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大真面目にヒゲを論じる
2017/11/14 18:22
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投稿者:マラソン先生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒゲの有り/無しや、その形状から時代の移り変わりを追い、ヒゲの持つ意味や「ヒゲをめぐる状況が変化する4つの要因」を考察しています。豊富な先行研究と、地道な筆者の調査に裏付けされており、新書の手軽さと「研究」とも呼ぶべき重みの両方が味わえます。特に、「総合雑誌『太陽』掲載写真の分析」には筆者の熱意を感じます。「日本近現代史」に焦点を当てていますが、前近代にも簡単に触れられています。また、宗教や民族との関連は、冒頭では触れられているものの、本編にはほとんど出てきません。現代のパートには「無精ヒゲ風の流行」「ヒゲ訴訟」「ツルン」など興味深い話題が多く、最後まで飽きません。一方で、こちらも歴史的な視点で書かれているので、ファッションとしてのヒゲについて記述が厚いわけではありません。
タイトルおよび帯が、実際の内容と合わない本も少なくない中、こちらは文句なしの1冊です。
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≪目次≫
プロローグ 前近代のヒゲ史概観
第1章 明治時代におけるヒゲ大流行と権力性
第2章 明治後期のヒゲ論ー寺田四郎『ひげ』を中心に
第3章 『太陽』掲載写真にみる明治後期~大正初期のヒゲの様相
第4章 大正デモクラシーと流動化するヒゲ
第5章 軍国主義におけるヒゲの復活と実状
第6章 ヒゲの戦後史
第7章 ヒゲの現在
≪内容≫
ヒゲの文化史。最終章にヒゲをめぐる状況の変化について、4つの要因を挙げている。①権力側の働きかけ ②外国文化の影響 ③女性の目線
④器具の発達(特に安全剃刀の普及) である。
大まかに言って、明治期からヒゲの流行は下降線をたどっているようだ。戦争中は上官は生やすが、一兵卒は剃る、という感じで、政治的色合いが濃くなっているだけである。また、現在は意図的な「無精ひげ」もあるようで、それは手入れされているらしい(私もめんどくさいとときどきやるが、それはみすぼらしいだけだが…)。
まあ、けっこう綿密な研究なので退屈する部分もあるが、全般的には面白かったと言えるだろう。
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最近汚いヒゲのタレントがTVに出たり,街中にもいて不快である。
この本を読むと時代でヒゲの評価がとっても異なることが分かった。漢字も何種類もあるし。
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タイトルの通り、日本の近現代におけるヒゲの変遷についてまとめられている。
多くの文献や雑誌などの同時代的史料に基づいており、かなりマジメにヒゲの変遷についてのべている。
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私も髭をはやしているので、サラリーマン社会では髭は嫌われているという話はよく納得出来た。でも、イスラム原理主義では髭を剃る事が犯罪になるという事には驚いた。
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いまどきヒゲNGとか無理って思っていたわけです。読後は、ちょっと分かる。に傾いた。
ほら、男性性を出したいので、ボクはヒゲを生やしているし、体作りもしている。
で、それってつまり、威圧したい気持ちも、少しある。つまり、威圧要素のひとつなんだね。そりゃぁ、日本社会的には威圧という火種は無い方がいいに決まっている。
怖くないよ~っていう雰囲気になれば、開かれていくのかも。
あと、民俗学的な要素が入ってくるのかなと思っていたら皆無。あれ?っとおもったら、巻末に著者ご自身が民族的見地が足りてないと補足されていました。
そのあたりを期待される方は、別の本をおすすめします。
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文字通り、ヒゲについての日本の近現代史。
戦前がヒゲは権力やお洒落の象徴だったのに対し、戦後は反権力になってる移り変わりが面白かった。