投稿元:
レビューを見る
東南アジアなSF→バチガルビっぽい。けど、熱気と匂いがあまりしない。リアリティはバチガルビに軍配
ロボットとか、未知の世界への憧れとか、男の子だねぇ~というお話。前半。
後半は結婚に関する話
AI 3.0とかが出てきて、賢さ別に管理する。将来的にありそうで、リアリティを感じる
話間で共通のガジェット多い
表現が耽美。薔薇を燃やした灰の匂い、なんてことがさらっと書いてある。すごいね
だが、記述がだらだらしているので退屈でもある
ナノテク、情報技術、AI、遺伝子工学、ロボットとSFネタは盛り沢山だが、アイディアは落ち着いていて、目から鱗程ではない
これで1,785円は高いと正直思う。前2作の新SFシリーズではそう思わなかった。
投稿元:
レビューを見る
イギリス生まれ、アイルランド在住の作家が描く、近未来インド。これだけで面白そうでしょ? それは太古の精霊のごとく、AIが跋扈する世界。それぞれの仕方で新世代のジンと関わる主人公たちを描いた短編集で、時にユーモラスに、時に切なく、彼らの交流の顛末が描かれる。異なる生き方をする者同士つながること、そしてやっぱり、人間とは何なのかということを考えさせられる。
投稿元:
レビューを見る
面白かった!分割した未来のインドを舞台に超知性やAI、第三の性、ネットワークに存在する複数の人格AIを描く。7つの短編どれも面白かった。なかでも好みは「暗殺者」、敵対する二つの家、ロミオとジュリエットの過激版?と勘繰ったけど、題名がこれなので・・最後はなんとも
「小さき女神」神になった少女、ワイヤーから落ちて死んだ叔父を笑いながらみていたところから神の資質は・・・神ではなくなってからも面白い
「ジンの花嫁」「ヴィシュヌと猫のサーカス」も良いです。好きです。
投稿元:
レビューを見る
7 つの中短編からなる作品集。
眼で活字を追っているのだが、
なぜか脳に物語が定着せずにすべり落ちてしまう。
残念な思いをした。
「ジンの花嫁」
2006 年 英国SF協会賞短編部門受賞作品。
2007 年 ヒューゴー賞中編小説部門受賞作品。
投稿元:
レビューを見る
物語にあるような未来がくるのではと思わせてくれたこのSF小説は、(例えそれが自分の無知や勘違いに基づくものであっても)好きであり凄く楽しめた。ただ、扱われているテーマについての知識に乏しい私にとっては内容を読み取るのに結構気合と手間が必要であった。
【*個人の感想です。】
近未来のインドを描く連作中短編7作を収録した作品。
過去の出来事を語りかけてくるように感じる文章のためか、インドに自分が入り込んで匂い、熱気、喧騒といったものを感じられるようなリアリティさは無い気がした。そのことではじめうちは何となく物足りなさを感じた。しかし、読み進めるうちにその淡々としているように感じる文章が、登場人物の感情・考えの変化や多彩なSFガジェットの面白さを際立たせているように感じられ引き込まれた。
また、無人・遠隔操作兵器、水不足、AI進化、遺伝子操作、リアルとバーチャルのボーダーレス化、貧富格差、結婚問題といった現代でもよく耳にするようなテーマを扱っていることと、無知な私からみて神秘的かつ謎めいている国インドが舞台であるということの組み合わせから、インド起点だったらこの物語で語られているような近未来がくるかもしれないなあと思わせてくれるリアリティさを感じた(実はインドの人が読んだら“そりゃあ無いだろう”な設定なのかも知れませんが...)。
インド神話・風習やテクノロジーに纏わるキーワード及びSFガジェットが多く散りばめられていることと、多くの情報が短い文章の中に盛り込まれているなあと感じることがままあったので、読み解くのに手間取り読了するまでに結構時間が掛かった。と言って難解なキーワードが多いという訳では無く、ネットで一寸調べることで何となく理解出来る程度の基本的なものが多く、事前に知らなくても少し手間を掛ける必要はあったが凄く楽しめた。ただ、インド神話、風習についてもっと詳しければ、もっと深い読み方や違った捉え方が出来るのかも知れない。
この作品のようにこんな未来がくるかもと思わせてくれたり、またはこんな未来や世界があったら凄く面白いかも、怖いかも、嫌かもなどと強く心に感じさせてくれたりする作品に出会うのも、私にとってはSF小説を読む楽しみの一つである。ただ、そう思わせてくれる根拠が、必ずしも論理的に積み上げられていたり、科学的裏付けがしっかりしていたりしていることが必須とは思わない。例えそれが自分の無知や勘違いに基づくものであっても、またはこの作品のようにインドの神話性や神秘性といった非論理的非科学的なもので色付けされてあってもよく、大事なのは読んでいるときに少しアホらしさを感じたとしても「いやーアリだな。」と感じ続けられるかどうかであると思う。そういう意味でこの作品は、将来についての現代的なテーマと近未来のインドという謎めいた舞台設定の組み合わせにより、私にとっては「アリ」の作品であり楽しめた(ただ、同じ作品を読んでもそのように感じられるかどうかは人それぞれだと思うし、また自分自身も暫く経ってから読んだ時に同じようにまた感じるのかどうかは分からない)。
この作家の『火星夜想曲』や『River of Gods』も読んでみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
世界観がしっかりしすぎていて入り込みにくいのですが、その分入り込んだらすげー面白い!!ってなりました。
投稿元:
レビューを見る
これは今まで読んだ事のないタイプの作品。
だって、近未来のインドが舞台!なんだかとてつもなく新鮮でした(笑)
個人的なお気に入りは「暗殺者」。
敵対する名門一族の男女の恋。甘さと切なさのバランスが絶妙です。
「小さき女神」と「ジンの花嫁」も良かったな。
「シャンタラム」を読んだ時にも感じた事ですが、
インドには、猥雑さもあれば例えようのない美しさもあって。
混沌とした中にも、抑えられたパワーが満ち満ちています。
そこがこの本の魅力で、こんなにも惹きつけられるんでしょうね~。
投稿元:
レビューを見る
ヒューゴー賞の「ジンの花嫁」が評価は高いのかも知れないけど、自分としてはその前後にある「小さき女神」「ヴィシュヌと猫のサーカス」が面白かった。
「小さき女神」は、AIや遺伝子改変がされた人間で混沌とした近未来インドを舞台に、ネパールの生き神として育てられた少女が遭遇する数奇な運命の物語。
「ヴィシュヌと猫のサーカス」は「小さな女神」でも登場する、悲喜劇的な遺伝子改変エリート「ブラーミン」の一人が主人公。この短編集の舞台となっている世界観の総まとめとしても読める。
そういえば外国人がネタにしそうなインドの風習といえばサティーを思い出すが、ここでは出てこなかったな……女性不足だから無くなった?
投稿元:
レビューを見る
本当は★3.5くらい。
「Days」というだけあって、近未来、分裂後のインドの日々を描いています。共通するアイテムはパーマとホーク。
最初の数編は事件らしい事件は起きません。
『小さき女神』『ジンの花嫁』で盛り上がり、最後のいっぺんで近未来インドの歴史を俯瞰するという構成です。
大きな事件が起こるのを期待して読むと肩透かしですが、日常を描く佳品としてお勧めできます。
投稿元:
レビューを見る
いいね、この装丁、この紙質、この表紙。遠目に見たとき「あれ、またバチガルビ?」と思った。「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」はこれで統一しているんだね。近未来のインドを舞台にした日常をたんたんと描く。爆発的な面白さは無いけれど、設定と雰囲気で読ませる。SFの舞台設定として東南アジア流行ってるのか?この人の長編も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
2047年、分離戦争まっただなかのインド。サンジーヴの住む村にも戦火がおよぶ。しかし日本のアニメさながらの巨大ロボットの戦いに、村では子供も大人も大喝采。ロボット戦士にあこがれて、サンジーヴは都会へと向かうが……「サンジーヴとロボット戦士」。
―おまえは武器なのだよ、パドミニ―
アザド家によって一族を皆殺しにされ、天涯孤独となったジョドラ家の令嬢パドミニは、父が残したその言葉を支えに生き延びる。
やがて成長したパドミニは、アザド家の若き花嫁となるが……「暗殺者」
ネパールで女神の転生とされる“クマリ”は成長後、血を流したことで座を追われ、インドであるものの運び屋をつとめることに。古い因習と未来のテクノロジーによって翻弄される少女を描く「小さき女神」。
ほか、「カイル、川に行く」、「花嫁募集中」、「ジンの花嫁」、「ヴィシュヌと猫のサーカス」の連作中短篇7全篇を収録。
仮想空間、人工知能、遺伝子操作、巨大ロボットと、近未来・SF設定でありながら、そこに描かれるインドにはヒンドゥーの神々や精霊、占星術やカーストなど、古代から連綿と続く伝統と信仰も健在で、それらがハイテクノロジーと交じり合い、妖しい魅力を醸し出す。日本のサブカルチャーも健在です。
「サンジーヴとロボット戦士」から始まり、章を追うごとに世界観が広がり象られてゆき、特に「ヴィシュヌと猫のサーカス」で迎える物語の終焉は、古典SFの様式美にも似て。
投稿元:
レビューを見る
2011年末、早川書房が満を持して刊行を開始した叢書「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」。50年以上前に刊行が始まり、日本SF界の屋台骨となった「ハヤカワ・SF・シリーズ」の復活である。その間、日本SF叢書「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション」はあったものの、今回は銀背などの造本も受け継いだ正当な後継シリーズだ。3000番台から始まった旧シリーズだが、新たなシリーズは5000番台からのスタート。
そしてその第3回配本が5003番『サイバラバード・デイズ』。近未来のインドを舞台に描かれる連作中短編集Cyberabad Daysの邦訳である。
<太陽は、世界の藍色の縁に沿って回転する、黄銅の碗だ>(p160)
2047年。現在のインドがそのまま続いていれば独立100年祭を祝うはずだったこの年、伝統様式と最先端の科学技術に満ち溢れたインドは大小8つの国に分裂しようとしていた。旱魃による水不足に喘ぎながらも、熱い生命力は新たな時代を切り開こうとしていく。混沌の中の秩序、文化に溶け込んだ先端科学。そんな激動のインドに暮らす人々の人生を丹念に描く、エキゾチックなSF世界。2010年フィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞。
収録作品は下記の通り。収録順。
「サンジーヴとロボット戦士」Sanjeev and Robotwallah
「カイル、川へ行く」Kyle Meets the River
「暗殺者」The Dust Assassin
「花嫁募集中」An Eligible Boy
「小さき女神」The Little Goddes
「ジンの花嫁」The Djinn’s Wife
「ヴィシュヌと猫のサーカス」Vishnu at the Cat Circus
耳掛けや手袋型のウェアラブルコンピュータが生活に浸透し、「ヌート(中性人)」と呼ばれる第3の性が存在するインド。AI(人工知能)が人間を超えようとしており、AIによるメロドラマが絶大な人気を獲得している。
この小説の面白さを一言でいうなら「異文化SF」という点に尽きるだろう。インドという欧米から距離を置いた世界におけるテクノロジーの発展は、日本人にとってもある種のカルチャーギャップを楽しませてくれるのではないか。
その世界は、先端の科学技術を駆使しながらも、まるでアラビアンナイトの世界のような豊穣で豪華絢爛なおとぎ話のような伝統的インドの姿も色濃く残っている。欧米SFとはまた違った空気に浸る事ができるだろう。
本当にインドの人が読んだら、こんなん偏見ばっかりだ!と言うかも知れないけど。
インド中南部の都市ハイデラバード(Hyderabad)はハイテク産業に力を入れており、Cyberとかけて実際にサイバラバードと呼ばれているそうだ。僕は恥ずかしいことにその事自体知らなかったのだけど、この本のタイトルはこの都市の通称から取られていたのだな。「サイバラバード」という単語自体は作中に登場しなかったと思うが、サイバーシティと化したインドの日々を描いた小説なのだ。
SF作家の大御所アーサー・C・クラークは、高度に発展したテクノロジーは魔法と見分けがつかないと言っていたけど、まさに魔法のように進化した技術が彩るインドの街は奇妙に鮮烈で、不思議と懐かしい。
そんな世界でもそこに暮らす人々は男女関係に悩んだりもするし���成長する子供の対応に親はやきもきしたりする。『火星夜想曲』などで知られる作者だが、そこらへんは実に丁寧に描いていて、でもその分スピード感はあまりない。説明も無しに頻出する独自の単語も相まってそこらへんは退屈に感じてしまう人が多いかも知れない。SFってそういう世界を少しずつ読み取っていくのも楽しさの一つなんだけど、SFを読み慣れていない人はそこらへんに躓いて読みとおすのがかなりしんどいかも知れない。
比較的ストーリー性のある「暗殺者」や「ジンの花嫁」なんかは結構読み易いかな。
ところでこの小説、全編を通して「結婚」は重要な意味を持つキーワードだ。どれだけ科学が進歩してもやはり人間の営みにとって結婚は運命を左右する重大な出来事である。近未来のインド的カルチャーの中、若い男女は様々な選択を迫られ、思わぬ出来事に遭遇する事になる。やはり人間は根本的にはそんなには変わらないのだ。
だから、未来であろうと外国であろうと、そこに生きる人たちの一生懸命さやいじらしさは愛おしいのである。
<カイルにはわかっていた。自分がうんと年をとっても、40歳か、ひょっとするとそれ以上になっても、きっとずっとこの日のことを、この光の色と船縁に打ちつける波の音を、覚えているのだろうと>(p65)
しかしあれだな。誤植が目立ったな。僕が気付いただけで2か所あった。314ページの「真底」は「心底」が正しいし、372ページの「惑星状」は「惑星上」が正しい。もっとあるかも知れない。急いで刊行したから校正が間に合わなかったのかな。
ともあれ未訳の姉妹長編River of Godsの訳出も待たれる。
投稿元:
レビューを見る
未来のインドが舞台のSFというのが醸し出すアヤシゲな感じはいいのだが、それ以上の新鮮味が正直なかったな。前評判がいろいろよかったので期待が大きすぎたのかもしれない。
これまでになかった国を舞台にしたSFというのも、手法としてかなり使い古されてきた感あり。次は北朝鮮SFぐらいかしらん。
投稿元:
レビューを見る
近未来のインドを舞台にしたSF連作短編集。
SFは、たまにしか読まないからこそ、脳みそをガツンとやられる。
舞台は2050年頃のインド。圧倒的に発達したナノテクノロジーやサイバー空間・AIなどにより驚異的な発展を見せる一方、政治的には8つの国に分裂し、気候変動による水不足が問題になり、遺伝子操作による男女構成比の崩壊が社会的なひずみを生んでいる。
そんな近未来的な設定が前面に出てくる一方で、カースト制度やヒンドゥー教的なエキゾチックな世界観もがっつり根付いている。
そんなSFと伝統が融合し、AIなどの超技術といかにも人間臭い登場人物たちの葛藤が融合しているところに、本書の魅力があると思う。
色んな意味で異世界への旅を体験できる、類まれな小説。
『サンジーブとロボット博士』はやや平凡な、少年の成長物語だが、『カイル、川へ行く』以降は本当にどの編も魅力たっぷり。
人種間、親子間、人間とAI、男と女、性別を超越した人間、人間を超越した知性の人間、ネオテニー・・・。
SF的な要素をふんだんに盛り込みつつも、根っこにあるのは異文化間理解の困難性という身近な感覚だからこそ、ここまで惹きつけられるのだろう。
とにかく面白かった。
投稿元:
レビューを見る
評判が良かったから読んだけど、特筆すべきことはないですね。
最近インドやらアラブといった新世界(?)を舞台にした近未来SFが多いけど流行ってるんですかね?
自分の素養不足もあって、文化的背景や風土に馴染めず作品の世界にいまいち入り込めないんですよね。
一応理解はしているつもりだけど、自己投影出来ないというかなんというか・・・
やはり馴染み深い日本や西欧に根ざした作品が自分にはあってるように感じました。