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福島を知る一冊。
福島の方が、あのときをどうむかえていたのか、何を思っていたのか。
知っておくべき本。
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【本から】
[話] 須藤栄治さん・38歳
避難所では、救援物資をいただき、たくさんの支援を受けま
した。そうした時間の中で、被災者はいったい何ができるん
だろうと考えた。で、こう思ったんです。今の自分たちが返せ
ることは、「ありがとう」という 言葉や思いしかないんだ。
「ありがとう」は 誰もが言えるし、「ありがとう」 からネガ
ティブなことは連想できないと思った。何でもいい、「プラスの
もの」がほしかったんですよ。
[伊藤朗子(あきこ)さん]・50歳
後始末できないようなものを、自分でスイッチを切れないよ
うなものを、作ることに対する怒りですよね。原子力ってすご
くハイテクだと思っていたら、スイッチを切っても止まらないよ
うな、そんなものだったのか、と。そういうことも知らずに、
私たちはいきていたのかという自分への 怒りもありました。
原爆を落とされた国なのに、なんでそんなものを作らせて
平気でいたんだろう、みたいな。それを許していた自分への
怒りもあった。
[山口松之進(しょうのしん)さん]・41歳
全県民の医療費を無料にして健康調査をすべきだと思う。
とにかく早期発見を徹底して、「健康」を看板としたまちづくり
をしたらいい。今回の事故を逆手にとって、プラスに変えられ
るんではないかなあ。これをマイナスのままにしていたら、
補償だけの話に終始することになる。補償は必要かもしれな
いけれど、でも補償って貰ってそれで終わりです。
100億円を補償してもらったって、1年間に 1億ずつ使った
ら、100年間でなくなっちゃう。そうではなくて、自分たちの力
で生活できる方法、つまり「働き場」を創造すべきなんです。
[高橋香(かおる)さん]・33歳
実際、障害児が自分の家族の中にいなきゃ分かんないって
ことって、いっぱいある。たとえば、ホールボディカウンター
による放射性物質の検査。障害児って対象外なんですよ。
健常児は検査できるけれど、同じ小学生でも障害児は
対象外ですから。
[鞍田炎(ほのお)さん]・49歳
こういう事態を招いた東京電力、政府に対する怒り。
そして、自分たちの先人はいったい何をやってきたんだ
という怒りもある。 怒りの感情はなかなか消えません。(略)
本当に皆さん身近なところで悩んでいる。そうしたことをひし
ひしと感じる。あと15万以上の人がね、いまだに県内外に
避難している。こんな状況は異常ですよ。
[感想]
「ふるさとをあきらめない、フクシマ25人の証言」という
タイトルを見た瞬間、すぐに手にとった。25人の方々の証言と
インタヴィューされた和合さんの26人の方々の「思い」は、
故郷の母、兄夫婦、友人、知人の「思い」と何度も重なった。
宮城県の亘理町、浜吉田は福島県に近いので、
「原発事故」も直接的な問題だ。「津波は経験した者でないと
わからない」という言葉を兄から、友人から直接聞いた。
そうだと私も思う。経験してない私が出来ることは何か、
そのような思いで、あの日から現在に至っている。
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市図書館。
思った以上にみんな翻弄されていた。
あの時の選択は間違っていなかったのか、と一生思い返し続けるんだろうな。
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「この震災を経て、私たち日本人の間にはいくつもの川が生まれた。」
ー
「ここに込められているインタビューの集合体に、いつしか私の震災の日々の思考を、他者の言葉であらゆる限りに込めたいと願うようになった。自分ではなく誰かに語ってもらったものに<宿る>何かこそが真実だと確信した」