紙の本
ラノベ寄りのディストピア小説。
2017/05/21 02:35
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラノベ寄りですが一般文芸書の分類だと思います。
そもそもラノベと一般文芸書の境界はきれいに線引きできる
ものではないですが、違いはなんとなく分かります。
ラノベだからパスするとの考えは自分にはありません。
文芸書がじり貧になる中で、本屋さんで多くのスペースを与えられ、
部数を伸ばしているラノベはむしろ興味があります。
残念なのは、当たりと思えるラノベは自分にとってはビブリア
古書堂シリーズぐらいで、あとは連敗をくり返していることです。
つまり合わない確率が高すぎるということで、実のところ趣味に
合うラノベを見つけたいという思いがあります。
読書の醍醐味に行間を読むことがあります。
想像力が刺激されるからであり、それこそが読書の最大の
魅力の一つだと思うのです。
物語の世界が分かりやすいことは重要ですが、分かりやすくても
行間は必要で、レールに乗せられることとは違うと思っています。
昨今は書き過ぎ小説がベストセラー的に売れるので、
こんな考えは少数派なのかもしれません。
この作品は、ラノベ的な残念な部分と、特異で個性的な
世界観の両方を持っており、かなり荒削りで評価しにくいです。
特に前半は、自己陶酔型の知ったかぶり文章が続き、
読みにくいことこの上ないです。
この読みにくさが逆に知的好奇心を煽るので、満足する人も
出てくるのでしょう。聞きかじったSF的な用語の埋め込みは、
エヴァンゲリオンで用いられた手法で、こういう意味だろ、
分かるぜ分かるぜみたいな感じがしてうっとうしいです。
しかも人工妖精と呼ばれるアンドロイドは、男にとても都合の
いい雰囲気の少女たちです。ドジかわいい漫画風のキャラで、
こんなものを喜ぶのは読書経験の浅い中学生くらいでは
ないでしょうか。
わが家の中学生女子は、男の妄想のかたまりみたいな
人工妖精に辟易していました。
でも人工妖精に頼らなければ成立しない膿んだ未来は、
もの悲しい現実を見せてくれるようで、続きが知りたく
なってきます。わたしはそこに作品の魅力を感じました。
三部構成です。特に第二部の人工妖精の置名草
(おきなぐさ)が見せる倒錯した自己犠牲は、精神の
矛盾にさいなまれていて読んでいるこちらも心が揺らぎます。
前半の酔ったような文章に対して、中盤は物語が走り出して
読みやすくなります。無駄な力が抜けており、この作家さんの
見せる世界が率直に伝わってきます。
この作品はブログ小説がベースとのことです。納得しました。
早川書房の編集さんがかなりテコ入れしたようなのですが、
それでようやく読めるレベルになったということでしょう。
この作家さんに可能性を感じることは、わたしも賛成です。
表紙の絵は人気のあるラノベ系の絵師さんで、目を奪われて
しまいます。でも小説なのだから、中身も表紙に追いついて
欲しいですね。見た目ばかり都合のいい作品では
良質とは言えませんので、酔った文章から脱却できれば
いい作品が読めるのではと期待しています。
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はまった
おもしれー
表紙買いだったのですがね
個人的には人工知能の反乱の辺りの真実が好きです
外宇宙へと地球への帰還と
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えー、完全に竹岡美穂先生の美麗表紙のジャケ買いでした。
最初は独特の世界観の解説描写が多く、この固い文章が
500ページ以上続くのか…とうんざりしかけていたのですが、
どんどん面白くなっていきました。
何と言っても、主人公・揚羽がめちゃめちゃ可愛い!!
竹岡先生の絵で良かった、てくらい表紙絵にぴったりの
キュートで、イイ性格(笑)で、誇り高い女の子でした。
序盤この揚羽を例えた「五等級」て本文では蔑称っぽい描写が
気に食わなかったのですが、これは引っかけですね。
彼女の出生などはCLAMP先生の「ちょびっツ」を思わせます。
彼女の脇を固める陽平・鏡子なども魅力的で良かった。
ただ、長すぎて中だるみを感じないでもなかったので、
分冊が良かったかなぁ。
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なんとなく軽く、萌え系の女の子が登場しそうなタイトルですが、なかなかどうしてハードボイルドなSFです。ナノマシンの集合体であり、人工物でありながらも決してロボットなのではなく生の感情を持つ存在としての彼女たち。その葛藤が痛いくらいですらあります。
ストーリーも骨太で最後まで一気に読ませてくれます。
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題名、及び裏表紙解説から当初に連想させられたイメージに比べると、随分と趣の異なる物語、というのが読了後の第一印象だった。
倫理観の変質著しい未来のディストピア社会と人形倒錯、あるいは自己の実存性に悩めるレプリカント達の織り成すテクノロジーの悲劇を身構えていざ挑んで蓋を開けてみれば、そんなものは終ぞ語られない。
寧ろポスト・サイバーパンク期に見かけられたジェンダーSFやナノテクSF、例えばリチャード・コールダー『デッドガールズ』、あるいはグレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』あたりの系譜の作品にも感じられ、ライトノベル畑出身の邦人作家ならではの読みやすさ、口当たりの良さも追い風に、自分の嗜好傾向との合致も相まって、非常に楽しめた一作となった。
男女性差で隔絶された二つの都市、人工干拓地と管理社会。
都市を区別し分断する巨大な歯車、あるいは分断される旧国家。
CMYKカラーモデルとその中間色に準えられた勢力図と、各々の世界観に縛られた者達のせめぎ合い。
ナノテクの蝶で組み上げられた人工少女群と、紐付けられる幾つかの寓話。
そんな詩的に設えられた舞台装置と、三人称視点でそれらの仕組みを冗長に過ぎるまでに"語り"、誘導し、錯覚させ、そして劇中を通してそれらの意味すら変容させつまびらかにしてゆくスタイル自体が、寧ろ本作流の物語表現なのではと錯覚させられる程に、精巧に組み上げられている小説である。
主役として、人間に代わって劇中世界を眺める人工少女達。
自身が工業製品でありながら何の疑念なく感情を表出してゆく彼女らは、逆説的にテクノロジー飽和の終焉に自ら喰われる人類側の、その実存性の混乱に眼差しを向ける側に立つという、旧来の先駆SF作品を経た一種の転倒劇としても本作は興味深い。
一点、劇中で語り手が時折吐露する価値観についてだけ、個人的に相容れない面が多く、そこが何度か読み手としての視線をぼやけさせる要因となったのが心残りだった。
ともあれ、予想外にも次巻以降の展開があり、期待どおりの仕上がりとの噂も耳にしているので、今後も楽しみにしたい。
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無機物萌えの自分には「銀色の恋人」彷彿として好きな感じ。
ちょっぴりあちこちでオタク的にこゆい解説のうざさを感じないでもないが、ハードボイルドな展開も面白かったし人工妖精たちの健気さでカバーされてる。後日の話も読みたいな。
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正直言って、タイトル見て、えろいのかぐろいのが頭を過ぎってしまい、一度スルーしてしまいました。すいません。
ですが、よんでみて良かったです。置名草の最後は絶妙だと思いました。
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タイトルと表紙絵で「萌え?」と思いましたが、内容は違いました。人工妖精の苦おしいほどの献身が愛おしいです。人工妖精たちは「人は人が思っているよりもずっと、優しい」と確信している…
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SFちっくなラノベ風ラヴストーリーでした。
揚羽と陽平が付き合いだしたら、どうしようと思ったけど
二人はあの距離感がちょうどいいのでしょう。
置名草のその後とか知りたい。続き読みたい。
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映画的、とても楽しませておらった。タイトルと表紙で、敬遠していて、すいませんでした。ぺこり。細かいことは抜きで、アニメでなく実写が希望だったり。マクロファージが観て見たい。
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表紙で萌系?と思ってしばらく手には取らなかったんですが、もっと早く読んでれば良かった。
赤くて、でも透明感溢れるお話でした。
人工妖精たちが可愛くてしょうがない。
揚羽と陽平は、いっそくっついちゃえばいいのに、と思うけど、触れそうで触れない距離だからこそいいのかもしれないとも思う。
でも、もしもう一度会うことがあるのなら、そのときには躊躇わずに互いの手を取って欲しい。
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タイトルが内容にあってないと思う。
(といっても販売処という言葉が引っかかるだけだけだが)
表紙の絵が秀逸。読書中、場の情景の構築の助けになった。
話の内容としては、読めばわかる。
話の質としては、硬質の様で実際はそうではない、まあ、読みやすいほうかと。
「空の境界」、「文学少女」シリーズが好きで、SFも齧っているならオススメ。
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タイトルに騙された。挿絵も無い。
萌え要素の全くないハードSFでした。
でも、とても面白かったよ。
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タイトルから卑猥な内容を想像してしまったが、そういうところはほとんどなかった。(始めに少しあった)
そのような先入観だったが、SFとして良くできていると思う。よく考えるなぁ。
ストーリーは、主要な存在が主人公の近くに揃い過ぎてスケールが小さくなってしまって残念。
あと、無理に品の悪い言葉を使っている感があるが、使い慣れていないように感じる。作者プロフィールといいワルノリしなくてはならないという思いが外してしまっているように思う。
設定面は素晴らしいので、なんだかんだいって楽しめた。
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誤植が気になるし、言い回しもなんだかなー、なときがあったけど、それを補って余りあるくらい、好みな話だった。あれだ、誰かがレヴューに書いてた、空の境界っぽい、ていうのが正解だと思う。あんまり声を当てて読む習慣はないのに、鏡子さんがcv.本田貴子で再生されたので間違いない。