紙の本
本当の自分
2008/05/07 01:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る
濃い内容、社会的なテーマ、印象的なラスト。
山田宗樹氏の特徴が余す所なく発揮された作品です。
かつては抵抗のあったカウンセリング(心療内科等)も今や当たり前のようになり、利用者が急増していると聞いています。
本作は誰しもが持つ「他者の心を意図的に操作する」危険性について訴えかけます。
実際に暴走してしまった時に起こりうる現象・結果。
とても面白く怖い。
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怖。すんごい怖い。自分の知らないところで自分が自分でなくなってたら…怖すぎます。
ちょっと話にまとまりがないような気がしました。
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「嫌われ松子の一生」の山田宗樹の作品。
私にとっても、これが2作目。だけど、「嫌われ〜」とは全然雰囲気が違っていた。
「天使のナイフ」とはまた違った内容だけど、少年の頃に受けた精神的治療と最後まで闘うカウンセラーの姿が印象的でした。
ハッピーエンドでは終わらないけど、決して後味の悪い作品でないのが救いでした。
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進学校で生徒が突然教師を射殺、事件の再発防止の為にスクールカウンセラーが置かれる。心の専門家は本当に生徒たちの心の問題を解決出来るのか。目からウロコというか、自分の欲望は本当に自分だけのものかっていう問題提起がコワイ。自分が今思っていることは、本当に誰の影響も受けずに自分が思ったことだと言い切れるのか。
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「嫌われ松子の一生」の原作者の人だーと思い手に取ってみる。
人物のイメージがしやすいので、映像作品になりやすいのかな。
事件に始まり、疑念、そして静かな終わりを迎える。
その過程にあるものは心という不確かなもの。
心って目に見えないから、たくさん迷って、たくさん傷ついて、強くなっていくんだと思う。
心を強くするのは人生の目的じゃないけど、生きるために必要なこと。
見えない心を見えるようにしたら、心は固定されて疑問や疑惑をもてなくなる。
ストレスにさらされても、理解できないからいきなり体にくる。
そしていつかは心が壊れる。
自分が何をしているか意識がない。
別の人格が発動する怖さ、立っている場所がわからなくなる怖さ。
人の心を操作するのは果たして医療なのか?
欝や心の病気がはやっているけど、正しい治療ってどれなんだろう。
罹るは易し、治すは難し。
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誰もが惹かれて夢中になってしまうカウンセラーには恐ろしい秘密が、、、という導入。
これはすごーくよかった!
ウソくさいカウンセラーだなーなんて斜め視点で見てたらまさに根拠があって納得。
救いがなさそうに見えてきれいにまとめて終わっているのが
あぁ、よかった・・・って読んだ後思いました。
こういうのが気に入るってやはし自分は少女マンガ育ちなのだろうと思う。
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人の心理を操作することの恐ろしさがよく描かれていて、まぁ面白かった。
エピローグがよかった。
山田宗樹は心理描写があまりうまくないらしく、主人公に同調出来る部分をするっと受け流してしまい、物語に入り込むきっかけをたくさん逃したように思う。
読みやすさは変わりなく。
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これは面白い!
ドラマテックさで言うと、ちょっと物足りないと思うところがあるが、良く出来ている。
正常の反対は異常、または狂気かも知れないが、成長によっては、時として静寂となるということか。(特に意味なし)
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他人の心を自由に操ることができるとすれば、それは自らの心も他者に操られているという疑心暗鬼を呼ぶ。愛がある比留間は救われ、信じるものを失った別宮は破滅した。
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人の心の中を舞台にした話。
催眠療法という、特殊な設定が独特のおどろおどろしさを、生んでいます。
いつ、話が動くんだ、最初からの伏線がいつ爆発するんだと読み進めながら結局良い話で終わる。
ラストで逆に暖かい気持ちになれました。
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進学校で生徒が教師を射殺して自殺する事件が起きる。事件の再発防止のためカウンセラーとして比留間亮が招かれる。比留間と養護教諭の梶山は互いに恋愛感情を抱く。比留間はカウンセラーとして実力を発揮するが、梶山と接するうちに、人の心を操作することに疑問を抱き、カウンセラーを辞める。しかし、そのことは比留間を後継者とする心づもりだった比留間の師である別宮の怒りを買う。比留間はかつて、別宮によって女性の腹を引き裂きたいという狂気を封印されていた。別宮は怒りに任せて比留間の狂気の封印を解放する。その結果、比留間の心は破壊される。
テーマは、人の心を物として扱うことへの警鐘のようだが、梶山と比留間の恋愛環境にはあまり共感が持てなかったため、心に響かなかった。特に梶山の強引な誘い方には嫌悪感を覚えた。
主題とはかけ離れるが、個人的には、比留間に裏切られたと感じた別宮が、かつて自らの手で封印した比留間の狂気を解放する場面が印象的だった。
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導入は衝撃的でしたが、最後はするんと終わって安心した感じ。
もう少し長く深く読みたいと思えたので幸せな後読感。
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催眠療法に関して、個人的に深く興味を持っていた為、内容が いつも以上に興味そそられるものだった。
催眠療法を勉強してた高校時代の自分と子供たちを重ねつつ、今の自分と律の年ごろを重ね、彼女の包容力に感動したり…。
潜在意識の領域は本当不可思議。潜ってみたい。
著者の参考文献多い。読んでみたい。
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非常に読みやすかった。
冒頭から、学校で射殺事件が起こるというものすごい始まりかただったが、メインはこの事件ではない。ここはもうちょっと膨らませられなかったのかなとやや疑問。
テーマは、行きすぎた心理療法。環境に適切に順応させようというカウンセリングは、つまり環境を是としありのままの心を否定しているわけであり、心を操作していると考えることができる。それって本当に正しいことなんだろうか?という問題提起や、意のままに心を操作された二人の末路が描かれる。面白さも怖さもある小説でした。
ところどころ、もう少し膨らませてほしいと感じた点が少しだけ残念。あと、主人公の女性の行動にはけっこう何度も嫌悪を感じた。
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誰も救われない話。狂気に呑み込まれてゆく登場人物に対し、なぜか心からの同情は向けられないのがまたもどかしい。