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投稿者:新 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻想的に語られる‘市’の物語、第二巻。‘うろくづ’‘いさりお’などと、とても印象に残る言葉が飛び交います。一巻では完璧に閉じたイメージのある市でしたが、それが徐々に破綻してきたように感じられました
電子書籍
幽玄のきわみ「細蟹の市」
2019/01/27 21:29
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代日本に同居しているはずなのに、妙に古めかしさを感じさせる「細蟹の市」そして「石骨地区」。
電気が通じてないようだが電話は通じるらしいし、市街にはレンタルビデオ店もあり出前にも応じてくれる。
しかし地続きではあるが、幽鬼なのかならず者なのか、我々が住む世界とは異なる条理が支配する世界。
超法的、超自然的な存在を許していながら、どこか異世界というよりもその猥雑さには懐かしみも覚える。
もちろん市の様相は物騒極まりない。
下手をすると、食事でもするかのような感覚で殺し殺される訳だが悲壮感などカケラもない。
なのに、どいつもこいつもどこかふわふしていて間抜けで憎めない。
その市で起きた妖刀「うろくづ」を求め、流れ着いたカラカラとメトメの一行。
複数人の視点で構成されているが、地の文はよく練られており致命的な破綻はない。
むしろ「ティア・ドロップ・ティア」の正体、その甲走った笑い、「うろくづ」にまつわる悲喜とそれが引き起こす綻び。なかなかに薄気味悪い。
事情を知る者と、なにも知らずにただ求める者をうまく相対させ「うろくづ」ばかりでなく、細蟹の市を冗長な解説なしにうまく筋立てて語っている。
悲壮感がまとわりつくが、しかしカラカラが操る絡繰り魚の生き生きとした様、いさりおの水際、こえよしの唄、その筆致はなかなかに魅力的である。
ここからは「ふつうじゃないラムネ」でも飲みながら語るとするか。
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「夜宵」の続編。今回は群像劇形式になっている。細蟹の市の雑多な雰囲気と人の業の悲しさのコントラストが美しい。
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この不思議な世界が想像力をかきたてます。
漫画じゃなくて良かった。
映像化もしないで欲しい作品。
登場人物や雰囲気など実際にないもの程自由な想像が出来るのが楽しいです。
続編に期待。
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夜宵を2年程前に読んで、とても絶賛したことを覚えています。
2段組で引け目を感じますが、読み始めるとどんどん吸い込まれていく作品です。
不思議なお話なので、人が残虐に殺されたりもします。
何かしら裏で糸を引いていて、何人も登場人物が出てくるのに、最後はみな同じ目的である、土台のしっかりした物語です。
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”今年も来てくれたのね”
また細蟹の市の雰囲気に浸かれるのが嬉しい。
ぽこぽこ焼き美味しそう…て所から始まり、「うろくづ」を探しにきた大道芸人カラカラ、目を布で隠した少女メトメ、足が鳥のこえよしなどが新たに登場し物語の中に入り込む。
哀しい男の話だなあ…あれだけ全てを賭してうろくづを求めたのに。
冒頭、末尾の台詞は誰の言葉?まことからサザへ?作者から読者へ?
また次の市も見られますように。
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夜宵の続編。
「うろくづ」を巡る物語。
またサザに逢えて嬉しい、だけどまだ囚われて呪われて愛されているのかと思うと哀しい。
たくさん人が死んだ今回の細蟹の市。
色んなものを失って、
市の「終わり」の予感がする。
終わりのはじまり。
次の市も来てくれる?
きっとまたサザは来てくれる。
ところで夜宵さん、口悪いな…
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「夜宵」の続編。前回のような連作短編ではなく、ひとつに繋がったお話でした。(間にサザさんメインの短編がありましたが、それも繋がっています。)前回よりもキャラクターが増えました。芸人や不老不死の子や人形師に呆けた爺さんなどなど。前回よりもすこし軽くなったのでしょうか?背筋が凍るようなダーク部分が少なくなったような気がします。でも怖いのですけどね。やはり本ならではの叙述トリックがあり、それがおもしろかったです。(注意して読めば難しいトリックではありませんが。)次もありそうな気がするので、たのしみに待ってます。
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「夜宵」の続編。文庫が出るまで待とうかなと思いつつやっぱりこのドクドクの雰囲気を味わいたくてついつい買ってしまった。
このなんとも言えない黒々とした世界感がすごく惹きつけられる。
新しいキャラクターたちもとても魅力的で私はいとちゃんが好き。
市に来る「人」の中で一番人らしいような、綺麗な心の持ち主のような。
いとちゃんの身体の中には女の子の色んな所が詰め込まれているのだろうか。
なんだか続きもありそう。
また続きが出たら読みたい。
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やっぱ面白ぇえええです、『夜宵』続編。
「ティア・ドロップ・ティア」はだいたいいつもの『夜宵』テンションです。まともな人が細蟹の市にかかわってしまうと、気が狂っちゃうんだなあ・・・。こわやこわや・・・。
「うろくづ」はあれです、映画「モールス」とかのオチです。カラカラもメトメさんも、悲しいな~~~。竜胆丸じいちゃんびっくりした・・・。
うつろは何なんだ・・・ひっかきまわして・・・・・・あと黒胞衣ね!!女(?)だったのか!!?ヒエー!!
サザ(この場合はカンナか)とまことも・・・・・・。
マヌイのこえよしさまへの気持ちが・・・なんかすげえすきです・・・・・・。
早く『鳴夜』読みたいよう。
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間違えてレビューを消してしまったので、改めて。なんと書いていたか忘れてしまった…。
夜宵の続編。今回も装丁が素敵。細蟹の市をめぐるお話。
今回はうろくづという謎の妖刀?に振り回される人々を描く。この独特な世界に、新たな登場人物が加わっていく。いとちゃんについては、なるほど、と思わされた。カラカラが操るからくり魚がとっても綺麗で、実物を見てみたい。
だんだんと崩壊へと近づいていく細蟹の市…。サザの心情が複雑。物語も難解になってきたような気がする。どう続くのか、次作を読み進めたいと思う。
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大晦日までの僅かな期間にだけ立つ「細蟹の市」。そこで手に入らぬものはないといわれ、欲望と幻想が妖しく交わるこの場所も、しかし少しずつ衰退の兆しを見せていた。滅びの予感に身をゆだねながら、赤腹衆のサザは最後の市守りとして今年もまた仮面をつけ、夜ごと市を巡回する。そんな折、市に大道芸人の父娘が流れてきた。彼らはある呪いを解くため、「うろくづ」という不思議な道具を探しもとめており…。
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前作に引き続き、ワールド全開でした。
あれだけ死人が出るようなおぞましい市が舞台であるにも関わらず、グロさの他にどこかその世界に美を感じるのは細蟹含め、登場人物が不安定な存在だからなのでしょうか?
怨みだけでなく、愛や情も呪いと紙一重なのですね…。
読み進めて行くほど、細蟹の綻びが進んでいくのがわかります。サザは細蟹の一部でありそれゆえ飲み込まれてしまいそうで不安です。
とはいえ次回のサザの活躍も早くみたいので、ぜひ続きも読んで見たいと思います。
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細蟹の市シリーズ…と言っていいのか。夜宵の続編。
今回は「うろくづ」をめぐる物語(+前作と似たテイストの短編「ティアドロップティア」)
前回のレビューで、これで終わった方が綺麗なんじゃ…なんて書いたけど、撤回します。相変わらずさくさく読めておもしろかった。
何よりこの物語の設定(舞台も登場人物も背景も)が好みだし、決定打らしい決定打はないはずなのに、毎年同じようでいて少しずつ変わっていく(綻んでいく)のも続編らしくて良い感じ。
新しく増えた登場人物も魅力的だったな。いとちゃんがとても可愛い。
人もたくさん死ぬし、想像するとなかなかえぐい死に方もあるんだけど、最近よくあるグロ描写を描けば流行るみたいな描写ではなくて、あくまで世界観の中にある死という感じ。
装丁が綺麗だし、スペースが許せば手元におきたいな…
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夜宵ほどの衝撃はなかったけど、
個人的には満足!
サザ報われるかなぁと思いながら
シリーズを読んでる今日この頃。