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おもしろい。
研究費の配分のしくみ、ねらいがよく書かれていて、しかも第四の価値の主張がとてもエンカレッジされた。
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学者らしく定量的にグラフやデータを多様して分析していて分かりやすい。NPOなどは、日本では浸透しにくいかもしれないが、アイディアは共感できた。超電導の話は面白い。随所に政治のリーダーシップが前提に書かれているが、今の政治にはあまり期待できないかも…
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シュウゾー購入本、のような題名ですが、自分で買いました^^
内容は、「経済の伸張はイノベーションなしには達成できない」「したがって、イノベーションを起こす国内での投資が必要だ」「研究助成のあり方を変えて日本独自の2段階方式にしたことで、日本の研究は好転してきている」「日本の科学技術は相対的に優れたポジションに今はいる」「もっとここに投資すれば将来いいことあるかもよ」
というような内容。
おおむね、合理的な話であり、共感できる内容であった。
経済に関する考え方としても、一国単位でみたときに(あるいは世界単位と言い換えてもいいかもしれない)、「貯蓄はできない」というのも、とてもシンプルで的を得た説明だと思う。つまり、社会のどこかのセクターにおいて、貯蓄がなされればそれを別のセクターが投資する。この「投資」を国に任せきりにして、しかも失敗してきたのが日本の今。必ず「投資」をしなくてはならないのであれば、是非とも科学技術に!という展開だ。
小中高生に読んでほしい本だな、とも思う。
最後の方に、著者の専門分野における科学技術の現状とそれの応用例、今後何十年にもわたってのロードマップのような話があり、とてもわくわくさせられる。素直に、「科学技術って面白い、こんな壮大なことを考えながら研究をするって楽しそう」と思えるのではないかと思う。
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JST理事長の北澤宏一氏の本。
学術的な、あるいは科学的な視点から書かれたものを期待して読んだが、どちらかというと経済的な視点から日本経済を支えるための科学技術の在り方が書かれている。なので、想定していた内容とは少し異なったが、これはこれで面白かった。
具体的なデータを提示して定量的に議論が展開されるのがよかった。例えば、日本の大学(東大、早稲田)とアメリカの大学(ハーバード etc.)の年間収支の比較。日本の大学は、東大(国立)は国立学校特別会計(国からのお金)、早稲田(私立)は学生の授業料が主な収入であるのに対し、ハーバード(私立)では事業収入と寄付金が多く、それらを合わせると収入の半分位を賄っている。グラフが掲載されているので一目瞭然であった。
この本は DISCOVER サイエンスというレーベルの本で、
名前から想像できるように超訳 ニーチェの言葉 なんかを出してる Discover21 が出版社なのだが、このシリーズは他にも面白そうな本ばかり。まだ5冊だけど今後出てくるのが楽しみ。
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アメリカは「日本は基礎科学や基本技術での寄与をしないで量産技術だけで市場を奪うアンフェアな国である」
東大の収入/支出が2000億円
武田先端知ビル
2%合理化できる、その分GDPが伸びないと
貯めておこうという日本人マインド
アメリカでは5%寄付できるような大人になりなさいと教える
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『科学技術は日本を救うのか―「第4の価値」を目指して』
(北澤宏一、2010年、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
本書は、若者が未来への夢を失くしているというプロローグの問題提起から、日本の経済を再生し、科学技術を用いて「第4の価値」を創造すれば、若者が未来に夢を持てるはずだということが書かれている。
日本の科学技術の水準の話、日本経済の長期停滞の理由(これを筆者は25年に及ぶ国際収支黒字がもたらしているという)、第4の価値の説明、科学技術を用いて地球の環境を守る(主にエネルギー供給の面で)ことができる事、などを解説している。
日本の科学技術の現状がよくわかることや、最新の科学技術の知見を用いた将来のビジョンが分かる点は非常に良いと思うのだが、何故それを若者の夢に結びつけたのか、また、第4の価値がどのように経済的な再生をもたらし、若者に夢を与えるのかがかなずしも明らかではなかったようにも思える。
いずれにしても勉強にはなった。
(2010年11月26日 大学院生)
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この著作の一番の特徴は、グラフが多いということだと思う。
単にグラフが多いだけではなく、重要で且つ見やすいつくりであると感じた。
科学技術が経済と密接に関わりを持つことを改めて認識させられた。
他の若い人にも読んでもらいたくなる本。
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仕事の関係上、科学に興味を持ち始めた今日この頃。
この本は五月くらいに買ったのですが、図書館の本を消化するのに必死で、ここまで時間がかかってしまいました。
印象に残った内容は幾つかあります。
まずは基礎科学を進展させてきた研究方式の話。
予防接種や殺菌法など、「このような問題を解決したい」という目的を持って始めるのが問題解決型の研究です。
一方、「これが不思議だ。これがまだよくわかっていない」という好奇心に基づいて行われる研究を好奇心型研究と呼びます。
好奇心型研究は鉱山を探すようなものであり、中々成果があらわれません。また、課題解決型と違って何に役立つかがはっきりしないため、パトロンもつきにくい。現代の科学界では、好奇心からでは技術が生まれにくいのです。
これを見たとき、以前読んだ雑誌コラムのプログラマーの話を思い出しました。
アメリカではアイデアだけの人を揶揄する言葉があるそうで、「それを実現させる方法まで考えろよ!」って思われるようです。
アイデアだけがあっても実現させなければ意味がない。真理だと思います。
この本では他にも太陽電池などの自然エネルギーの話や科学に対する政府の政策の話、現在進行形の夢の技術の話などがあります。
日本の競争力の源泉は科学。今こそ一人一人が科学を理解すべき時代なのではないでしょうか?
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近年の日本の閉塞感・倦怠感は日本人が希望を持てず積極性をなくしているからだとし、希望が持てるための対策として、「第四の価値」="「大きなビジョンの下に初めて実現できる夢」"を科学技術によって創出することを説いている。
希望的観測に基づく理想を語るのではなく、現状を詳細に分析したうえで実現可能な対策を論じている。
以下、自分の解釈(間違っているかも)。
日本はバブル期以来巨額の「双子の黒字」(貿易黒字と所得収支黒字)を出し続けているが、それによって円高が進行、企業の新規技術への無関心さも相まって産業と消費の流出が拡大した。
日本企業は内需を増やさなければならないが、需要はパチンコをはじめとした娯楽などに集中し、"何に投資するかということに高い志が表現できない国"となってしまった。
そこで筆者は、"社会的・精神的に価値のある"「第四の価値」を創出する事業を挙げる。
これは単なる慈善事業ではなく、政府が仕組みを作り国民や企業が投資、最終的には経済なペイを伴う立派な産業システムだ。
こうした事業のキーとなるのは、自然エネルギーとその関連技術。高い科学技術力により実現される自然エネルギー事業は、環境問題への対策はもちろんのこと様々な科学へ刺激を与え、ひいては"社会的・精神的に価値のある"ものとして「第四の価値」を生み出し、若者へ夢を与える。
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第四の価値というものが世界中で広まっていて、それを科学技術という側面から切り込んでいる本。モチベーション3.0(山中未読)を読むとさらに分かりやすいかも。
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面白かった。こういう本は、楽しい。北澤先生自体も、楽しい人だったな、講演を聞いた時。こういう人に、リーダーシップを取ってもらって、この国の道筋をつけてほしい。最近、政治家ってのは人に会うことだけが仕事で、基本はすっからかんじゃないのかな、て思ったりしていて、政治家なんて職は来世紀にはただの詐欺師の別名で、もう絶滅してやしないかな、とか思ったりもする。こういう、実際に、仕事を成し遂げてきた人じゃないと、物事を変えることなんてできないんじゃないかしら、もう今や、て思う。でも、それですらも難しいのかもしれないけれど。(12/7/14)
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今話題の山中教授がなぜ研究費を支援してもらえるに至ったかの経緯が少し書かれていた。
話の内容は、、、夢物語が過ぎる気がしなくもないけど、実現したらいいよね、という感じです。
熱い方なのでしょう。きっと。
もっと具体的に組織を作るなど動かれてみては、と思います。
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この本のテーマは「第4の価値」の追求であると言える。問題は、どうしたらそういう方向へ資金や人材を回せるのか、ということかと思う。
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科学技術力の経済に及ぼす影響について述べられた本。データが豊富で、論理的に書かれており説得力がある。印象に残る箇所を記す。
「優秀な研究者を集めることができなければ、地域の大学に生きていくすべは残されていません。一流でなければ、通用しないのです。それがグローバル化した社会の必然であると思います」
「メーカーはグローバル化で困っていない、困っているのは国民と政府だけということになります。早く言うと、日本の国民と政府は民間企業に見放されたのです」
「現在勤めている人達がいずれもらう退職金などを含め、一軒の家には平均すると5000万円くらいの金融資産があるというのが、今の日本なのです。この金融資産の7割は65歳以上の人の名義になっているといわれています」
「誰かが貯めたお金は、誰かが借りる。借りた誰かはそのお金を必ず使ってしまう。すなわち、社会全体としては後世に貯蓄を残すこともできないし、逆に後世に借金を残すこともできない」
「パチンコ産業の年間売上は2009年度で約25兆円あります。パチンコ店で国民一人当たり平均2万円ずつ、使っていることにあたります」