紙の本
不思議な話を集めた、ちょっと長めのショートショート集十六編
2010/12/11 19:03
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
星新一と聞いて、真っ先に思い浮かぶジャンルは、SFだろう。
しかし星新一の作品を読んでいると、意外とSFではない作品の方が多いことに気付く。
本書は、そんなSF以外の作品群の中でも不思議な話が中心に収録された、ちょっと長めのショートショート集。
その中から奇妙な気持ちにさせられる奇譚をピックアップ。
【過去の人生】
男がバーのカウンターで飲んでいると、過去の人生を一部分売って欲しいと、バーテンに話しかけられた。
あるのは現在だけ、過去は存在しないという男は、飲み代の代わりにと、冗談半分で過去の売買を承諾した。
過去の記憶が消える、などという単純な物語ではない。
自分とは何なのかを問う、哲学的奥深さが秘められていると、思われなくもない。
【めぐまれた人生】
その青年は、多額の遺産を相続し、遊び回ったあげく、ぼろ喫茶店の経営に落ちぶれ、病に横たわっていた。
ところが、どこからともなく現れた古風な服装の老人の助言に従うと、たちまち何事もうまく回り始めた。
『子孫に祟ってやる』という言葉も、現代の科学技術の前では……、という話。
しかし子孫への祟りとは、血のつながりに祟るのか、家系に祟るのか……。
【雷鳴】
雷鳴とともに現れた、古めかしい服装の老人は、ぱっとしない現状の五十才になる男を指さし、そして消えた。
指を差された男は、その後、次々と幸運に巡り合って大金を手にしたが、あまりの不気味さに、それらの金には一切手をつけなかった。
逆寓話とも取れ、疑り深い人間の性を描いた寓話とも取れる、ユニークな作品。
金に手をつけなかった男の気持ちが分かる。
【業務命令】
新入社員のその青年は、総務部推進課という所属二名だけの目立たない部署に呼び出された。
そこで青年は、就業後はまっすぐ帰宅し、夜の八時に電灯を消し、ろうそくの炎が消えるまで、「サキザキニシ、カンピララ」と唱えることを命じられた。
犯罪を犯すでもなく、会社のためになると言われればやるしかない。
とはいうものの、それが意味不明なこととなると。
【メモ】
その男は、大学の後輩に頼まれて、彼に向かって「ガボネリ、パギパギ、ナンザッキ。やっ」と唱えてやった。
翌日、男は身体の内部で何かが動き回るような、むずむずした違和感を覚えた。
効力のある不幸の手紙を想像させた作品。
物語の展開が読めず、謎は分からず、むずむずした気分にさせられる。
【その他収録作品】
頭痛、親友のたのみ、人員配置、出勤、会員になって、幸運な占い師、安全のカード、あの女、ポケットのなかに、問題の部屋、声が……。
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親が突然くれた本。短い話(ショートショート)が16書かれている。感覚的には世にも奇妙な物語って感じかな?
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星新一さんご自身があとがきに書かれているとおり、この本に収められている作品は、ショートショートとしては、長めの作品が多いかもしれません。
しかし、まさしく星新一作品であることは疑いようがない「らしい」作品が並んでいます。
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青年が買ったのは、なんと絶対的な安全を保障するという不思議なカードだった……。悪夢とロマンの交錯する16のショートショート。
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ショートショート16篇
頭痛 親友のたのみ 過去の人生 人員配置 めぐまれた人生
出勤 会員になって 幸運な占い師 雷鳴 安全のカード
あの女 ポケットのなかに 業務命令 問題の部屋 メモ
声が……
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普通に暮らしていると思っていたら、ふと気がつくと大きな力に巻き込まれて意のままに動かされている。そのような、ふとした時に感じる世の中の不安を描いたような話が多かった。時代が変わっても古びない面白さは、さすが星新一さんと感心する。
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「安全のカード」3
著者 星新一
出版 新潮社
p12より引用
“「わたしは、手相のほうはわからないのです。霊感のひらめき
が、専門なのです。そして、びしりびしりと未来がわかるという
たぐいでもありません」”
ショートショートの代名詞とも言える著者による、短編作品集。
夜中に突然親友が来る話からとある翻訳家の話まで、いつもの
ショートショートより少し長めの話が収録されています。
上記の引用は、とある占い師の一言。
ひらめきだけで人からお金をもらうとなると、かなり難しそうで
あまり繁盛していなさそうです。
いつもながらトンチと皮肉の効いた話が盛り沢山ですが、少し
長めなのでいつもの話の長さに慣れていると、違和感を覚えるか
も知れません。
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好きなときにさくっと読めるお手軽感が好きです。
星進一さんの作品は独特な世界観がたまりません。ちょっと不思議で、種がわかったときに「ははあ」としたり顔をすることができる、大人も楽しめるお話がつまっています。
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出勤、あの女、安全のカード、が面白かった。
久しぶりに読んだ星新一。どれも発想が面白くてすごい、と思うけど自分が面白いと思うかどうかは結構ばらつきがあるなと気づいた。
まぁ千編書けば、そうなりますね。
盗賊会社とかなつかしいなぁ。
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表題作と「ポケットの中に」が秀逸。星新一作品に出てくるガジェットは、ドラえもんのひみつ道具に似た蠱惑的な魅力があるが、必ずブラックなリスクが仕込まれているのが面白いところだ。
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星新一作品は古本屋で見つけ次第買うようにしているので、自然と手に取った一冊。悪魔やタイムスリップ、近未来の生活などテーマに既視感を感じてくるくらいには星新一作品に触れているつもりだけど、飽きは来ない。むしろもっと読んでその鋭い視点、考え方を学びたいと強く思う。本作で気に入ったのは、"業務命令"。実際、この世の中も役に立たないことやする意味のないことで成り立っているような気がしてならないし、やはりそこに目を付けた著者がすごい。亜流が生まれないのも納得する。
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読んだことがある人が多いと思う。 星新一さんの著書です^^
これまでも結構読んでると思うのですが、全部は把握できてないので本屋さんで見かけて、あっこれ読んでないかもって買ってしまいました。
けどときどき忘れてて、帰ったらあったってこともよくあります(笑)
これはまだでしたw さすがショートショートの神様、1話1話が短いのですごく読みやすく、以前は少し重い書物を読んだ後などによく読んでましたね。
星さんの小説は基本的にはSFなんですが そんなかしこまったのではなくて、どちらかと言えばアイデアノート的な そう 『ドラえもん』 のような感覚・・・
いや それよりもブラックユーモアが入ってそうなので 『笑うセールスマン』のような感じですねぇw
さすがお父さんが星製薬の創業者・星一さんだからかなぁ やたらと(ある薬が・・)とか(ある装置が・・)とかと怪しい薬や発明が登場します。
それに星さんの作品には名前が登場しません。(私の知る限り)
登場人物は○○青年や○○営業マン、もしくはエヌ氏やエフ氏などで登場するから名前を覚える必要がないので、それも楽かもしれないですw
今回のも16話のショートショートで面白かったです.。 1000話以上あるそうなので
まだまだ読んでいないのもあるはず、また見かけたら読もう !(^^)!
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とにかく、世の中には未知な部分が、まだまだあるのです。(あとがきより)
「業務命令」なんか、多分どこかで実際にあると思う。
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星新一さんのショートショートより少し長めの短編集。
全体を通して、他作品に比べて毒というか皮肉のようなものは少なく感じた。
特に面白かった作品
「業務命令」
最後のオチにクスッとなった。
違和感を感じることもやり続ければ次第に当たり前になって思考停止してしまうこと、最後には違和感もなく、受け入れてしまうことに人間の応用力というのか麻痺する力にすごいと思うと同時に恐怖も感じる。
星新一の作品はフィクションの色が強いのに、その中で妙に人間くささというか人の本質が描かれていて好きだ。
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不気味で不穏な読後感はやっぱり彼にしか出せない味があって良い。こうやって何回も星新一沼にハマっていくんだよね。「過去の人生」と「幸運な占い師」が特に好きだった。