
第6章「オンライン・ジャーナル」を読めばますます著者の姿勢は明快に見えてくる。オンライン・ジャーナルとかかわりのない人にとっては学術雑誌がインターネットで読まれるようになったと聞いても「それがいったいどうした」ということになるだろう。しかし、学術雑誌に執筆したり読んだりしている研究者やそれを収集、保存、提供している図書館、あるいはビジネスとしてかかわっている出版社、書店、印刷会社、製本会社などにとっては、これはまさに衝撃的な転換点なのである。
 つまり、「当事者性」を抜きに本書は語ることができない。これは印刷という現場を持つ当事者による現在の印刷文化論であり、出版メディア論である。したがって本書は社会調査や文献を駆使した研究書ではなく、むしろ印刷時代史を縦軸に著者が観察した文化現象を横軸にしながら、巧みな手さばきで著者の「印刷情報文化論」を織り上げていくという手法がとられていると言うことができよう。
 私には「私的印刷現代史」と銘打った第2章が興味深かった。とくに次の箇所は示唆に富む。
 「電算化したら生産性は上がった。それで、余った時間で労働時間の短縮を図ったり余裕のある経営ができると信じていたのに、単価が下がってしまったのである。(略)それでも電算写植の原価償却は続けなければならないから泥沼である。さらに九〇年代は、コンピュータの価格自体も崖から飛び降りるような劇的な低下があったことはご存知のとおり。電算写植も次々と高性能低価格のものができてくる。それを導入しないと安値競争に参加すらできない。印刷業界はこの電算の泥沼に足をとられたまま、現在に至っている。」
 新しい技術を導入するにあたってその明と暗をしっかりと見定めることが必要であろうが、どの業界にしても変化はまさに加速度的である。立ち止まって考えていたら先を越されるが、一方で誤った投資は命取りになる。出版メディアの関係でいっても書店におけるPOS(販売時点情報管理)システムや、最近注目を集めている電子タグの出版物への装着など、ある程度の周期で新しい技術の導入が話題になり、毎年のように新製品が登場する。ところが経営の場面でも労働の場面でも楽になるどころか、今後の展望すら見えない、ということがしばしばあるのだ。
 本はこれからいったいどうなっていくのか。明治の創業以来、木版、活版、平版、電子印刷と時代の流れを見ながら事業を継続してきた印刷会社からの視点はじつに刺戟的である。本の未来を考えようとする若い人たちにぜひ本書を読んでほしいと思う。

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2006/04/21 17:00

投稿元:ブクログ

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