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タイトルの通り、従来まで伝説的見地から語られることが多かった武田信玄の人間像に学術的見地から客観的に迫っていく。当時の時代背景に関する研究成果を踏まえた上でそこから真実の信玄の姿を解き明かしていくスタンスは一般の読者にも十分読みやすい。良書。
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勝手に読み直す日本史という事で再読する。
1997年の刊。手堅い内容で、今読んでも得るところ
が多い。新書ということで、参考文献一覧を省略してい
る事は玉に疵である。(昔の新書のスタイルなのでやむ
を得ないか)
はじめにで高野山の二種類の信玄画像について触れられ
ている。16年前の時点で持明院蔵の画像の方が有力視
されていたとはと改めて認識する。
棒道については否定的見解、金山経営、信玄堤についても
過大な評価を避けようとしている。甲陽軍艦が描く信玄像
から脱却を図っているが、やや性急な気もする。
(2005年刊行のミネルヴァ日本評伝でどの程度深化さ
れているか気になる。)
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タイトル通り、伝説的英雄像で語られる信玄を
資料から冷静に分析して地に足の着いた人物像に落とし込んでいる。
信玄の権力基盤、その範囲、金山経営、信玄堤、棒道など、信玄の英雄的君主像を支える通説を伝説的要素をそぎ落とし、現実的な領主としての信玄を浮き彫りにしようとしている。