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紙の本
日常の時間の中の不意のゆらぎ
2001/02/19 03:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あきら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミヤウと澄まし声で部屋に上がってくる妙な猫、池に咲いた姫睡蓮の花、胡桃の木に繋がれたタロウ、壁にずらりと並んだ蝉の抜け殻。そんなものたちに囲まれた日常の時間が、不意にゆらりと揺らぐ瞬間がある。その「ゆらり」を言葉に掬い取るために、すべては収斂していく。その結果に出来上がったのは、素晴らしい文体である。緊張の糸が不意にピーンと張るような瞬間を読み手に味わわせてしまうような文体である。
妻の死後、気持ちの整理をつけるために書き始められたという「黒と白の猫」「蝉の抜け殻」などの「大寺さん」ものについて作者自身が言及した、「いろんな感情が底に沈澱した上澄みのような所が書きたい。或いは、肉の失せた白骨の上を乾いた風がさらさらと吹き過ぎるようなものが書きたい。」という言葉が、魅力を見事に言い表していると思う。
紙の本
懐中時計
2023/10/14 20:21
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大寺さん」を主語にした作品はいずれも独特のあたたかさ、やわらかさをもっていると感じた。複数の作品で妻との関係を取り扱っていて、作者の中でなにかこだわりがあるのか、と感じた。
電子書籍
小沼氏の世界にすぐに引き込まれる
2019/01/30 17:14
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者はこの本の「著者から読者へ」のなかで次のように書いてある。「小説は昔から書いているが、昔は面白い話を作ることに興味があった。それがどう云うものか話を作ることに興味を失って、変な云い方だが、作らないことに興味を持つようになった」。確かに「村のエトランジェ」と「懐中時計」を比べた時、同じように怪しい女は登場したりするのだが、女の毒が薄まり、私小説の色合いが強くなっていると感じられる。しかし、作品の中にでてくる人物はやはりいきいきとしており小沼氏の世界にすぐに引き込まれる。作者は愛妻を失ってますます作らないことに興味をもったと言っている。しかし、私にはどの時代の作品も素敵に感じる。
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