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紙の本
野越え山越え
2013/04/27 10:41
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
「蘭菊の狐」で狐憑きと呼ばれた少女阿紫を助けて、別れて散り散りになったはずの三人の男たちだが、またもや食い詰めて、風来坊の末に信州の場末で邂逅してしまう。女で刑事を首になった源吉、壷振りの三四郎、老掏摸の亀造、いずれもこの現代の世には生きる場所が無い。そこに亀造が謎の集団に付け狙われている。その執拗さ、組織力、資金力、国家機密をめぐる謀略戦に巻き込まれているだと?
すかんぴんの風来坊に、巨大組織と戦う力も、逃れる才覚もない。だが戦う。巨敵と戦うことでした、自分の生を取り戻せない。というより、他にすることもない。これを浮上のチャンスとするしかない。
D機関、X機関、V局員と敵は馬鹿みたいに次々と出てくる。近隣各国の諜報組織の総出演。阿紫が人質に取られる。カンフー美女軍団と手を組む。全編阿鼻叫喚の中、勝ち目はあるのか。
誰も彼も、みな失うもののない強さだけが武器だ。どこまで堕ちてもプライドだけ残っていれば。
男達を救う鍵を握るのは、老掏摸の飼う小猿なのだが、実は彼らにもコントロールできない。険しい山岳地帯と同じに、聖なる存在であり、彼らにとっての試練であると同時に、諜報軍団を阻む盾でもある。そして少女阿紫の激烈なプライドと闘争心は、男達にとっての女神だ。
どん底にあっても、聖なるものが降りてくることがある。その一瞬を捕まえられれば、なんだか希望も持てようというもの。それで金持ちになれるとか、人から尊敬されるとか、そういうことは別にないのだが。
ただ天と地と女に抱かれて、その残り香も薄れていくままに、また少しずつ滅びていくのだろう。
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