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がきデカ。
世代じゃないけど名前は知っている。
その作者の小説。
ハードボイルド探偵小説。
王道作品だと思う。
が、なにしろ読みにくかった。
文章になんとも言えない癖がある。
正直苦手だった。
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『羊の木』の系統だと思って買った。長かった。
物語の主要なテーマとなる「犯罪被害者・加害者を取り巻く環境と社会運動」等の背後にある膨大な事件の存在、社会運動の理想や理論展開などの記述がしっかりしている。
段々のめり込んだ。
探偵としての調査の実際的な流れや駆け引きがリアルだった。
犯罪被害者・加害者の苦悩を初めとして、複数の大きな人間的テーマを扱っている現代小説。
時が経っても鑑賞に堪える小説にしたかったからこそ、文章に独特の癖や味をつけたのかもしれないと思った。
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あの、山上たつひこが、こんな小説を書けるのか!ビックリでしたよ。
タイトルがいい。(文庫化にあたって改題したようですが)
このタイトルでミステリーだったら読まずにはいられません。
が、ちょっと期待過剰だったのかもしれません。
決してつまらないという訳ではないんですがね。
オーソドックスなハードボイルド小説としては完成されてると思いますよ。
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山上たつひこ、という名前であれっと思った。
確認してやはり、がきデカの人だ、と、思ってちょっと驚く。
ビーバップの木内氏の作品もそうだったけれど、絵によって表す人はここまで、多くの言葉をその裏にひたひたと溜めていたのだなと。ひとつひとつの描写がまさに精密でなにかを穿つかのように、絞り出されることのはへの執着に一瞬、言葉を失う。
物語は奇しくも、木内氏が選んだようにぴたりと探偵にとどまる。どうしてなんだろう?絵から文章に転じる際になにかしら、探偵というヒロイックな孤独にシンクロする、そんな引き寄せの化学反応でもあるんだろうか。
兄を殺された医者の息子が知ろうとする、被害者家族の現状。偶然にもその被害者家族の姉妹がこだわる、母を愛し母が愛した足長おじさんの行方。相反する依頼の間で悩みながらも利益の衝突はないものと引き受けた探偵が知ることになる、暗い真相。
登場人物がみな、ひどく傷つきやすく日常に倦んでいる物語なのだが、割に引きずられずに読み切れたのは、おそらくはその登場人物たちの弱さとあまりのもろさに、このストーリー自体がオブラートのようにゆるく巻き付いているからなのだろうと思う。常に深入りすることはなく、誰も本当には取り乱さず、非常に低体温。その適度な距離感が常に読者に、これは物語なんだよ虚構だよ、と、語らい続ける。
誰も傷つけずに収束する、この物語は果たして正しいのか。あたしにはよくわからない。けれどひとつわかったのは多分、この人はギャグマンガを書きながらも、ひたすら苦悩していたのだろうと言うこと。自らが産んだキャラクターと自分のストーリーを乖離させようとしておそらくは、常に距離を保っていたその姿勢が、ここにまま、移されていたのだと考えれば、この内容も納得がいく。
主義主張は正直、あまり伝わらなかった。胸に迫る勢いはなく、ただ寂寥感と虚無感がぽん、と、投げ出されている事実を眺めることしかできなかった。読書に心を揺さぶられるベクトルを欲する人には勧められず、ただその寂寥感と文章を、まとうように味わえるのであれば、勧められるんだろうか。