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◆今日ご紹介するのは、古今東西の「スピーチの名手」のテクニックを集めた1冊。
100人もの人物が登場するため、376ページという厚さでも足りない(?)くらいでした。
アマゾンの内容紹介から。
スティーブ・ジョブズ、ジャック・ウェルチ、ジョージ・クルーニー、アドルフ・ヒトラー、アウン・サン・スー・チー……力強い言葉と巧みなコミュニケーション力で、人々の心を鼓舞し、社会に大きな影響を与えた名演説家たち。スピーチの組み立て方から言葉の選び方、表現の仕方まで、達人たちの「人を動かす」話し方のテクニックを徹底解説!
今回はこの本の中から、私たちでも使えるスピーチテクニックを10個選んでみましたので、ご覧下さい。
サルバドル・アジェンデ(チリ大統領)
スーザン・B.アンソニー(アメリカの女性参政権運動指導者)
コラソン・アキノ(元フィリピン大統領)
ムスタファ・ケマル・アタチュルク(トルコ共和国初代大統領)
アウン・サン・スー・チー(ビルマ(ミャンマー)の民主化運動指導者)
ヘンリー・ウォード・ビーチャー(アメリカの牧師・反奴隷制活動家)
アノイリン・ベバン(イギリスの下院議員)
ベナジル・ブット(元パキスタン首相)
リー・ボリンジャー(コロンビア大学学長・法学者)
ナポレオン・ボナパルト(フランス皇帝)〔ほか〕
【ポイント】
■1.キーワードを強調する
言いたいことを強く印象づけるためには、スピーチの中で同じ言葉を繰り返し用いることが効果的だ。同じ言葉で始まる短いセンテンスを繰り返すと、とくに効果が大きい。この「アナフォラ(首句反復)」と呼ばれるテクニックの最大の効用は、考えや論理を聴衆と共有できることにある。
■2.強烈な印象を与える冒葉を選ぶ
ベバンは、力強くて歯切れがよく、一度聞いたら忘れられない言葉を演説にちりばめた。ベバンの言葉に刺激を受けた人も多い。たとえば、ある演説で用いた「これが私の考える真実です。あなたの真実な聞かせてください(This is my truth, tell me yours.)」という言葉は、イギリスのロックバンド、マニック・ストリート・プリーチャーズが1998年に発表したアルバムのタイトルになっている。
■3.リハーサルを怠らない
抜群の記憶力を持つチェンバーズは、いつもメモを見ずにスピーチをするが、事前の準備にはけっして手を抜かない。どんなに忙しくても、リハーサルを欠かさない。話す内容だけでなく、どこで声の抑揚を変えるか、どこで演壇を降りて客席に入るか、どこで個人の名前をあげて称賛するか、どこで言葉を区切って一呼吸おくかを頭に入れた上で演壇に立っている。
■4.聞き手のイメージが湧きやすい比喩を用いる
第二次大戦終戦後の1946年3月5日、チャーチルがアメリカのミズーリ州フルトンで行った演説で用いた比喩はよく知られている。東西冷戦の時代の到来をいち早く見抜いていたチャーチルは、ソ連に対する警戒を呼びかけるためにこう述べた。「バルト海のシュテッテインからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパ大陸を横切って鉄のカーテンが降ろされた」
■5.いつまでも色あせないメッセージを打ち出す
スピーチを成功させるためには、途中で主張をぶれさせたり、たくさんの主張を詰め込みすぎたりしてはいけない。不朽のメッセージを見いだし、それを強調することが重要だ。
■6.威厳をもって語り、頼もしさを醸し出す
軍人として訓練を受け、数々の実戦を経験してきたドゴールは、動揺し恐怖をいだいている人たちに向かってどのように話せばいいかよく心得ていた。力強く、堂々と、明快に演説をした。あっさり降伏した同胞への怒りをあらわにするのではなく、自分の主張を裏づける事実を示し、少しずつ言葉の調子を強めていった。
■7.スピーチにリズムをもたせる
キング牧師の演説が聴衆を引き込んだ要素の一つは、音楽的と言っていいほどの力強いリズムだった。そのリズムを生み出したのは、演説の構成と声の抑揚である。たとえばこの演説では、「私には夢があります」という言葉が一定の間隔をおいて繰り返されている。このフレーズは歌のコーラスのリフレインよろしく、聴く人の耳になじんだ。
■8.内容にふさわしい引用を盛り込む
核心を突いた引用は、スピーチにカを与える。リソカーンは1958年に上院選に出馬した際の演説で、アメリカが奴隷制のある州と奴隷制のない州に分裂している状態に関してこう述ぺた。「内輪で争っている家は成り立っていきません」。この言葉は、「どんな国でも内輪で争えば、荒れ果ててしまい、どんな町でも家でも、内輪で争えば成り立っていかない」という新約聖書「マタイによる福音書」の有名な一節から取ったものである。
■9.発声に気を配る
発声を磨くには相当なトレーニングが必要だが、それだけの意義はある。自分の声を録音して聞いてみるといい。どう聞こえるだろうか? 聞き手はどう感じるだろうか? なまりをすべて直せとか、自分なりのスタイルを捨てろというのではない。しかし、発声が上手かどうかはきわめて大きな意昧をもつ。
■10.思いをストレートに表現する
スペンサー伯爵(ダイアナ妃の弟)は弔辞で、最初のうち姉を「彼女」と三人称で呼んでいたが、途中からは「あなた」と二人称で呼びかけた。その結果、スピーチに人間昧が吹き込まれて、姉に対する伯爵の思いが聞き手に強く伝わった。
【感想】
◆本書には100人が登場し、一人につき、ポイントが2~5つ程度収録されているため、実際には上記の何倍もの学ぶべき事項がありました。
ただし、「重要なもの」については何度も登場するので、それは差し引いて考えないといけないかと。
例えば「比喩を用いる」ですとか、「リハーサルを怠らない」といったあたりは、当然複数回登場しています。
そういえば、この本にも、いかにジョブズがリハーサルをしっかりやるかについて書かれていましたっけ。
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
参考記事:【スゴ本】『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』カーマイン・ガロ(2010年07月11日)
冒頭の引用部分にもあったように、本書には当然ジョブズも登場しますが、基本的に一人3ページほどしか割かれていないので、ジョブズのスピーチテクニックについて知りたければ、当然こっちの方をオススメw
◆また100人のうち、ジョブズやゲイツ、ジャック・ウェルチ等の経営者に比べて、政治家が多いのが本書の特徴です。
特に新旧のアメリカ大統領が10人も登場するのは、正直どうなのかな、とw
ただ、日本の首相と違って(?)、アメリカの大統領でスピーチ下手だったら、そもそも大統領になれないでしょうから、致し方ないのかも。
ちなみに、日本人では小泉元総理が登場しております。
他にも目次にあるように、様々な国の指導者が収録されていて、かつ、それぞれの方の解説もあるので、個人的にはスピーチテクニック以外の国際面関係の社会常識を学ぶことができたのが収穫でした。
◆そして、取り上げられているスピーチ自体、歴史的に重要なものがいくつも散見されたので、発言内容だけでなく、状況や時代背景をも考慮しないと、理解しえないものが多かったです。
この辺はむしろスピーチテクニックというよりも、話す内容が大事なんですが、逆に、「そういうシーンではどういうスピーチをすべきか」という勉強になりました。
まぁ私が政治家になることは今さらあり得ませんが、人の上に立って、人を動かす立場にいらっしゃる方なら、こうして多くの指導者のスピーチを横断的に俯瞰できるのは、得るところが大きいはず。
と言いつつも、上記のポイントでは、当ブログの趣旨から言って、思いっきりテクニカルな部分に焦点を当ててるんですがw
◆ぶ厚い本でよくあるのが、すきま時間で分けて読んでいると、登場人物等話が分からなくなってしまうこと。
その点本書は、一項目(一人)が3~4ページですから、その心配は全く無用ですw
私はブログを書く必要があって、一気に読みきりましたが、自宅に置いといて、気になる人物からつまみ読みすれば良いと思われ(私も一番最初に読んだのは小泉さんでした)。
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立ち読み:2010/11/06
[図書館]
読了:2010/12/17
単純に読み物として楽しめた。100人分の人柄、エピソード、スピーチの
良い点などを1人につき3~4ページでシンプルにまとめてある。
だが、プレゼンやスピーチのスキルを磨くための本ではない。
100人の良い所はそれぞれバラバラで、それらが汎化・技術論化されて
述べられているわけではない。
100人分の天才芸の鑑賞本、といったところ。スピーチ技術の解説本ではない。
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スティーブ・ジョブズ、ジャック・ウェルチ、ジョージ・クルーニー、アドルフ・ヒトラー、アウン・サン・スー・チー……力強い言葉と巧みなコミュニケーション力で、人々の心を鼓舞し、社会に大きな影響を与えた名演説家たち。スピーチの組み立て方から言葉の選び方、表現の仕方まで、達人たちの「人を動かす」話し方のテクニックを徹底解説!
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著名人のスピーチを例題にして、聴衆のこころに響くような言い回しやスキルを説明している本。
主に政治家によるスピーチが多い気がする。
さらに、その歴史的背景の説明も多いので、歴史の勉強プラススピーチによる影響の解説のような本だ。
スピーチを勉強するためには、別のノウハウ本の方がいい気がするが、偉人のスピーチを自分のスピーチに盛り込んで説得力をましたい人にはいいと思う。
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会社の図書にリクエストして読んだ。
広く浅くなので、興味のきっかけが見つかれば良いのではないかと思う。解説はあまり役に立たない。
一番気に入った演説はコカコーラ会長ムーター・ケントの
「正面から向かい風が吹きつけてきたときは、それと同じくらい強力な追い風がどこかに必ず吹いているはずだと、私は考えています。大事なのは、その追い風を見つける事だと思います。」かな。
以前似たような言葉を見たときは、じゃあ今追い風を感じていれば必ずどこかに向かい風があるよね、って事だけど。
技法で心に残ったのは、「This is my truth,tell me yours.(これが私の考える真実です。あなたの真実を聞かせて下さい。)」という言葉で有名なアイノリン・ベバン。
彼の語った演説のコツは反対意見の弱点ではなく、一番強いところに狙いを定めて切り込む、というもの。確かに、それが雄弁というものだ。
最後がムハマド・ユヌスなのはgreat。でも、スピーチの天才ならジュリアス・シーザーを含めてほしかったな。
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ノウハウ本ではなくスピーチそのものを見せるという主旨が良い。
英語くらいしかわからないだろうが原語でも味わいたい。
日本人のエントリーが小泉元首相一人だけというのは色々感慨深い。
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スピーチ・プレゼンの実例を集めた本です。
結局何が言いたいかというと、スピーチ・プレゼンをするのに一番大事なのは「準備」だということです。
よっぽど稀有な才能を持っている人以外は、何の下準備もせずにスピーチ・プレゼンに臨んではいけないという事を繰り返し筆者は述べています。
スピーチ・プレゼンの上手な人は、非常に多くの時間をその準備に割いているのが普通です。あまり準備をしていないように見えても、それはただの演出であって、準備無しには優れたスピーチ・プレゼンはありえないというのが筆者の考えです。
まあ当然そうでしょうね。
あとは、演説のテクニック的な話も多少触れられています。
「三の法則」とかですね。
そして、読み始めてから気付いたのですが、本書で紹介されている人物の中に日本人はほとんどいません。小泉純一郎がかろうじて掲載されているくらいです。日本人がうまい下手とかそういう話ではないんです。
僕が言いたいのは、これ日本語で読んでもわからない本なんじゃねーかってことです笑
例文を出されますが、やはり日本語訳がなされた文を読んでも、原文でその文章を読んだときとは受ける印象が全く違うでしょうし、優れている点がわかりづらい部分もあります。
まあ、世界には色んな人がいて、色んなスピーチがあるんだなということを教えてくれる一冊です笑
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聞き手の思考に火をつける、のがスピーチだそう、まさに、のサンプルと明確なインサイト解説。読み甲斐大!
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未読了。スピーチが2行程度の抜粋のため、スピーチの効果を説明されてもちっともわからないことあり。それでもスピーカーのバックグラウンドや他の演説にも触れられており、なんとなくつかめる。量が多いため、好きな文は結構見つかる。
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2013年34冊目。
世界中の100人のスピーチ一部を抜粋し、そのエッセンスを検討していく本。
しかし、以下の2点で読み応えはあまりなかった。
■「入念な準備を怠らない」「情熱を持って話す」など、当たり前過ぎるエッセンスが多く、繰り返されていたこと。
■スピーチ全体のごく一部しか抜粋されていない上、スピーチが行われた背景に関する説明も少ないため、当事者意識が生まれず、心に響くものが少なかった。
人数を絞って、一つひとつのスピーチをもっと詳しく扱っていれば良書になったのでは。
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偉大なスピーチを集めた一冊。
テクニックについてはそこまで目新しいものはなかった。
でも、この世の中には見習うべきスピーチが沢山ある。
過去の偉人たちに興味を持つ本としてはいいと思う。