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紙の本
“これこそ決定版”と評できるほど、私は同類の本は読んでいないけれど、多角的に扱っているという点では、間違いないだろう
2006/05/19 11:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:7ひきのこぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
早い話が「池波正太郎読本」である。
《1》家族と師、そして友人
《2》闊達自在に動く登場人物
《3》歴史の光と影を彩った人たち
《4》食卓の演出家たち
《終章》二十一世紀への遺言
《1》では池波(著者は親交があったのであえて「池波さん」と書いている)が「育った家族や実生活で知り合った先輩や友人」を記し、《2》と《3》では「歴史の光と影を彩った英雄、作品の中で変幻自在に跳梁する人物のキャラクターの魅力」、それと同時にそのキャラクターを描くようになった背景を分析している。
池波がいわゆる“グルメ”かどうかは、疑問の余地があるが、こだわりがあったことは間違いない。作品中には、食べ物が頻繁に出てくる。《4》では現実のそれとシンクロさせている。「吉川松次郎=松鮨」、「今村英雄=いまむら」、「茂出木心護=たいめいけん」、「林愛一郎=元・清月堂」、「小高登志=まつや」、「川口仁志=元・山の上ホテル」−彼らは池波がエッセイで取り上げている人物だ。
私は、池波の作品はほとんど読破したつもりだったが、著者が池波の遺作とも位置している「原っぱ」(現代もの)はまだ読んでいなかった。それを読むと本書がより理解できるのかもしれない。
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