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イスラエルのインテリジェンス機関「モサド」の活動(の一部)を記録した1冊。「このような機関が存在しなければ、地球上の国々の均衡が一部の既得権益者の望むようには保てない」ということがよくわかる。社会システムは随分と複雑化したけれど、人間の根本的な部分は人類誕生より進化していない。
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最強の諜報機関であるイスラエルのモサドの様々な諜報・スパイ活動がこれでもかと紹介されている。
イラクの核開発を阻止するための科学者の暗殺、ブラジルからナチス残党を拉致する話、エジプトの大統領の義理の息子をスパイにする話、PFLPのテロ組織壊滅のための攻撃、シリアに住むユダヤ系女性のイスラエル脱出作戦、ミグ21の機体を欲しいとイラクの空軍少佐をそそのかしたりと兎に角これでもかとばかりにモサドの合法・非合法を問わず、また成功・失敗を問わずに活動内容が次々と紹介されている。
知られざる中東の歴史の背景にある様々な国の思惑、特にイスラエルから見た中東の近隣諸国との関係の裏面史には目を見張るものがある。
とは言え一番の驚きはそうしたモサドの勇士達の活動が実名または写真付きで紹介されていることだ。幾ら既に過去の話としてもこうした諜報活動は最後まで世に出ないことが普通とされているにも関わらず、こうして大量の資料をベースに実名で活動に携わった人間が本書を通じて表舞台にでると云う事が信じがたい話だ。
著者はイスラエルのジャーナリストでありスパイ小説作家でもあるわけだが、飽くまでもモサドの活動内容を直接知り得る立場にもないはず。つまりイスラエルの文書公開がベースになっているとしか考えられないのだが、もしそうhした活動内容も含めて公文書が公開されているとすればイスラエル恐るべしだ。
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モサドとは、イスラエルの諜報員。
その活躍をスパイ小説かのごとく書きたてる。
中東という漠然としたイメージしかない場所での話だけに、イスラエルとアラブの関係にナチスやアメリカが具体性を持って迫ってくる感じが非常に良い。
ただ、どうにも登場人物の名前が覚えられない。カタカナを覚えるのが苦手なんです。「シャバクのアマス・マノルを呼べとペングリオンがいらいらしながら言った。メイル・アミット将軍は、ネゲブ砂漠を・・・」と来るともうパニック。
半分強で読了です。
中東って根本の精神は、かつての日本、いやアジアと近いのかもしれない。漠然とそんなことを思った。
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モサドの活動記録を綴った短編集である。建国まもない頃から最近2010年頃までの大失敗も含めた21事例を実名を挙げて、誰が決断し、どのように行動したかを具体的に手口を記している。よくまあ執筆出版を許したと思う。20カ国以上でほぼ同時出版もさもありなんと言う内容だ。あの事件はやはりモサドの仕業だったかとも思うが、巻頭の長官やテロリストなど関係者の写真が新旧さまざまに並んでいるのを見ながら本章読むと、現実は小説より奇なりという常套句が浮かんでくる。テロリストやあからさまに敵視する国々に狙われたイスラエルには生き延びるために不可欠な機関だろうが、時には作戦が失敗し要員が死に至ってしまう。それを政府がきちんと原因究明して決してうやむやにしないところがこの国の凄みのひとつだろう。モサドが活躍せざるえをえない辛い現実に終わりは来るのだろうか。
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この本にも時々登場するイスラエル人ジャーナリストのロネン・バーグマンのシークレット・ウォーズがホメイニ革命以後のイランvsモサドを中心に書いているのに対し本書では特に1948年の建国から1980年代までのモサドの活躍を中心に書かれている。バーグマンもかなりイスラエルよりだと感じたが、本書は完全にイスラエルの立場で書かれており、暗殺や国外での誘拐など他国の主権を無視する行為も肯定的に書かれている。イスラエルでベストセラーになった理由がよくわかるがちょっと一方的すぎる。モサドの失敗談も書かれているがバーグマンの方が辛辣だ。
全21章にはナチスのアイヒマン誘拐と処刑、ミグ21の略奪、黒い9月のミュンヘンオリンピック事件、スターリンを批判したフルシチョフ演説の入手などがあり、シリアのクーデーターでバース党が実権を握った際に革命議会に食い込み次期閣僚候補になったエリ・コーヘン、エジプトのナセル大統領の義理の息子となり、サダトの情報担当大統領秘書官になったアシュラフ・マルワン(イスラエルに偽情報を流した二重スパイとの説もあるが、モサドはイスラエルのスパイであったことを認め、エジプトのムバラク大統領は公式には否定した)が取り上げられている。
直近ではモサドの27名からなるチームがドバイのホテルでハマスの指導者にして武器密輸の要アルマブフーフを暗殺する工作の様子が空港、ホテルのカメラに収められている。現実のミッション・インポッシブルはきれいごととは縁遠い。
中東和平交渉が再開し始めているがどうなることやら。イスラエルはアラブから信用できる相手に見えるのか?アラファト議長暗殺についてもイスラエルのペレス大統領が関与を認めている。
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これだけで映画20本撮れそう。謀略機関とはそもそも人間らしさから逸脱してるものだけど、イスラエルの場合はもう一段階気が狂っている。
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[事実は小説よりも危なり]その全貌については知られていないけれど、泣く子も黙るという形容がピッタリとくるほど圧倒的な存在感を誇る、イスラエルの諜報機関「モサド」。彼らが手がけてきた数々の秘密オペレーションの成功、そして失敗を徹底的な調査を基にしてまとめた作品です。作家としても活躍するマイケル・バー・ゾウハーとニシム・ミシェルによる共著作品で本書はベストセラーとなりました。訳者はミステリー作品なども手がけている上野元美。原題は、『Mossad: The Greatest Missions of the Israeli Secret Service』。
スパイ小説顔負けの作戦の数々に驚かされること間違いなし。暗殺をも厭わない任務の数々に、読み終えた後に思わず「尋常じゃないな......」とつぶやいてしまうほど。他方、そのモサドを貫く倫理観(これは場外からイスラエルを眺める人間のもののそれとはまるっきり質が異なるものではないでしょうか)の淵源と強靭さを、本書後半のエチオピアからのユダヤ人救出エピソードに見ることができるように思います。
個人的に本書を読んでいて勉強になったのは、モサドという組織がどのように国家機構の中に位置付けられていて、政策決定プロセスと絡んでいるのかというところ。圧倒的な力を有する機関が人的・組織的にいかにコントロールされているのかという点は、組織運営という点でも参考になる点が多いのではないのかと思います。
〜だれかが殺しにくるのなら――立ちあがって、その男を先に殺せ〜
しかしよく調べたな☆5つ
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世界最強のインテリジェンス機関と言われているイスラエル モサドの過去のエピソードが綴られている。
ただし、単にエスピオナージを踏み越えた、国家権力としての国際法を踏み越えたオペレーション(拉致、暗殺)には、ただただ震撼するのみ。
平和国家日本にとどまっているだけではイメージできないこの地球上で実際に起きた事実が体感できます。
ただし、イスラエルの方が著者なので、その点は多少のバイアスを考慮した方がいいかもしれません。
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ナチによるホロコーストの指揮を執ったというアドルフアイヒマンの補足劇を読みたくてこの本を手に取った。ほかのいくつかの章も興味深かったが、半分まで読んだところで疲れて中断した。
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生々しかった。アイヒマンと言うユダヤ人処刑の最前の指揮官とか、北朝鮮とか、漠然としたニュースが、しっかりとフォーカスされた感がある。
あまりに世界を知らない我々へのシグナルの感もする。