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紙の本
蛇蝎のごとく嫌われる主人公
2015/08/21 14:34
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
安達太良高校に通う籠島諦は、何も気づかない。彼の周りには、機関の超能力者・織野栞というクラスメイトがいたり、未来から来たエージェント・神楽井もにゅ美という先輩がいたり、異世界から来た魔法使いの栗栖・クリムゾン・紅莉亜ことクリエステリア・クリムゾン・クリードエンデ・クリストゥフーア・栗栖という後輩がいたりして、彼は彼女たちの物語に巻き込まれるわけだが、どんな異常な事態もスルーしてしまう。だから彼にとって、彼女たちは普通のどこにでもいる友だちだ。それが何より心地よい。
今回転校生としてやってくるのは、陰陽師の桔梗院柚希だ。彼女が使役する玉藻前の娘・玉音を妹として紹介したことから、籠島諦に妹とオムツプレイをする変態と誤解されてしまった彼女は、徹底的に彼のことを嫌って遠ざける。しかし彼自身、彼女の本家筋である土御門仙三に10万円を詐欺られてしまったため、自然と事態に巻き込まれることになるのだが、霊力が0の彼には妖怪大戦争も全く見えない。
一方、突如、籠島諦の幼なじみとして登場した男・篠瀬戒は、いつも神社の参道にいて、なにやら彼の周囲の異常事態について、思わせ振りな言動を取る。なぜ、全てを華麗にスルーする籠島諦の周りでだけ、不思議な人々が集まるのか?
前回のヒロインたちはほとんど日常パートに顔を出すだけで、今回の事件には関わってこない。彼女たちの物語とは筋が違うし、日常に幸せを感じたいのが彼女たちの願望なのだから、それはそれで良いのだろう。
そして新たに参加したヒロインは、蛇蝎のごとく主人公のことを嫌う。何も知らない知らないで通してきた彼もようやく、彼の回りに異常なことが集中しているのに気づくのだが、そのとき、彼の前に現れるのは、何でも知っている幼なじみだった。
本来、相手の異常な言動をスルーするということは、相手のことに全く興味を抱いていないことを表明するのに等しい行為だと思う。だが作者は、相手の言動をスルーしても相手のことを思いやってさえいればALL OKだという考えのようだ。要するに、自分で抱えきれないことならば、スルーした方が相手のためになるのだ、という思想なのだろう。個人的には全く賛同できないが。
今回、知らないということが事件を解決する上で有利に働いたこともあった。相手の理の外にいるから、その影響を受けないという論理だ。だが知らないまま放置するするならば、相手にとって彼は、理想の夢世界の住人という枠を超えることはない気がする。生身のままで共に歩むという、時には相手の重荷になるような、しかしそれで自分の気持ちが軽くなるような、そんな体験は決して起こりえないということだ。それは何か寂しい関係なのではないだろうか?相手が本当に大切であれば大切であるほど。
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