電子書籍
志と承認欲求
2021/12/27 08:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界平和とか、志高く行動に起こしている人たちをすごいなーって思っていた傍観者の側だったけれど、その内実を垣間見せられた感じでした。ピースボートを降りたあとの生活を追っていて印象的だった。舞台は十年前だけど、今はSNSを通してピースボート的舞台はどんどん増えているような。
投稿元:
レビューを見る
下書き 1009100752
単純なルポとしての面白さ
投げかけられた問題
自分はどうかと考えてしまう→内省化、しっかり今の若者
あきらめることの是非→なにを?村上龍「それでも私は...」
共同性と目的性→優れたリーダー、やりたい人が勝手にやる?諦めない人がやる?そこまで余裕ある?
誰かがやるだろう、誰もやらない
誰かついてくるだろう、確信が持ち切れない
投稿元:
レビューを見る
ピースボートやピースボートセンターが世界や平和という曖昧な共通性からなる「居場所」になる。船では一部の人が平和や9条や環境ということに熱くなって、下船後はそれを個々に意識していたとしてもその目的性は薄れ、共通性だけを残して若者は社会に出て行く。
PB(ピースボート)に乗る若者の分類として、セカイ型、文化祭型、自分探し型、観光型ってのは納得。その中で自分はどれかというと自分探し型と観光型の間くらい?
そして「世界は世界だった」、「自分は自分だった」というのも乗船者の多くは感じてると思う。結局ぐるっと一周してもとに戻るような。それが「あきらめ」らしい。自分探しや世界平和という思いが冷却され、帰国して友達と言う共同性の中で「お金はなくても楽しいね」で楽しく暮らす若者たち。確かに。
減少した社会資本(収入)を、居場所などでできた社会資本(つながり)で補う。目的性(政治運動など)のなくなった共同性(居場所)は安価な労働力の供給源になってしまう。考えるとそうかもなぁ・・・
世界一周というPRでPBの政治性は薄れているけど、船内では頻繁に企画などがある。でも今まで政治に関心のなかった若者を巻き込めるのは「思い」から入るから
投稿元:
レビューを見る
これは大変素晴らしい一冊。
素晴らしい点:
1.時代の捉え方が平易でわかりやすい
社会学者的な人は大体みんな同じことを言っていると思うけど、いかんせん言い方がわかりづらい。その点この筆者は若いからか、大変わかりやすくまとめている(最初の数ページを読めば大変わかりやすい)
2.集団の捉え方がクリア
筆者は目的性(縦軸)と共同性(横軸)のマトリクスで集団への所属の仕方を4象限に分けているわけだけど、これは大変しっくりくる。そして集団は次第に第1象限(目的を同じくする共同性を持った集団)から第4象限(目的はいつのまにか捨象されて共同性のみが残る)に落ちていく、という説明も肯ける。
3.ピースボートを題材に選んだ点がユニークかつ適切
ピースボートというよくわからないけど、前向きそうな集団を捉えて、その浅薄さや集団の性質を表現したのは、今の浮ついた、それでいて必死なNPOブームなんかにも示唆を与えてくれる。
最後に、筆者が結論としている社会変革や改善はあきらめて、集団の集団性のうちに埋没すればよいんじゃないか、という主張には簡単には同意できない。あとがきで本田教授が指摘しているように、果たして集団の共同性に寄り添ってまったり生きることがどれほど持続可能か、という点には疑問があるし、何よりそうやってまったり生きれば良いんじゃないかといっている人間は結局持てる人間なんじゃないか、というように思えるからだ。
貧乏でも楽しく生きれば良いじゃない、というのは本当に貧乏を経験した人間が言うのと、そうじゃない人間が言うのとでは雲泥の差がある。
前者は真理の一端を担っているかもしれないが、後者は彼らにとって都合の良い結論を導くために詭弁を弄している可能性が高いからである。
とは言いつつ・・結局どんな境遇にいても、なりあがろうとするよりは現状に満足して周りと仲良くできる能力の方が生きるうえでは大切、かつ必要な能力かもしれませんね。。とひより気味の発言。本当にこの点は今よくわからない。
投稿元:
レビューを見る
少しながらあった違和感は”あとがき”を読んで納得。
確かに「著者がどこにもいない」という感じがずっとあったからだ。
歳食った私には、「この旅を楽しめたのは若さのおかげかな~」とも思うし、「多少斜めに見ていられたのは研究者としての視点かな~」とも思える(^^;)
投稿元:
レビューを見る
■概要
東大の大学院生が書いた「ピースボート」や旅を舞台とした
「現代の若者」考。
■雑感
これは自虐ではなく、最近、歳に対する自覚(セルフイメージ)と実年齢との間にギャップが生じてきたように感じます。
あけすけにいえば、私はもう「若者」という歳ではないのだな、という気付き。
■活かせる点
ピースボートのポスター、よく居酒屋のトイレなんかで目にすると思いますが、
人集まるんだろうなあ、私も何かの拍子でうっかり乗ってしまいそうだなあ、と薄い興味を持っていました。
こちらの本を読むと、ピースボートがどのように生まれてきたのか、どんな人が乗っていて、その中でどんなことが行われているのか、よく分かります。
特に、本を通してのテーマでもある
「共同性」と「目的性」という2軸での整理は面白いし、納得感がありました。
おぼえがき
・「感覚」によって構築された共同体は「異質なもの」に対する耐性が弱い
・論理や言葉ではなく感覚でつながった関係性は、言語的な観念を媒介していない(「演技空間という弛緩地帯が存在しない」?)ため、自分の振舞いに対して非難が加えられると、存在それ自体の否定と感じてしまう
・「想い」さえ通じ合えれば「わかってくれる」「理想が実現する」という期待
(さわ)
投稿元:
レビューを見る
なんだか話題なので読んでみた。
著者の古市さんは実際にピースボートに乗り、
そこでの若者の行動・気持ちの揺れ動き・ピースボートを降りてからを観察して分析してる。
私と古市さんが同年代だからか、なんだかめちゃくちゃ頭良い友達と話してる気分。
いろんな学者の論を引用しまくってるから小難しい雰囲気になりそうなのに、
文体が面白いせいで何だか気楽に読める。
ただ、一度読んだだけではスッキリ理解できた気がしない。
それはこの本に独特の『勢い』があるため、回収されてない論点や論理の穴が(ないかもしれないが)流れてしまったからかもしれない。
著者の意見が強固なわりに、読んでて気持ち悪くならなかった。
投稿元:
レビューを見る
社会学をちょっと勉強した人なら、楽しめる本だと思う。
ピースボートというあまりにも特殊な集団を扱っているから、日常の若者問題に対する答えにはならないとは考えずに、若者問題を解決する多くの解決策の中の一つを導きだすかもしれないと思って読むのが良いと思う。
投稿元:
レビューを見る
今は大変でも人間誰もがオンリーワンだよ夢を諦めないでって人と、社会的弱者にされてしまった若者をコミュニティによって救済し社会改革しちゃうぞって人の両方を袈裟切りにする、なかなか挑発的な内容。ピースボートでのフィールドワークは見事で、いい着眼点だと思う。
個人的に筆者の指摘には強く共感するんだけど、実際それって何のビジョンも示せてないよねって感じは否めない。それを分かってか、巻末に本田由紀さんの「解説と反論」が寄稿されているのがいいバランスになっている。文章も程よく軽妙で、最後まで飽きずに興味深く読めた。
投稿元:
レビューを見る
(2010/10/3読了)単純に、時々居酒屋とかで見る「99万円で世界一周」ってなんなんだ!という興味から読んで、まさにその興味を満たしてくれた本。社会学としてどうかとか置いておいて、ピースボートってナニ?という疑問にはバッチリ答えてもらえる読み物です。
投稿元:
レビューを見る
ピースボートに乗船した若者たちのフィールドワークを通して、若者コミュニティへ考察を行っている。「若者をあきらめさせろ」という著者の主張には言いたいことがあるけれど、若者論としては非常に面白かった。ピースボートという特殊で濃密な空間のせいか、現在の若者コミュニティの一面を鮮やかに描き出していると思う。個人的に印象に残ったのは、世界一周する船に乗り世界平和のための船内活動に参加しながらも「異質なものは見たくない」という一見矛盾した気持ちを若者たちが持っていること。自分の知見を広げたい、でも自分の気分を害するものを近づけたくない、という気持ちは自分でも理解できたりする、のだけどやっぱりちょっと変な思考だと思う。
投稿元:
レビューを見る
主張も世界も一周してなかなか小奇麗な若者論本。
若者の感じる若者論感を見事に代弁。
ピースボートはモラトリアム。
満足度8
投稿元:
レビューを見る
ピースボートに乗らないの?と聞かれたとき
日本人と過ごしながら移動して少し観光するよりも
現地の人と関わったり見て回る時間が欲しいから自分には合わない
と答えた事を思い出した。
なぜ参加する人がいるのかと思っていたので
色々な仕組みが分かり面白かった...し少し怖かった。
好きな事を仕事にしたい と思っている人が
読んだらどんな考えになるかを知りたいと思った。
投稿元:
レビューを見る
筆者曰くのピースボートの着地点であるところの、「お金がなくても仲間とそこそこ楽しく暮ら」すことについては、本田教授の(経済的な意味において)「そのような生活は、どれほど持続可能なものなのか?」(人間関係において)「目的なしにまったり過ごしあう仲間の持続可能性にも危惧を覚える」という反論に同意してしまう。
一方、筆者は「賢いファシリテーター」にも言及していて(p262)、ひょっとすると、ピースボートも「一般メンバーにとっては…ただの『居場所』でも、幹部にとっては目的達成のための共同体」なのかもしれないと思った。
じっさい、ファシリテーターの辻元清美はいまじゃ議員センセイだ。
投稿元:
レビューを見る
諦めさせてくれない社会。
そんなビジネスであふれているこの世の中。
に、
「若者を諦めさせろ」
いや、むしろ、諦めている若者を、そのままにしておいてやってくれ。
これで、幸せなのだから。
という本。
何より、語り口が軽妙。とにかく軽い。
これは、エッセーだ。
引用に出す学者たちにいちいち関係のない説明をして、紹介し始めたり、自分の発言を揶揄してみたり。
論文とは思えない語り口。
だからこそ、若者論らしく、そして、さくっと入ってくるのかもしれない。
実際にピースボートに乗った一学生の「知は現場にある。」(光文社新書のキャッチコピー)レポート。
これを読んで、奮起する人もいれば、
これを読んで、あぁ、このまま諦めよう。この、諦めの幸せの中に生きよう。それで良いのだ。
と、諦めさせてくれない社会の中で、諦めても良いのだ。と認められた気がして、安堵する人も、いるだろう。
私の今朝は、安堵。
確かに、それでも良いだろう。と思う。
今までだって、いろいろな形の幸せが言われてきた。
幸福の形だって変わっていくのだから、この、諦めの中の幸せだって、認めたって良いんじゃないか?
とも、思う。
そして「それではだめだ」とあとがきで本田由紀の言うこともわかる。
この本には、今、私が興味のある内容がたくさん。
「果てしない自分探しの時代」
最近気になって仕方がない赤木智弘の『希望は戦争』
「ナショナリズムが「癒し」の機能を持つということ」
「現代的不幸とは、閉塞感、空虚感、リアリティの欠如といった生きづらさのことである。」
そして、私は、元々、ピースボートには懐疑的であったが、興味はあった。
代わりに、旅に出ていたのだ。
というところは、後期現代の旅ではなく、アンノン族、の時代の旅。
だが、ワークキャンプにも行ったことがある。
だからそれは、新・団体旅行の形式。
だからわかる。
ピースボート内のこと、そこで、若者がどう冷却されていくのか、共同性をどう得ていくのか。
そして、気づく。
今、私は冷却、されている。
そう、あの時は、あの時だったと。
それを、時々、怖くも思っている。
だからきっと、ピースボートに乗った人たちも、あぁ、あの志高かったあのころは、帰ってこないのかもしれない、と、時々、悲しくなり、さびしくなり、あせったり、するのだと思う。
そんな、冷静さを持ちながらも、ホームパーティーで、今の、幸せを、満喫している、気になっている、木になっているのかもしれない。
だから、とてもよく、この本の内容がわかる。
自分が、そうであったから。
だからこそ思う、この本は、若者、ピースボートに温かいまなざしを向けている。と。
冷静な目で、見ているように一見、見えるが、その実、温かい。
ルポとしても、社会学、若者論としても、幸福論としても、面白い。
そして、参考文献もみんな、読んでみたい気にさせてくれる。