紙の本
余儀なく部下の「うつ」に関わるはめになった知性ある上司へ推す、90分で通読する「うつ」の最低知識
2001/03/31 22:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わに - この投稿者のレビュー一覧を見る
○○さん(匿名)の症例を羅列していない。評者はその点を本書のいちばんの特長として評価したい。この点によって、本書はあまたの「うつ」入門書と姿勢を画するものとなっている。
うつは流行っている。「心の風邪」というキャッチフレーズ(?)も雑誌等で定着しつつある。
うつに興味を持ち始めた人にとっては、「A男さんは28歳の会社員。営業職からシステム管理部門へと異動になって…」云々の事例紹介で始まる入門書は読みやすいし、時には面白かったりする。大抵は、その入門書の著者の施した療法によってA男さんは回復する。
社会事象に対する見聞を広めるために読むなら、それで十分である。しかし、管理責任を問われる「上司」という立場の人にとっては、自分の部下がうつで欠勤し始めたら、事態は他人事では済まされなくなる。どう対処するのが知性あるやり方か?
治療は専門医に委ねるとして、自分もうつに対する最低限の知識を持とうと努力すべきだろう(管理職研修の「職場のメンタルヘルス」なる講義にはまったく興味がなかったにしても)。
この本では、他人事でなくうつに関わる者(主たる対象はうつ患者自身)にとって必要なうつの症状と治療の基本的知識が、ほぼ偏りなくコンパクトにまとめられている。「ですます」調で、難解な用語もないので、比較的短時間で通読できる。
風邪になぞらえられるうつが実は慢性化しやすいこと、再発しやすいこと、自殺につながりやすいことを押さえ、薬物治療への偏見をとく記述もなされている。「うつの社会的治療」という章を設けて、職場関係者も含めた周囲のサポートについてもアドバイスしている。
著者はうつの心理的治療の一つである認知療法の専門家であるが、本書においては、どの療法についても掘り下げてはいない。新書一冊という分量からすると妥当であろう。
治療法を選択するのは患者自身である。その選択に対しての責任まで上司が負う必要はない、それは管理の範囲外だと割り切った上で職場のサポート体制を考えるのが知性ある対処法だろう。
それでも本書のなかで気に入った、あるいは気になった点があるとしたら、それは部下ではなく自分自身の「うつ」に気づいたというサインかもしれない。自分の治療の手がかりを、本書を読むことによって得るかもしれない。その時には、あなたも部下も症例羅列本のA男さんではないということを実感できるだろう。
投稿元:
レビューを見る
「何をしても気分が晴れない」「ゆううつだ」「死にたい」……そんなあなたは「うつ病」かもしれません。近頃増えているこの病についての入門書。
投稿元:
レビューを見る
大野裕博士の本。気を失って倒れる前に読んだので、中身の記憶はほとんどない。でも確か認知療法について詳しく書いてあったと思う(たぶん)。
投稿元:
レビューを見る
前半部分はうつ病の基礎知識。非常にわかりやすい内容で、うつ病とはどんな病気か、ということを知るためにはうってつけ。
後半部分はうつ病の治療方法を説明しているが、著者が「認知療法」をとる大野裕氏なので、「投薬治療」よりも、認知治療の説明にページを割いている。
うつ病入門書に適した一冊。
投稿元:
レビューを見る
良書。
うつ病を患う人も、うつ病の家族、友人を持つ人も、これを読むだけでうつ病という特殊な病の理解度が深まります。
若干古い書籍なので、それに応じて情報も少し古いですが、それでも十分すぎる内容です。
投稿元:
レビューを見る
2009.11.22ブックオフ購入105円
うつに関しての本の中で評判が良いので買ってみた。
心理療法などが参考になったし、社会的な解決が必要だということもわかった。正直薬の説明とかはよく分からなかった。
投稿元:
レビューを見る
自分自身がうつになった訳ではないけれど気になって購入した一冊。うつ状態、鬱病は誰もがなる可能性のあることであり、うつについて知識を得ておくことはこれから先、自分自身の精神状態を良い方向へコントロールするために必要なことだと思う。医学的知識がない方にでも分かりやすい良書。自分自身の声に耳を傾けたいと思う。
投稿元:
レビューを見る
まず、非常に分かりやすくまとまっている点が好印象。臨床経験のある著者の言葉は、誰が読んでも分かりやすいように平易な言葉でコンパクトにまとめられ、それだけに説得力もある。
「うつは心の風邪のようなもの」という標語が普及する中、病気としての「うつ」の深刻さが薄れつつあることに警告を発し、同時に繰り返し訴えられる「適切な治療を施しさえすれば必ず治る」との一言が頼もしい。精神医学的診断基準により「うつ」と規定される症状だけでなく、私たちが日々感じているような「ぼんやりとした不安感」「理由のない気分の落ち込み」といった身近な状態までもを対象に含め、今からすぐにでも参考にできる実用的なアドバイスや対処法が示されている点も良かった。
個人的には、今現在自分がうつ病ではないかと悩んでいる人や、実際にうつ病で通院している人向けに役立つのではないかと思われる一冊。自分の今の状態の整理として、また自己理解の助けとして使えるものになっていると思う。実際の治療法に関しても、心理療法と薬物療法、そのどちらの立場にも偏り過ぎずに、個人個人の状態に合わせた併用が求められるとしていたところは良心的だと感じた。うつ病経験のない読者にも、いざ自分がそういう立場に立たされた時、また身の回りの人がうつ病になった時の、転ばぬ先の杖として読んで損はない入門書。
投稿元:
レビューを見る
ちょっとありきたりな感じがした「うつ」に関する新書だったように思う。若干古いものなので、現在はまた状況が変わっているのかも。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
誰もが経験する気持ちの落ち込み。
でもそれが一週間以上も続いて眠れなくなったり、食欲が落ちてきたりしたら要注意。
「うつ」に苦しむ人が増えている。
「うつ病」は「心の風邪」ともいわれるが、「気持ちの問題」として軽視すると、自殺などによる死に至る危険も小さくないと著者は警告する。
本書では、本人にも周囲にも気づかれにくい症状の解説と併せて、認知療法、SSRIを用いた薬物療法などの治療法を紹介。
辛い気持ちを抱えた多くの人たちをやさしくサポートする。
[ 目次 ]
プロローグ 身近な“うつ”に要注意
第1章 うつ病のサイン
第2章 うつ病はどんな病気か
第3章 うつ病の心理的治療
第4章 うつ病の薬物療法
第5章 うつ病の社会的治療
エピローグ 社会全体でのサポートを
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
文章の所々に読者への配慮と優しさが感じられて好感。前半にはうつ病とはどのようなものか、後半にはうつ病の治療にはどのようなものがあるかが書かれています。「うつ病になりやすい人は几帳面できまじめな人が多く、きちんと最初から読もうとするが、それでは疲れて辛くなったりするので、目次にざっと目を通して自分に役立ちそうなところから読んでみて下さい」といった事を著者は序章で述べています。全体的に文章が平易で、読者が読みやすいように構成されています。うつ病ってよく聞くけどどんなものだろう?と初めて本を手にする人にオススメです。
投稿元:
レビューを見る
うつ病治療について、とてもわかりやすく書かれていて、とても参考になっています。
主治医とのコミュニケーションで聴きとりづらかったときなど、あらためて読みかえすと、キモチの整理ができたりと、なにかと役だっています。
あせらずぼちぼち、回復への道、段階的にのぼってゆきたく思うこのごろでした。
投稿元:
レビューを見る
非常にわかりすく丁寧な説明で解説されており、良書だと思います。
「うつ」の人だけでなく、予防や理解という観点から誰が読んでもためになる本だと思います。
10年以上前の本なので情報が古い分★4つにしましたが、内容的には★5つだと思います。
投稿元:
レビューを見る
うつ病について、その症状や治療法を紹介してあり、そしてわかりやすい。
自分がうつとはいかないまでも落ち込んだ時に読みかえしてみたい。
投稿元:
レビューを見る
正しく知って、正しく治す。
やはりこういう分野は研究が進むから、10年経っている今とはちょっと違うなと思いました。