紙の本
貧しくも楽しき、インテリ青年たちの狂騒的日常
2010/01/06 13:50
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yjisan - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦間際の昭和20年8月1日に旧制松本高等学校に入学した作者は、敗戦直後の混乱した社会を、高校生として体験した。やがて作者は動物学者への夢を父・斉藤茂吉に語るが、医者でもある茂吉の強硬な反対に遭い、やむなく東北大学医学部に進む。だが作者は精神医学の勉強をしつつも文学にのめり込んでいく。そうした青春時代の思い出をユーモラスに語るマンボウ・シリーズの傑作。
軍国色が一掃された松高では、学生自治が高揚し、複雑怪奇な授業が展開した。特に作者の属する思誠寮西寮は、奇人変人の巣窟であり、狂熱的な寮生活が繰り広げられた。
今とは比較にならないほど貧しい戦後日本で送った青春時代。衣食住、全てにおいて最悪の高校生活、寮生活。にもかかわらず、その日々は輝いており、実に楽しそうである。「ノスタルジーによる美化」の一言では片づけられない活力が、そこにはある。
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アツい!!とにかくアツい!
若かりしころの北杜夫のエピソードが書いてある。恋や勉学、父・茂吉との関係など清秋に付いて熱く書いてある。
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中學1年の時に讀んで、それ以來、舊制高校に憧れた。
弊衣破帽、バンカラな高校生。
デカルト、カント、ショーペンハウエルを讀み耽り、
バッキャローとどなり(挨拶し)、ストーム(嵐のごとき襲撃)をかける。
これぞ、私の理想の高校生の姿となつた。
舞臺は舊制松本高校、現在の信州大學の教養部に相當する。
(まだ「教養部」制度は存在してゐるのだつけ?)
周圍は北アルプスの大自然で、終戰直後の「國破れて山河あり」そのままのシチュエーション。
いつたい、この本を何囘讀んだことか。
文庫本だつたが、表紙が擦り切れてセロテープで修繕して讀んでゐた。
當時の本は手許にないが、懷かしくなつて、また購入してしまつた!
といふわけで、20數年ぶりに再讀した。
久しぶりに讀んで、私の青春時代が蘇へつた。
この本の影響で、高校時代は朴齒の下駄で學校に通つた。(休みの期間だけだが)
さう云へば、寮生活に憧れて、北大とか東北大を受驗しやうと思つたこともあつたなあ。
結局、寮生活はしなかつたが、京都では學生アパートで、アパートとの住人たちと寮生活をしてゐたやうなものだつた。
この本の冒頭ちかくにでてくる言葉。
憧れを知るもののみ、
我が惱みを知らめ
これがゲーテのミニヨンの詩の一節だと教へてくれたのは、私の初戀の人だつたつけ・・・
試驗の時に、手も足もでないときに、短歌を書いたり、駄文を書いたりしたのも、この本の影響だつた。
もちろん、それで通つた試驗はなかつたけれども・・・
40歳を過ぎてから、この本を讀むと、自分の青春時代がまざまざと蘇へつてくる。
俺も年とつたよなあ・・・
2003年7月17日讀了
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私の青春の書です。
筆者が旧制松本高校生活を懐古してつづったエッセイなのですが、時代は違っても、私の大学時代の空気ととってもよく似ていて、懐かしさがこみ上げてきます。
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北杜夫の作品で最初に読んだのは、船乗りクプクプの冒険なのですが、その次に読んだのが確かこれでした。…本当に面白くってね!!旧制高校での寮生活、それから大学に行ってからの話など、どれも興味深かったです。現在学生である私にしてみれば、全く知りえない世界ですし、一種憧れに似た気持ちをも抱いてしまいます。
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精神科であり躁うつ病ってちょっと不思議な人なのでどんな少年時代なのかと思って読みました。。昔の学生はこーして遊んでいたのかと納得。
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詩人・斎藤茂吉の息子である北杜夫さんの『どくとるマンボウ』シリーズの一作。旧制高等学校〜大学(医学部)の青春時代を描いたもの。蛮風の横溢した荒々しい高校時代は、ユニークな教師や仲間たちによって色どりを添えつつ、いきいきと回想されている。反面、デカルト、カント、ショーペンハウアー、そして青春時代の最大の信仰の対象ともなるトーマス・マンらの小説(哲学書)との出会いによって、知性や自我に目覚め、暗い瞑想の世界を知り、いつしか文筆によって身を立てることを決心する作者氏──。
旧制高等学校のロマンがいっぱいつまってます。蛮カラは楽しい♪
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個性的な教師たちと大胆不敵な生徒たちが生み出す、独特の元気と喧騒に身をまかせながら、ひそかに文学への夢を紡いでいったかけがえのない日々は、時を経てなお輝き続ける。
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何度読んでも、いい本。自分が全寮制の高校にはいった年に初読、それから30回は読んでいる筈。旧制二高生だった僕の祖父はたいそうな読書家だったが、青春時代の名残だったのだろうな、と思う。どくとるの知性と、それをひけらかさないユーモアのバランス感覚に惹かれる。
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文章を書きたいという気持ちが、
将来の夢なんていうキラキラしたものじゃなくて、
妄想とか、呪いとか、
そういう切実なあがきになっている人は、
その後どんな道を選んでも物書きになるんだろう。
最終的には、医者にもならず患者にもならず物書きになった
彼の言葉にまみれた青春記。
何故か、読後感は澄み切って爽快。
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青春とは往々にして痛々しいものである。北杜夫のそれも、おそらく当人にとっては本来墓の中までもって行きたい赤面ものの黒歴史であったことだろう。しかし、であるからこそ、本書は、作家という人種の持つ恐るべき内的エネルギーの、少年期青年期における少々間違った形での発露を目にすることのできる貴重な記録になりえた。実に面白いです。
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中学3年の頃好きだった作家が 北杜夫 です
たぶん どくとるマンボウシリーズはすべてハードカバーで読んだと思います
文章にユーモア絡ませる手法を何となく学んでいたんじゃないのかなぁ
今は読み返す事のない中学時代の日記帳には おそらく北杜夫風の文章で綴られている気がします
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個人的に思い入れの深い本。
ええ、まあそういうことです。
こんなにもぶっとんでて現実離れした旧制高校の学生達…
毎日が面白そうで、旧制高校の生活が羨ましくなっちゃいますねー。
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摩利と新吾の世界観をより知れるだろう!
という期待のもと読み始めたけど
これがなかなか結構おもしろい★
旧制高校の雰囲気や戦時中の高校生の気持ちとか、
恥ずかしかったことも含めて
青春がぎっしりつまってます^ω^
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デカルト カント ショウペンハウエル
おもしろかった!!
勢いで読み終わった後もう一回最初から読みそうになりました。
北さんの本はさびしい王様しか読んだことなかったんですが、あの雰囲気はそのままで
大好きでした。エログロナンセンスじゃないですがそれのエロが抜けるだけでこんな爽やかになるんだ!と。
シーン的には寮で夜みんなが廊下にでてきて本を読むところです。
そんな風にみんなで本読むみたいな経験してみたかったなあと思いました。
また読みたいです〜