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紙の本
どっかに楽して金儲けできる方法はないもんかなぁ、と思ってしまう人に贈りたい
2006/01/26 00:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る
できれば楽してお金がほしい。だって、あって悪いってものではないから。食費に税金、生きていくのになにかとかかるし。宝くじ当たらないかなぁ、どっかに「ウマイ話」はないかなぁ、と思っているのは私だけ、ではないはず。
本書のタイトルになっている「クロサギ」とは詐欺師を騙す詐欺師のこと。人を騙し金銭を奪う「白鷺」に、異性を餌とする「赤鷺」、そして詐欺師を騙す「黒鷺」と、詐欺師にもいろいろといるようです。主人公の黒崎は詐欺師によって家族を破滅させられた青年。悲惨な過去を持つ彼が「クロサギ」となって、憎むべき詐欺師たちを罠にはめていく、というのがおおまかなストーリー。ルポやノンフィクションではなく、マンガというスタイルにすることで、世にはびこるさまざまな詐欺の仕組みを身近にわかりやすく紹介しています。マンガなんか子供の読むものと決めてかからず、ぜひ大人にも読んでもらいたい作品。一巻の書影がないことと、この巻がネット詐欺を扱っていることから、ここでは七巻を紹介する形になりましたが、どのエピソードも面白く、シリーズ通してお勧めします。
「楽して金が稼げる方法を知っていたら、わざわざ人に教えることをしないだろ」とは知人の鉄工所の職人の言葉。ここに詐欺の正体があるように感じます。労せずして金儲けがしたいという人を利用することほど、労せずして金儲けができる方法はないのかもしれません。
本書を読んで気づかされるのは、巧妙な騙しのシステムのすごさ。まるでシステム自体が強欲な意思を持っているかのように金をむしりとっていきます。儲けを生んでいくシステムにカモを放り込むだけという詐欺師たちこそ、誰よりも楽して金儲けをしているのです。そんな詐欺師たちが「クロサギ」に食われていく姿は「ざまあみろ」なのですが、主人公を駆り立てる復讐の念が読むものの胸に小さなとげのようなものを残します。
本来、お金というものは価値を保証し、交換を可能とする価値の代替物であり、価値そのものではないはずなのに、それが唯一絶対の価値であるかのように金を求めるのはカモも詐欺師も同じ。そこまでして得た金と交換する価値あるものを彼らは持っているのだろうか。復讐という揺らがない自分だけの価値観がある黒崎だけがまともに思えてきてもしまいます。
ちなみに前述の職人は「金はなぁ、俺みたいに汗水たらして稼ぐもんだ」と言いいながら、休日には朝からパチンコ屋に並びます。人間って弱い。
紙の本
二人の接点
2007/01/07 11:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ダブルディ - この投稿者のレビュー一覧を見る
④巻以来、黒崎を目の敵にする刑事神志名
(かしな)の登場。
ただし、今回は、黒崎と直接相対する
ことはなく、ネット詐欺(オークション詐欺・
ワンクリック詐欺・フィッシング詐欺)を
行なうシロサギに対して、黒崎は、“クロサギ”
として、神志名は、刑事として、お互いの
〈仕事〉を遂行しようとする。
そのシロサギに、先にたどり着けるのは?
この巻において、神志名が、神志名とともに、
この作品になくてはならないキャラクターである
黒崎が大家をしているアパートに住む検事志望の
大学生である吉川氷柱と知り合いになるところが、
大きなポイントとなる。
神志名は、黒崎が詐欺師であることを吉川氷柱が、
知っていることを知ることになる。
今後、刑事と検事志望の大学生の二人は、
黒崎とどのように関わっていくのか
この作品の大きなポイントの一つである。
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