紙の本
極道嫌いでも大丈夫です
2015/10/13 10:42
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投稿者:crest - この投稿者のレビュー一覧を見る
元々極道モノが嫌いで宮尾さんの作品の中でも読むのが最後の方になってしまいました。確かに花子の父鬼政が所謂にん客なのですが、この作品全体は鬼政とその死後花子の人生を養女松恵の目を通して描かれたもので、極道の存在を暗に是認したり極道をウリにしたりしたものではなく、にん客と言われた者たちのありのままの姿を語ったもので、まさに女の人生を描いた宮尾さんの作品として裏切られないものでした。当時のにん客というのは強きをくじき弱きを助けるという多少なりとも社会貢献の側面も持っていたものだったんですね。
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
戸籍上では姉にあたる松恵が見つめた、鬼龍院花子と名前だけは立派な女性の生涯。花子が松恵にちょっとしたプレゼントをする場面がある。その思い出だけで、立派なお墓を建ててあげられたのかもしれない。鬼政の子分が揃いも揃って情けないのが何とも残念。
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
花子が主人公なのかなと思っていたら、そうというわけでもないんだなと知って驚きました。極道ものの中では読みやすい部類。
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読み進める途中、何度か「花子の生涯」ではなく鬼政、あるいは松恵の生涯に思う。
でも読み終わって思った。
宮尾氏が書いたのは「花子の生涯」ではなく「(松恵が語る)鬼龍院花子の生涯」なんだと。
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鬼政の養女の松恵の視点から見る物語。
しかしまあ、甘やかされ放題で育った花子と、学費すら出してもらえないヤクザの家の養女という肩書きのせいでの苦労人の松恵の対比はすごい。
生活力のない花子を見捨てなかった松恵もすごいが、ヤクザの家もヤクザっぽくなくなれば、転落します。
栄枯盛衰を全て見た松恵だから語れるそんな気がする。
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大正4年、土佐で任侠業を始めた鬼政の親分。任侠道、飛行機や相撲興行、労働運動など最盛期、妾の一人娘花子を甘やかして育てる。鬼政の死後、やくざとの2度の結婚、別れた後仕事を転々として死ぬ。養女松恵が語る。
名前はよく耳にしていたのですが、初めてその内容を知りました。花子の一代記かと思っていたのですが、ちょっと違っていました。
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4章から最後にかけては一気読み。
女傑を想像する題名からはかけ離れた流されるままの花子。しかし、その女傑を想像する名に、最後の場面での松恵の希望が感じられて、裏切られなかった安心感をもらう。
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再読。かれこれ3回目かな。
鬼龍院花子の生涯といいつつも
花子の父 鬼政の物語であり
鬼政の養子 松恵の生涯である。むしろ主人公は松恵と言っても過言ではない。
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この作品は、1980年に単行本が出ているので、著者が54歳位の時に書かれたものであろう。
映画化された作品だが、映画のプロモーションでは、お色気のある任侠映画というイメージしか持てず、映画を見ることはなかった。
しかし、原作を読むと、人間の生き方とでもいうものを考えさせられる深い作品であることがわかる。
甘やかされた花子は若くして亡くなったことで何となく救われた感じである。
甘やかされたという点では、満州国皇帝の溥儀の人生が重なった。
・2020年3月22日、追記。
産経新聞に、林真理子さんが、宮尾登美子の熱烈なファンである、との記事あり。
それ故に、「綴る女 評伝・宮尾登美子」を書かれている。
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実話だと思い込んでいたが、違うんですね。にしては、花子に触れるページ数少なく、父親の鬼政に大部分のページが割かれ、時系列に沿った構成はノンフィクション本を髣髴される。戦後ヤクザの物語り。
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花子が生まれて、これだけ松恵の苦しい気持ちを読んだ後で、花子を嫌わずにいられるだろうか?と不安が過ぎった。だが杞憂だった。『鬼龍院花子の生涯』ではあるが終始松恵の目から見た花子であったから。タイトルは花子だけれど、主人公は松恵と言えるだろうから。
鬼政が権力を失っていく段階になるとページをめくる手が止まらない。子分にしても女にしても、意地でも死ぬまで関わりを切らさないのにも関わらず、実際はどんなに寄り添うたところで常に1人で、心から頼れる者もない虚しさ。
他に登場した女たちが心の中ではどう思っていたのかも、少し知りたい気もする。
この本の中で1番義理を通したのは、他ならぬ松恵だった。とにかく松恵が幸せになってくれればいいのだが、それも定かではないのだった。ここまで酷く苦労をしてきたのだから、なんとか報われてほしい。
読者を没入させる筆力のある一冊だった。