紙の本
まだ若いか。もう老いたか。
2011/11/18 08:04
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノーベル賞作家大江健三郎についてとても興味深く思っているのは、学生の頃から作家として活動を始めて社会人としての生活、ここでいう社会人というのは組織に属してそこから何がしかの生活の糧を得るということだが、をしていないことは作品にどのように影響しているかということだ。
大江の場合、息子光が障害をもって生まれたことでまったく違った展開を見せたと思うが、大江以外の作家たちでそういう経歴を歩んでいる人たちはどうなのだろう。
沢木耕太郎も「会社勤め」をしたことがない作家の一人だ。
沢木は「定期を持たない人生を選んだとも言えるし、定期を持てない人生を余儀なくされたとも言える」と、本書収録の「ブーメランのように」というエッセイの中で書いているが、沢木が入社式にでてそれっきりで会社を辞めたのは有名な話だ。
そんな沢木がそれ以降どんな活動をしてきたか、その執筆活動を支えたのは、好奇心そのものだったのではないかと思っている。
人への好奇心、場所への好奇心、生きるそのものへの好奇心。
沢木耕太郎の魅力は彼が持つ好奇心の魅力だ。
本書は『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』につづく、三冊目の本格エッセイ集だ。13篇の、おしゃれなエッセイが収録されている。
いい意味でも悪い意味でも、ここにはいつもの沢木耕太郎がいる。かっこよくて、男くさくて、しゃいで、背筋の伸びた。
沢木が変わらないのは好奇心が衰えないからだ。いつまでも何かを求め、ここではない場所に行こうとする。 「若々しいですね」という言い方は古臭い常套句だが、沢木に限っていえば、まさにいつまでも「若々しい」のだ。
沢木耕太郎にはまってから、たくさんの水が橋の下を流れた。
沢木はいつまでも「若々しい」が、私もまたそうであるだろうか。思わず、長年読者として沢木を読み続けてきた自分の顔を橋の下を流れる水面に映してみたくなる。
まだ若いか。もう老いたか。
はたして。
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書店に平積みされていたので、図書館で予約して読みました。だいぶかかりました。
「氷が溶けたら何になる・・・」の話は、同時期に読んだ、呉智英「サルの正義」の中でも出てきました。偶然にしてはすごいなと思いました。評論家のネタになりやすいんだな。
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最初のいくつかは「Story Seller」で読んでいたが、もう一度読んでも十分味わい深い。というか沢木さんのエッセイは何度も読み返したくなるものばかりである。
特に興味深かったのは「春にはならない」というタイトルの一編。
ひとつのエピソードが人から人へ伝わっていく間に、微妙に改変されていくことへの無自覚さ。よくできた話やどこかで聞いたようなエピソードを鵜呑みにしてはいけないのだなと思った。
「ブーメランのように」で描かれるダンディズムは正直よく理解できない。それは私が男ではないからなのだろうか。「団塊の世代」の人たちは、けっこうな割合で「群れること」「集団に属すること」を嫌う人が多いなあとも思う。いつも外部からひとくくりにされることが多いからこそ、逆に一匹狼でいたいと思うものなのかもしれない。
沢木さんのエッセイは、都会のしゃれたバーで大人の酒を楽しんでいるような風情があって、ちょっと背筋が伸びる感じがするところが好きだ。
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久しぶりにこの著者のエッセーをまとめて読んだ気がした。旅、映画、スポーツ、亡くなった人々。ならではの題材を凄烈な筆致でつづる。読むと懐かしい人に会ったように思えてしまう文体。時代は巡り話題は新しくなっても、没頭して読んでいた学生時代の気分を思い起こさせてくれた。
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作者である「沢木耕太郎」の人間味がにじみ出ている本。
ファンにはたまらない一冊です。
「どこにも属さず」という一匹狼を貫きながらも
出会いを誰よりも大切にされている沢木さんの姿勢に、
人としての強さと温かさを感じる。
チェーンスモーキングや、バーボンストリートなどに比べると、年齢のせいか幾分文体にキレがなく、丸くなった印象を持ちました。
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沢木耕太郎は20年くらい前に読んで大きな影響を受けたこともあり、その後もなんだかんだ、ほぼ全作、追っているが、だんだん、臭さが目についてきた。エッセイをまとめるために事実解釈を無理矢理つぎはぎしたり、結び付けている技巧の跡がよくわかり、ナルシシズムも感じられ、白々しく思ってしまう。20年前、「バーボン・ストリート」を読んだときは、魔法のように巧みな文章と思ったものだが…。村上春樹と同様、飛行機ではレッドアイを頼む、というエピソードにはへ〜。やっぱり意識してるな、と。沢木氏の著作を通じて知った懐かしい人物や文体に再び出会えて懐かしかったが、ご年齢のせいか、いまいちバージョンアップされた感はないなあ。20代の頃の青さ、切実さを感じさせる作品が、やっぱり光ってた気がするが、そういった変化を含めて、同時代の作家を追っていけているのは幸せなことのようにも思った。
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「ブラディマリー」というカクテルがあるが、これは英語だと「ブラディメアリー」ではないかと。このマリーは誰なのか、誰が飲んでいるのか、そのことだけで、おもしろいものが書けるのだから、読ませる力があるのだと思う。
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久しぶりの沢木耕太郎さんのエッセイ集。好奇心がますます旺盛で軽やかな沢木さんの生き方と想い方がこ気味いい作品。静かな夜に酒を飲みながら読むのに最適です(^-^)ニヤニヤしたりホロリとしたりプッと噴き出したりシミジミしたり、自分の感情と遊べる一冊。
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エッセイ集。じっくりと読めた。こんな話をもっと読みたいな~
2011.12.12
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面白かったぁ。
タイトルそれぞれ。
あとがきまでも。
エッセイなので。
有名な方々のそれぞれのエピソード。
も、また、面白い。
個性的で!
ふむ、いいんだ。
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エッセー3部作。
沢木耕太郎の文章のファン。
有名女優との交流や中国での宮崎アニメをめぐる話などが印象深かった。
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手許に留めたおいたもので読み始めて巧さが納得できる~「男派女派」人生で大事なことを教えてくれるのは誰か・寿司屋の大将は男だと言うが,靴磨きの老女を見て女からだと思う。「どこかでだれかが」自分とそっくりな誰かが不幸だったらなんて考えなくて良い。「悟りの構造」インドで第三の目が開く夢を見たが,映画の影響であって,自分には歩ける以外の異能はない。「マリーとメアリー」飛行機で食前酒に頼むブラッディーマリーのマリーが仏王妃アントワネットだと勘違い。「なりすます」仕事場の近くのパン屋の亭主は自分が大学の先生だと思っているようだが,それは駒沢ではなく日体大のようだ。「恐怖の報酬」蛇かゴキブリかと問われると蛇が怖い。「春にはならない」本当らしい嘘と嘘のような真実。「ブーメランのように」アメリカの不況で学校卒業後に家に帰る若者をboomerangといい,その親はbaby boomerであり,団塊と言われるのが嫌で断る仕事もあったが,義理で連載した雑誌の名がずばりdankaiだった。「ゆびきりげんまん」山口組組長狙撃犯と射殺された銀行乗っ取り犯の両方と付き合った女性の報道は本当か嘘か。「挽歌ひとつ」高峰秀子・デートリッヒ・尾崎豊。「言葉もあだに」気を付けても失言は停まらない。「アンラッキー・ブルース」インタクトというスペイン映画で運・不運を考える。「沖ゆく船を見送って」無人島に持って行くならWBSウィニング・バカラ・ストラティジーでバカラの必勝法を研究する~1947年東京生まれのノンフィクションライター。エピグラフで嘘をつく。ばらばらの思いつきを書いているようで,最後には上図にまとめている。さすが
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今から20年以上前読んだ「バーボン・ストリート」「チェーン・スモーキング」かっこよかったなあ。
それからしばらく、味も分からないくせに、バーボンを飲んでいたもんなあ。
今作はその2作の続編という位置づけ(と帯にうたわれいる)。感想は、期待が大きすぎて…という感じ。
単にほかの作家さんのだしたエッセイ集として読んだら、充分面白いと思う。
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バーボンストリートやチェーンスモーキングのようなスタイルの沢木さんのエッセイは もう読めないと思っていたので、書店で発見して感激しながら即買い。
有名人との交流や献辞の出展など、意外な話がいっぱい。
相変わらず面白く、相変わらず格好いいです。
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久しぶりの沢木耕太郎さんのエッセーです。
“深夜特急”の時のような若々しさがない分、
私には少し物足りない気がしました。