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紙の本
日本人経営学者の優れた概念化
2015/12/22 08:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
場の論理、これはかなり実務経験がないと、うまくいったり、いかなかったりは、こう表現するしかない人たちとの状況に置かれていたとしか言いようが無い。会議などでそういう空気だったからというような部分も含んだものであろう。とても面白く読めた。
学究オンリーだとこういう言葉の指示と組織建てとは異なる非論理みたいなもので優れた結果を押さえるものだと取捨選択してしまい、単に既存理論で吸い取るだけになり大事なものを失ってしまう。考え抜いた末に、場という概念で包括して人とグループの活躍を描き出していくしかない、それはかなり実感を掴んでいる。
米国流の直輸入型の経営学論理をふりまわすのはもういいだろう。
もはやそれぞれの国の企業を素材に経営学者個々の能力で捉えるのが経営学の成果となっている。
十分に実務者の知見を把握して伊丹氏は数少ないオリジナルな構想を行うことができる方である。
紙の本
これからが楽しみな「場」のコンセプト
2006/01/10 20:13
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マサ@宇都出 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「場」(ば)って何でしょう?
「場違い」「場作り」「場慣れ」「場を読め」。日常生活の中で、「場」という言葉を使っていますが、さて「場」自体を説明しようとするとなかなかうまく表現できません。
一方、経営、組織運営も人が絡むだけに、「こうすればこうなる」というように予測可能な単純なものではありません。「経営はアートである」といわれる所以です。この経営に「場」という概念を持ち込むことによって、著者は今まで言葉で表現できなかった経営の勘所を物の見事にわかりやすく説明することに成功しています。
「場」というのはある意味、便利な言葉です。
まずは、従来の指示・命令のタテの関係だけでなく、ヨコの関係、しかも一方通行の関係ではなく相互が影響を及ぼしあう関係を表現できていること。
そして、情報の流れだけでなく、感情の流れといった心理的な要素も含めていること。
これによって、これまでなかなか言葉にできなかった部分が、「場」という言葉によって表現の機会が与えられています。
この「場」について、著者はそのマネジメントを「場の生成のマネジメント」と「場のかじ取りのマネジメント」の2つにわけて解説しています。そこで書かれていることに、これといった目新しさはありませんが、「場」という概念を用いることでまとまったカタチになっているのがわかりやすいところです。
この「場のマネジメント」には次のような人間観・組織観が流れています。
人間観としては、
「組織の中の人間は、自分の行動を自分の利益のために選択する自律性をもつ一方で、周囲の人々との関係の中で協力的に全体をも考えた行動をする。」
組織観としては、「意思決定する個人の集合体」としてではなく、「情報的相互作用の束」として組織を見る。
このような人間観・組織観を含め、著者はこれまでの「ヒエラルキー(階層組織)パラダイム」を補足、もしくはそれに変わる「場のパラダイム」ととらえ、パラダイム転換の必要性を訴えています。
そんな場のマネジメントにおけるマネジャーの役割を著者は次のような含蓄のある言葉で表現しています。
1)人の間の「空間」の設計者
2)大義を伝える哲学者
3)最後の声を発するプロセス調整者
4)10%の独断決定者
従来とは違うマネジメント、マネジャー像を広げてくれる本です。
ただ、取り上げられている事例が少し昔のものが多いのが残念です。大部屋制度、フェイスツーフェイスの重要性への強調が目立ちます。急速に普及するコンピュータ、ネットワーク環境が「場」に大きな影響を与えていることは間違いなく、それに対する言及や新しい企業での研究成果が欲しかったところです。
とはいえ、それを本書に望むのは酷でしょう。とにかく本書を数多くの人が読まれ、それを実際の組織運営で実践、検証することが強く望まれるところです。それによって初めて「場のマネジメント」に魂が吹き込まれ、日本から世界に発信することができると思います。これからが楽しみなコンセプトです。
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