紙の本
怠け者も「新型うつ病」か
2018/02/13 21:23
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
「新型うつ病」と思われる部下の対応に苦慮した経験から、本書を購入するも、積読状態となっていたものです。
新型うつ病は、精神病理学の衰退、新種の抗うつ薬の登場、現代人の精神力の低下の3つの要因から生まれた病気で、単なる「怠け者」も病気として認識されるケースがあるとのこと。「新型うつ病」と「うつ病」は、全く違うものということが理解できました。
私は、うつ病に苦しむ友人等を近くで見たことがあったため、その部下の行動は私の理解を超えていました。当時、本書のような本があれば、少しは気が楽になったかもしれません。
以前、ある部下から「適応障害」の診断書と休暇願を渡されました。彼は、1ヶ月程度休み、日焼けした姿で出勤。休暇中は沖縄旅行やプロ野球観戦等で過ごしたとのこと。彼の休みのしわ寄せで残業続きだった同僚たちへの労いや感謝の言葉は一切なしでした。出勤後は、彼と密に仕事内容を相談して進めていたのに、彼は「意に反した仕事をさせられた」と私の上司に直訴。ほどなくして、私は部下なし管理職として関連会社に出向。8年程度、関連会社等をいくつか歴任し、この春早期退職します。彼との遭遇が、人生の変わり目となったのは確かです。
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中嶋 聡 (著)
「上司に叱られ、やる気ゼロ」「彼女に浮気されたので休職したい」…。この十年、そんな理由で精神科を訪れる人が急増。従来のうつ病とは明らかに異なる病態をもつそれは、「新型うつ病」と総称されるようになった。診断書を手に堂々と会社を休む人々、手厚すぎる社会保障、肥大化する自己愛と精神力の低下。はたして「新型うつ病」は本当に“病気”なのだろうか。もはや社会問題。そのまやかしを、現役精神科医が暴く。
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うつ病から新型うつへ。新型うつという言葉を聞いたのは香山リカさんの本が最初ではなかったか、と思います。傷病手当金や障害年金受給のためにうつ病になりたがる患者が目立ってきている、と。そもそもうつ病とは?という解説から。こんな患者が、という事例だけでも参考になります。
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従来型うつ(自罰的、了解不能、治癒しやすい)と新型うつ(他罰的、了解可能、癖になりやすい、逃避傾向)の違いや、うつ病事態の症例数が近年大幅に増加している背景(精神病理学の衰退、副作用がない抗鬱剤の開発により積極的に治療をしやすくなった、精神科→心療内科とすることで敷居を下げた)を纏めた本。
鬱事態に関する漠然としたイメージの整理と新型鬱に関する釈然としない感覚を(本当にこれって病気なのかとか)多少クリアにしてくれた。鬱事態、判断が難しい病気なだけに、少々理解が追い付き切らない部分もあったけど、総体的には分かりやすかった。
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自分の病気が従来型うつなのか、新型うつなのか、発症初期は本当に悩みました。「こんなのは新型うつかもしれない、自分の弱さなんだ。」と自分を責める日々。でもこの本を読んでやっぱり新型じゃない、従来型うつだったんだと確信が持てました。そういう視点で読んでみるのもアリな良書だと思います。
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最近ではしばしば話題に上り、知名度も増してきている「新型うつ病」似ついての解説書。
「うつ病」についての理解を通して、この「新型うつ病」を理解しようとする試みの書。
「うつ病」に関する説明は、歴史的経緯を中心に、かなり分かりやすくなっていた。それ故に、「新型うつ病」が、どういったものなのか、どういった経緯で現れ、そして広まったのか・・・などが分かりやすく解説されている。
また、それのみにとどまらず、著者からの生き方・考え方に対する提言も非常に興味深く、共感を覚えるものだった。
とかく、努力やストレスというものを”ないほうがいい”という価値観で物事が考えられるようになってきている。が、本来、人間にはストレスは必要なものだと、改めて考えさせられる。
一方向的に語るおしつけ書ではなくて、両論併記的な部分も多くあり、そのなかで著者の考える者が採用されている背景がよくわかり、もっと他の本を読みたくなった。
著者の思想に触れるには、特に第三章「精神科診療から見た現代社会」の一節「ストレスが成長を促す」からでも読んでみたらいいかもしれない。たった4ページ(p.179~183)だが、非常に気持ちのよい文章になっている。
曰く『一体、無理しないで一人前になった人などいるのでしょうか。それは一部の天才だけではないでしょうか。どのような分野にせよ、高いパフォーマンスを示す人をみると、賛嘆と敬意を禁じ得ませんが、それはつまるところ、表にはみえはしないが確実に重ねたに違いない、彼らの人知れぬ努力に対する賛嘆と敬意だと思います。現状に満足せず、むしろあらゆる程度の障壁(ストレス)を自ら求める心と、それを乗り越える力、それがある人だけが、どの分野にしろ、一人前と言われるレベルに達するのだと思います。』
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【内容(「BOOK」データベースより)】
「上司に叱られ、やる気ゼロ」「彼女に浮気されたので休職したい」…。この十年、そんな理由で精神科を訪れる人が急増。従来のうつ病とは明らかに異なる病態をもつそれは、「新型うつ病」と総称されるようになった。診断書を手に堂々と会社を休む人々、手厚すぎる社会保障、肥大化する自己愛と精神力の低下。はたして「新型うつ病」は本当に“病気”なのだろうか。もはや社会問題。そのまやかしを、現役精神科医が暴く。
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【目次】
第1章 「新型うつ病」とは何か
「新型うつ病」とはどのような病気か
うつ病概念の歴史
「新型うつ病」の位置づけ
「新型うつ病」はなぜ生まれたか―その三つの要因)
第2章 「新型うつ病」がもたらした社会的弊害
休職をめぐる問題
簡単にもらえる傷病手当金
しばしばもらえる障害年金
公費医療・サラ金・奨学金返済
給食費免除
その他の保障や利益
労働紛争の不思議な結末―富士通四国システムズ事件
第3章 精神科診療からみる現代社会
「何でも人のせい」という風潮
「何でも病気」という風潮
「『知らない私』のせい」という風潮
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精神科医がこれぐらいの物言いを言ってくれるとすっきりする。
特に、「うつ病の不連続性と新型うつ病の了解可能性」については、非常に分かりやすく説明されており、一番ためになった箇所です。
「徳」とか何とかいう所は余計だったけれど、全体的に良。
内容については賛否両論あると思うけれど、こういう物言いをする精神科医がもっと増えて欲しいと思いました。
「精神病理学は、伝統的に、それが内因性かどうかという問題にこだわってきました。内因性であれば、それは本格的な病気です。(中略)しかし内因性でなければ、それは病気ではあっても正常心理と連続したものであり、そんなに深刻に捉える必要がありません。」(p82)
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経営者や人事担当者に読んでもらいたい一冊。途中、小難しくなるところがありますが、それでも「新型うつ病」についての全体像がつかめると思います。
精神科医の著者が「精神力の低下」について熱く語っているのも興味深いです。おすすめ!
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新型うつ病の存在が気になっていたので、読みました。精神科医が、厳しく指摘するラストに納得。何でも病気にしてしまうのは、間違いだと実感しました。
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やっぱりそうだったんだ。
「従来型うつ」と「新型うつ」とは違うってこと。
(2012/8/7)
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丁寧でよく出来た本。
うつ病の定義などをめぐる部分は、まだるっこしいが
まあ仕方ないか。
医師の診断力の低下
副作用が少なく、とりあえず処方しやすい薬
薬会社のCM
現代人の精神力の弱さ
表面の病態だけで病名がつくDSM
「理解不能」な部分がなくても、うつ病と診断できる
自分でワープロ打ちした診断書例を持ってくる患者も
26 了解可能
28 従来型うつ病は仕事を休みたがらない、新型は嬉々として休む
33 表
52 DSM
58 DSM
70 新型うつ病とは
75 表
76 発生原因
82 DSMは内因性を問わない
87 2005年、1999年の2倍、患者数
95 治療は自助を助けるべし
106 自分で診断書
117 傷病手当金→障害年金(症状の固定化)マニュアル
121 障害年金
135 富士通四国システムズ事件
売らんがな、のための題名。
これもまた仕方ないか。
新型うつに対して、基本的に厳しい見方。
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職場に休職からの復帰者が来たが、予想に反して極めて普通。そのうち「あいつ、新型うつだったみたいだよ」という話が聞こえてきて、新型うつについて知りたくなった。
本書は、タイトルは過激だが、色々な人のレビューのとおり、まともな内容の本のようだ。新型うつの説明のため、あるいは、従来型うつに対する誤解を排するため、うつ病についてかなりの紙数を割いており、まだるっこい感じもするが、精神病理学の歴史的蓄積や正統な理解を示したいという著者の真摯な態度と評価できよう。
その上で、新型うつの問題点について、社会的公正さという観点を中心に、様々な角度から指摘していて、もっともだと思わされることが多かった。
現代をストレス社会と呼び、ストレスフリーが最良であるかのような論調に対しても鋭く疑問を投げかけている。戦時中と今と、どちらがストレスが多いか、という著者の指摘には極めて同感。自分も、仕事でつらいとき、戦争で命のやり取りをしてるわけではなし、と思うことがあった。
著者は沖縄で開業しているようだが、本書の症例も沖縄のケースだとすると、沖縄でも新型うつの症例が増えているということだろうか。
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賛否が分かれそうな本。新型うつ病を病気とするか否かはさておき、自分の問題は結局自分で乗り越えなきゃいけないとかいうのには同意かな。
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メランコリー親和型とは「秩序に勤勉に尽くすことによって、「甘え」関係を維持」しようとする人格で、これが破綻した状態がうつ病であり、対して新型うつ病は逃避的傾向により特徴づけられると。判りやすい。依存症なんぞ皆甘えじゃという論旨には賛成しかねるが。著者のスタンスは相当マッチョ側だと思う。心底疲弊している時にこういう人に診て貰いたくはないな・・。
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てめぇのケツくらいてめぇで拭いて生きていきやがれ。
甘ったれんな。請け負える責任しっかり背負っててめぇの足でしっかり生きていきやがれ!
って、ことよね。要は。
すげー共感します。