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地震や火山活動、台風などによって日本の統治システムが瓦解していくことは、実は珍しいことではない。江戸幕府が倒れたのも、黒船よりも安政の大地震によって既存の統治機構の信頼性が揺らいだからと言われている。
果たして、東日本大震災後の日本社会はどうだろうか。誰も今の政府の言うことなんか信じちゃいない。それでも世の中を覆う漠然とした不安に、我々は向き合っていかなければいけないのだ。
文明論においても、経済成長という幻想は戦後のたった40年程度のものであると結論づけている。それでも現代社会は、経済成長という至上目的を守るために、年間3万人もの自殺者を生み、数十年後には空き家率が40%に達するというのに35年ローンを組んで新築住宅を売り続ける。
文明は没落する。この崩壊プロセスにおいて、次の創造が生まれていく。
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死都日本という火山噴火シミュレーション小説を読んでいると序章か理解しやすい。対話型なので読みやすいが、原発はそれを超えるテクノロジーが出現しない限り折り合って生きていかなければならないだろうとのこと。経済成長無しに国家は成立するか?という問いに対する回答はなかった。
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○日本では決定が特定の人間やグルー ブによって明示的になされないので、責任ということもなかなか問題になりません。
○日本には予期せぬ災害によって社会体制を切り替えるような文化的なDNA
がある。自然災害が権力の代わりになってしまっている。日本には自然主義的アナーキズムみたいなDNAがある。
○現場主義の極端な例が日本社会を破壊するトリガーをひいたケースも多いのではいか。
○福祉政策のために国家が権力を行使するという事に対しても否認するけいこうが比較的強い。
○自己責任の観念が日本社会ではものすごく強い。
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この本が多くの賛同を得ている理由がイマイチ分からない。
例えば、人間は傘を開発してしまったが故に天気予報をいちいち気にせざるを得なくなったとか。文明の否定の論拠がそんなものだったりする。
個人的には、傘があるからこそ40%だろうと80%だろうと、とりあえず出掛けることが出来るんだがなぁ。
そもそも文明の没落ってなんなのさ??
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⒊11をモチーフに成長社会から縮小社会へ。徳川幕府の始まりも同じであるが、いろんな意味でのエネルギー転換を拡張から別の方向へ持って行くことで新たな文明を作り得る、拡大することが必ずしもよいことではないと説いてます。
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景気循環だとか、資本主義の限界だとか言われている今日この頃ですが、
そんなスケールの話ではなく、
今の化石燃料をベースとした文明の終わりを
我々は、今まさに経験しているのだということを、
萱野氏と神里氏が対談で確認している。
萱野氏の超マクロな視点と
神里氏の科学史的視点が、
今まさに転換点であることを示していくのが、
逐一納得させられる。
多くの人は、この転換点を生きることは、
不安に思うだろう。
だが、それはこの上のない経験なのだ。
道を誤らないように適切に判断して、
行く末を見届けたいと思う。
自分が生きてる内に大転換できるかどうかは、
わからないが、
子供たちが、路頭に迷わないように
自ら考え、判断する力は、つけさせたい。
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対話形式なので読み易い。ぼちぼち得るものがあった。
でも2人の意見が一致しすぎていて逆に説得力がないというか、議論の深まりがあまりないように感じた。話が曖昧なまま二人だけで納得し合っているというか。
エネルギーから文明を見るのも結構なことだけど、やや一面的では。
原子力という技術の伸び代がなくなって、踊り場に出てしまった、という話で議論も行き止まりになっている。
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自然環境やエネルギーの観点から社会や文明の成立を考えることが主要テーマとなっています。内容を少し挙げると、、、
・日本人は地震や火山噴火といった大災害が所与の条件である場所で暮らしており、天災が時の権力や社会体制を破壊或いは卑小化してきたという側面がある(日本の中央政府は古来意外に弱い)。
・天災と付き合ううちに、人間が作ってきたものは必ず壊れるという意識が醸成されてきたとも考えられ、これが「無責任の体系」(責任の所在があいまい、問題になりにくい)を形成してきたのではないかと推論。
・人類にとって定住による農耕開始が人類史における最大の革命(「農耕⇒定住」ではなく「定住⇒農耕」の順で、実は当初の農耕には収穫も少なくあまりメリットがない)。
・農耕には”麻薬”の側面があり、一旦始めると、「人口増加⇒食扶持増えて増産の必要⇒人口増加⇒・・・」のスパイラルに。また定住化することで疫病リスクも当然増加。人類の平均寿命は農耕開始直後に最低となっているという研究あり。
・農耕はサステナブルとは言い難い。
・当たり前と思われている経済成長は実は新しい現象であり、資本主義の成立とともにあったわけではなく、例外的な現象と捉えるべき。
・経済成長をもたらしたものは”化石燃料によるエネルギー革命”。一方で、化石燃料の持つポテンシャルを使い果たしたところに先進国は位置している。
、、、など。
個人的に、農耕を始めたことが人類繁栄の礎と漠然と思っていたので、農耕部分の記載は今まで見えていなかった要素が垣間見れてとても興味深かった。また、経済成長を前提とした社会制度は見直されるべきという点には同感。
エネルギー、空間革命とヘゲモニーや、治水や灌漑といった土木工事が権力ひいては国家を形成するといった萱野氏の持論も絡まってきて非常におもしろい、かつ対談方式なので読みやすい1冊となっています。
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対談本なのですっと読み切れてしまうがなかなか面白い指摘が多い
長いスパンで日本史(といっても有史より前も含むが)を見ると大災害が歴史的変換点の起点になっている、ということか。
日本では革命の代わりに大災害が起こっている感じが近いのか。
大災害にさらされてきた日本人はその無力感により基本的に反権力であるとの指摘が結構説得力があった。
それと何故アジアの人口密度が高いかについての指摘で単位面積当たりの米と小麦の収穫量(カロリーベース)が6倍あるとの指摘もおもしろい。
もう一つ、4大文明のうち中国文明を除く3つは滅亡したがこれの原因は資源収奪のための自然破壊(森林伐採)による砂漠化が原因との指摘に納得。
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3.11に起きた地震と大津波は、私たちの生活が自然環境という、人間の力ではどうにもならない条件のもとでかろうじて成り立っていることを再認識させた。
国家と資本主義の構造を原理的に問い直してきた哲学者 萱野稔人と、リスクと社会の相互作用を論じてきた科学史者 神里達博が、天災、テクノロジーなどについて、対談形式で新しいビジョンを提示する。
個々人の競争や責任でリスクを回避しようとすることの限界について、再度考える必要がある。
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資本主義は成長をし続ける宿命にある。
資本主義を加速させようとする人はそのことをよく理解している。
そしてそれに異を唱える人をナイーヴのように評価する。
しかし実のどころナイーヴなのは無批判に資本主義に乗っかったままの人だったりする。
資本主義は構造的に早晩限界を迎えることを理解していないのだ。
本書は論点も整理されており資本主義がなぜ、そしてどう限界を迎えるのかを理解する手助けになる。
確かに資本主義は恐ろしい加速度をつけて疾走している巨大なシステムだ。簡単にはとめることはできない。そしてとめることが正しいこととも思えない。
しかしその先を見据えるためにはきちっとその限界を理解しておく必要もある。
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難しいかなと思ったけど読みやすい。震災以降の日本の行く末を歴史や哲学を用いて考察している。おもしろい。
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災害、テクノロジー、エネルギーと政治、経済との相互関係を人類史的に俯瞰!哲学者と科学史家の対談。二人の知性が、良く言われている事柄に幅と深みを加え、頭の整理が出来た。
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エネルギーのポテンシャルを使い果たすと文明は失速する。あたらしいテクノロジーが出てこなければブレークスルーもない。そうするとしばらくは停滞する、というか没落する。そして日本は古くから災害で攪乱されて変化を起こしてきた。となればいまは、まさにそんなときではないか。傘を発明したから天気を気にする必要が出た。何かを発明すれば事故も同時に発明することになる。バブル的マインドの人には到底受け入れられない話ばかりかもしれないが、僕はこの没落という転換におおいに希望を持つのです。
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[ 内容 ]
3.11で我々に突きつけられたのは、文明の限界である。
人間がテクノロジーによって自然を飼いならし、開拓し続けることには限界があり、終わりなき成長は夢でしかないと露呈した。
早晩、世界が直面するであろう文明の壁に真っ先にぶつかった日本。
国家と資本主義の構造を原理的に問い直してきた哲学者と、リスクと社会の相互作用を論じてきた科学史家が、天災・テクノロジー・エネルギー・経済成長の関係を人類史的に読解しながら、日本が描くべき新しい時代へのヴィジョンを提示する。
[ 目次 ]
第1章 天災が日本人をつくってきた(存在論としての3.11;地震のない時期に発展してきた日本 ほか)
第2章 テクノロジー・権力・リスク(テクノロジーと農耕の始まり;農耕はアリ地獄? ほか)
第3章 テクノロジーはどこへ行くのか(テクノロジーを放棄することはできるのか;技術の問題は技術で解決するしかないのか ほか)
第4章 エネルギーと経済のダイナミズム(二つのエネルギー危機;化石エネルギーが経済成長をもたらした ほか)
第5章 国力のパラダイム・シフト(徳川期のエネルギー・マネジメント;領国の真の意義とは ほか)
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