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紙の本
こんなにも大きな“宇宙”の物語
2002/02/13 22:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MIYA - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は21世紀後半、木星系の開発という人類の新たな挑戦が始まろうとしている時代を背景にした近未来SFである。すでに一冊の既刊があり、以後も続刊の予定。難しいことはいい。是非とも続いてもらわなければならない、珠玉の名作であると断言しよう。
第1巻では主人公三人を中心とした群像劇だったが、この第2巻では主人公をハチマキ一人に絞り、彼が「夢への第一歩」と位置づける、木星往還船クルー選抜の過程を描いている。
見所は彼の後任としてデブリ回収に当たることになった、タナベ嬢とのたびたび繰り返される信念の応酬だ。もともと異なる立場や価値観のぶつかり合いがよく描かれている本作だが、彼女とハチマキのやりとりはある意味で作品の根幹に関わるテーマそのものだといえる。
「夢のためには魂だって売る」というハチマキに、「愛のない選択はよい結果を生まない」と主張するタナベ。「宇宙は一人じゃ広すぎる」というタナベの存在が、最終的にはハチマキの「ちっぽけな宇宙」を大きく書き換えていくのだが…この辺りには少々、強引な部分が見えるかもしれない。だが、ご都合と言えるほどではないだろう。
ラストでの、憑き物が落ちたような主人公の表情と余裕ある呟きは、単行本一冊を通じて描かれる価値のあるものだと思う。
ネームが多く、描き込まれた絵にありがちの読みにくさは感じない。むしろすっきりとまとまっていて、読みやすいと思うくらいだ。絵柄の好みはともかく、その画力には文句の付け所はないだろう。「精緻だが力強い絵」という私的な印象はそのまま、さらに技術の向上が見られる。その描く人間は生きており、宇宙は果てしなく広大だ。
とにかくパワフルな作品である。ハードSFを気取って読者ウケする些末な設定にこだわるよりも、しっかりとした人間のドラマを描いている点に好感が持てる(もちろん、充分すぎるほどSFだ。心配無用)。前向きな意思の力を喚起されるという意味では、あらゆる年代に問題なく勧められるだろう。
電子書籍
ロックスミスとハチマキの父親
2021/10/27 12:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くつした - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は何かを決断する時、ロックスミスとハチマキの父親のエピソードを思い出します。大きな成功を掴める人間はこういう人間のような気がします。近くにはいてほしくはないけど・・・。
紙の本
夢を切り拓く力
2002/04/25 14:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宇宙での生活を切り取った連作集といった趣の1巻と異なり、2巻では主人公ハチマキを中心に大きく物語が動き始めます。
木製往還船の乗組員に志願するハチマキ。夢のためになら何でも出きると想うことを力の源としていたときに、現れたのが後輩タナベ。そんなハチマキを見て、彼女は「愛がない」と指摘します。
相変わらずの圧倒的なリアリティと美しい絵の中で、ハチマキの揺れ動く心が丹念に描かれます。
こんなに続きが待ち遠しい物語は久しぶりです。この本は読むべきです。
紙の本
もっと遠くへ
2002/04/17 20:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハチャメチャながら妻には弱いハチマキの父・ゴローと、一筋縄ではいかないデブリ回収の新米・タナベが登場。新たな資源採取基地を造るために募集された木星往還船クルーの座を目指してハチマキがひたすらに奮闘するものの…男のロマンは所詮、女・子供には理解出来ないのか、このまま楽しく皆とゴミ回収業を続けて欲しいなぁ〜などと思ってしまいました。それじゃ話が広がらないか…。
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