紙の本
大食いに本気で打ち込む小さな少女
2010/12/11 17:06
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校入学前の春休み。叔父のラーメン店でバイト中の戌井八千代は、中二の時の同級生、井ノ原みのりに再会する。見た目は美人だが性格が壊れている仙石舞と来店した小柄なその少女は、ラフレシアと呼ばれる8人前の巨大ラーメンを注文し、吸い込む様に食いきってしまう。
みのりの食べる姿に本気さを感じた八千代は、心を突き動かされるものがあって、彼女に告白してしまうのだが、付き合う条件として出されたのが、街の代表的な大食いメニュー、30人前の巨大ラーメン食神を完食する事だった。
最初の挑戦に失敗したハチだったが、ようやく見つけた本気になれそうなことを諦められず、大食いに本気で取り組むために、高校の暴食部という部活に入部することにする。そこにいたのは、クアッドコアという二つ名を持つ部長・牛米満や、フリージア・仙石舞、そしてかつてはブラックホールと称された井ノ原みのりだった。
中学時代は野球に打ち込んできたものの、肘の故障でそれを諦めざるを得なくなったハチ。そんな彼を見ていられない幼なじみの町田真白は、何とかもう一度本気になってもらいたいと思っている。
そんなときに見つけた大食いという種目は、誰もが納得してくれる打ち込めるものというわけではない。しかし、それに一生懸命挑む人たちを見て、ハチは誇りを持って大食いに取り組めるようになる。
テレビの大食い番組を見ても、何故か小柄な女の人が大食いだったりすることも多いわけで、見た目とは全く違う凄まじき食いっぷりには敬意を表さざるを得ない。
そんな大食いを扱ったこの作品。明らかにアサウラ「ベン・トー」の影響を受けた部分があると思うが、題材的にはマイナーっぽいにも拘らず熱くなれそうな所が良い。ただ、今のところ、熱量というか密度的な点で、そこまで大食いに入れ込んでいる様でもない印象を受ける文章なので、今後は是非とも本気で大食いの世界の魅力を伝える作品にしていって欲しいと思う。
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どこかで見たような表紙とタイトル。
その実体は「大食い」を題材にしたスポ根モノ。
主人公は偶然再会した元同級生が大食いに挑戦する姿に惹かれ、自らもその世界に飛び込んでいく。
ラノベで大食いというと、『イリヤの空』の「鉄人定食」を思い出す。本筋とは関係ないただの挿話だが、餃子を手掴みで食べるところなど熱や脂の感触まで伝わってくる名シーン。未読の方は是非ブックオフにでも。
それに比べると、どうにも軽い。…比べなくても軽い。
ストーリーは、はっきり言って凡庸。
大食いのつらさは伝わってこないし、完食までの道のりが単調。出てくる料理が美味しそうに見えない。各キャラの能力は説得力が弱い。サブカルネタが中心の日常会話は、それなりに面白いが、どうにも薄っぺらい。何より熱さに欠ける。
本作のテーマは作中でも触れている「周りから理解を得られないことに全力で取り組む青春」ことだと思われる。ならばもっと熱さを見せて欲しい。「大食い」という珍しい題材で勝負を掛けたつもりかもしれないが、『学校の階段』や『ベン・トー』など、珍しいを通り越して本来競技ですら無い物に一生懸命になる昨今のラノベ界、それだけでは弱い。特に後者は同じ「食」こ関する内容なので、どうしても比較してしまう。
小綺麗には書けているのだが、弱くて軽い。
まだいくらでも伸びしろのある題材と思われるので、どうにか化けて欲しい。
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大食いをテーマにした小説で、「そこに山があるからだ」的無駄に命をかける系の話。まりお金田の挿絵は気迫不足で正直ミスマッチ? 食べる描写がぜんぜんちゃんとしてないのが残念すぎるけれど、あとはまずまず、かな。
しかしウェルメイド過ぎる感もいなめない。二つ名は維新チルドレン的なところもあるのかしら。
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アタリ。
早食いにかける青春、とわりと王道だったもの。題材が題材だけにちょっとアレだけど。
自分でも大食いのほうをやってみたくなるくらいには引き込まれた。
よいボーイミーツガールでした。
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うん、青春しとるなぁ〜。
なかなかおもしろかったですよ(^O^)
ただ、コレ読む前にベン・トー読んじゃったから、ちょっと比べちゃうかな。食事に対する表現とか。
これを見ても、あ、これ食べたいとは思わなかった。
つか、主人公…成長早すぎっすよ。
でも、読みだしたら止まんないすね。
いい意味で裏切られました。
大食いという『スポーツ』に真剣に取り組む姿はほかの部活よりもかっこ良く見えました。
これ、続編でるかな?
できたら主人公以外にももっとスポットあててほしいな。
とりあえずは続編に期待ってとこですね('-^*)/
青春って、やっぱいいなぁ!!!
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熱い。
部活動の「大食い部」という食をテーマにした物語のはずなのに、思わず「アクションもの」の範疇に入れてしまうぐらい熱い本作。
新人賞受賞のデビュー作ということもあって、結構なキワモノを扱う作品ですが、読んでみると内容的にはかなり王道です。
部活動モノの王道を辿りすぎて、「そんなに早く大食いが上達するわけないだろ!」とか「大食い四番勝負なんてありえねえ!」とかいうツッコミが入る余地がふんだんにあったりしますが、そこはまあ眼を瞑るということで……^^;
おっ、と思ったポイントとしては、ヒロインが物を食べている時の描写が妙に色っぽい。まさかこんなところでラノベ的エロ要素をクリアしてくるとは思いもよらず、驚かされました。
逆に、食べ物の描写はもう少し頑張ってほしいですね。あわよくばアサウラ先生の「ベン・トー」シリーズぐらい。
今後に期待ということで、★3つです。