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紙の本
命よりも、たいせつな気持ちがある。
2009/09/02 20:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
限りなく表紙買いに近かったが、これは良い作品を読ませて貰ったと感謝したい秀作である。多彩で独特な人物が登場しながら程良くこじんまりとした小さな世界で、人と人とのふれあい、家族愛、恋愛、いわゆる「縁」や「情けは人のためならず」といった、時には面倒なこともあるけど大事なもの、ともすれば忘れてしまうけど大切なものの尊さを背景に、人との付き合いが不得手で、イメージと実際とのギャップに悩んで、深く愛したがゆえに傷付いて、人を愛することに怯える、そんな人達の葛藤を、主人公【白鳥蛇衣】とヒロイン【金城あひる】のピュアな恋物語を通して描いている。シンプルな本線に含蓄ある多くの要素がさり気なく散りばめられた作品である。
まず、設定が特徴的。通常、『恋の病』は罹ると幸せなものだが、本作では不治の病・致死の病として位置付けられる。なので恋することはタブーであり、そのための抜け道が用意されている。読み始めはこの設定に若干曖昧というか矛盾を感じて違和感も覚え、検査で分かるのなら最初からみんな検査したら?という身も蓋もない疑問も沸くのだが次第に改善されてくる。さらに最も特徴的なのが蛇衣。『男らしくなりたい』のなら、まずはその髪型から直していこーよ、と言いたくなる、稀に見る美少年である。そして、その聖人君子も真っ青な純粋さと実直さを備えており、彼の前では悪い事、後暗い事が出来なくなる。そのため本作全体が透き通るような透明感に溢れているのである(これらは美麗過ぎる挿絵に負うところも大きい)。この蛇衣にあひるが恋をする。恋をしてはいけないのに恋をする。なので本心は隠して蛇衣には正反対のことを言う。でも止まらない、抑え切れない。そしてレビュータイトルに冠した境地にまで達するに至る。次巻では、「爆弾」を抱えたあひるがこれとどう向き合うか、蛇衣がどう対処していくのかが鍵となりそうで楽しみが尽きない。
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