ハンターズ・ラン みんなのレビュー
- ジョージ・R.R.マーティン (著), ガードナー・ドゾワ (著), ダニエル・エイブラハム (著), 酒井昭伸 (訳)
- 税込価格:1,100円(10pt)
- 出版社:早川書房
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紙の本
30年寝かせておいたワインは本当に美味しいのでしょうか。では、小説のほうは? それにしても上手いカバー画・・・
2011/06/03 20:51
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ともかく、カッコイイ、としかいいようのないカバーイラストです。ことアートの世界に彼我で技量の差はない、といいたいところなんですが、こういうイラストを見てしまうと、簡単に断言できない気がします。CG に逃げ込まなくても、ここまで描ける、というのがまた立派。そんな Cover Illustration は Stephan Martniere、Cover Design は Hayakawa Design。
カバー後ろの内容紹介を見ると
*
辺境の植民星サン・パウロで、探
鉱師ラモンは、酒のうえの喧嘩で
エウロパ大使を殺してしまった。
大陸北部の人跡未踏の山間に逃げ
こんだものの、ラモンは謎の異種
属と遭遇し、つかまってしまう。
しかも、異種属のもとから脱走し
た人間を捕らえる手先になれと命
令された。異種属の一体、マネッ
クに“つなぎひも”でつながれ、
猟犬の役をはたすことになったラ
モンの運命は……? 人気作家三
人による、スリリングな冒険SF。
*
となっています。著者が三人、それが意味するものは? なんて思います。そこらは著者あとがきにきちんと書かれていますが、とりあえず書いておけば、1977年に年齢が近い二人、ドゾワとマーティンの共同作業という形でスタートします。ドゾワがアイディアを出し、それをマーティンが作品にする形で一部書かれたものの、挫折。20年ちかく放置されていましたが、その後、20歳近く若いエイブラハムが加わることでまとまったそうです。
ということは、基本計画ドゾワ、基本設計の一部をマーティン、その後の全てをエイブラハムがまとめ、それにドゾワとマーティンが目を通して承認、出版のはこびとなったようです。結果として序章、本文29章、著者あとがき、訳者あとがきからなる500頁近いものになりました。最近のSFとしては、長い部類には入りませんが、ミステリに比べればボリュームがあります。30年の時間が詰まったお話は、どのようなものでしょうか。
時間や場所の設定はSFですが、基本は冒険小説といっていいでしょう。主人公はラモン・エスペホ、辺境の植民星サン・パウロの探鉱師です。もともと暴力的な性向を持っていますが、酒を飲むと見境がなくなる癖があり、今回は勢いあまってエウロパ大使を殺してしまうのです。とはいえ、酒の席での話、ラモンは何故自分が殺人を犯してしまったのか、全く覚えていません。
ラモンは、分かり易く言ってしまえば、マッチョタイプのアメリカ人です。女性に暴力をふるっても後悔するようなところはありません。探鉱師という仕事柄か、鉱脈でも見つけようものならともかく金にして酒を飲む、そして女と遊ぶ。時には殴り合いもする、勿論、相手が女や恋人であっても気にはしません。いかにもゴールドラッシュを歴史に持つアメリカ人が主人公にしそうなキャラではあります。
そのラモン、とりあえずは逃亡します。逃げ込んだ先が人も近寄らない北部の山中。そこで地すべりに巻き込まれたラモンは、謎の物体をみつけ、マネックという異種属の一体に出会うのです。正直、読んだだけではどのような姿をしているのか、よく読み取れませんが、背が高い動物のような感じも、機械のような感じもします。そのマネックから人探しの仕事を頼まれる、というか強制されます。そのとき、マネックが使ったのがサハエルです。
これはマネックとラモンを連結するケーブルのような、生きる鞭のような物で、これによってマネックはラモンを無理矢理従えることができます。首輪というか、自在に伸びる手で首根っこを押さえられた形のラモンは、何とかサハエルから逃れようとしますが、それもできません。彼らが追う人間とは、そしてラモンの犯した犯罪は、それに彼の恋人であるエレナは・・・
ラモンとマネック、話すらろくに理解しあえない人類と異種族がヒモで繋がれるような形で追いつ追われつをする様子は、コミカルといってもいいでしょう。二人? の様子を読んで、ロバート・デニーロとチャールズ・グローディンが競演した映画『ミッドナイト・ラン』のことを思い浮かべました。賞金稼ぎと会計士という、ある意味、同じ人類であっても異種族ともいえるコンビの道行き。アメリカ人はこういう話が好きなのかもしれません。
酒飲みでマッチョな暴力男、ということで最初は、ラモンの人格に疑問を抱きますが、最後はなんとなく、ま、いっか、となる点は癪ですが、冒険小説としては十分楽しめる作品といえるでしょう。
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