紙の本
野村監督のような人が会社の上層部にいたら、さぞかし業績もあがるだろう
2011/12/03 01:00
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
2009年に楽天監督を最後に球界から退いた野村監督のぼやき語録の集大成のような書物だ。しかも新書で読める。
私は野村氏のことを1990年にヤクルトの監督に就任してからしか知らないが、何度もリーグ優勝を果たし、3度日本シリーズを制した名監督といった印象を持っている。「ID野球」を売り文句に、大活躍した。つまり考える野球を導入した。
プロ野球選手は、天性の運動能力に恵まれているので、考えた野球にはなかなかならない。バッターなら来た球を叩く、ピッチャーならストレートで押す、キャッチャーは型どおりのリードをしておしまいになることが多い。
野村監督は、バッターなら相手投手の特長をつかんで狙い球を絞らせる、ピッチャーなら打者の内外角に巧みに投げ分ける、キャッチャーはバッターが手を出す癖を把握して配球をするといった具合に、1球1球に工夫を凝らした。
言われてみれば当たり前のようなことなのだが、意外にもプロ野球では実践されていなかった。野村監督が始めたことも少なくない。何にせよ、はじめて試みるというのは、非常に勇気がいるし、頭がよくなくてはできない。それを監督の立場で、選手たちに納得させて実行させたのだから指導者としての腕は相当なものだ。
ヤクルト時代の選手、例えば、広沢、池山、古田、飯田などを例にどうやっって才能を開花させてやったのかが語られている。当時のヤクルトの快進撃を知る者には、興味深いことがたくさん書かれている。古田を中心選手にすえて、ベンチでもそばにおいて、逐一学ばせたのは有名な話だ。飯田については、捕手だったのをその足の速さに注目してセンターにコンバートさせて大成させたのは、野村監督の人の才能を見抜く能力の真骨頂だ。
野村監督は他球団で解雇されたり、くすぶっていた選手を拾って再生させたことでも知られている。こうした選手にもう一度命を吹き込んだ事例がたくさん紹介されている。
会社で管理職に当たる人にも多いに参考になりそうだ。冴えない選手を再生させるにもコツがある。追い込まれてはいるが、プライドは高いので、何とかしたいという気持ちは強い。その気持ちをうまく引き出して、発揮させてやればいい。これができそうでなかなかできないのだが、できれば知将と呼ばれることになる。最近の野村再生工場の成功例は、楽天の山崎がそれにあたる。
野村監督は幼くして父親を亡くし、貧乏生活を送っている。学校に通えたのも兄が進学を断念して、学費を工面してくれたおかげだ。そのつらい日々が、苦しくてもなんとしても這い上がろうとする執念に結びついている。これは豊かな時代に育った世代には、さすがに真似はできないが、こうしたモチベーションを自分なりに作り出せば、これが限界と思えるような壁を突破できそうだ。
野村監督が指導した中でも、江本、江夏、門田は扱いにくい選手の代表だったと言う。結局、うまく導いていくのだが、その過程は読み応えがある。
野球界のことしか述べていないが、読者の日々の仕事にもきっと応用できるだろう。
こうした考える野球によって、野球の魅力を高めることに貢献してきた野村監督の功績には相当大きいものがある。
野球に関心がない人にもおすすめできる一冊となっている。
紙の本
“ボヤキ”の裏に秘められた人間関係の機微が分かります!
2012/02/08 15:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パルーカス - この投稿者のレビュー一覧を見る
とかく「ユニークなコメントが面白い」と評判だったあの“ボヤキ”に
どれほどの意図が巧妙に隠されていたのか、
果たしてみなさま方はご存じであろうか・・・。
小泉元首相がマスコミの威力を巧みに操りながら、
「党内の総理選においていかにレース運びを有利に運んだか」、そして
「郵政民営化の是非を国民に問い直すために、いかに効果的に森喜朗氏を演出役として活用したか」といったエピソードは記憶に新しいところではないだろうか。
それと同様の発想により、野村監督は「どうすれば十人十色の特徴を持つ選手たちを
変革へと導いていけるか」という隠された意図のもとにマスコミを活用し、
自らの“ボヤキ”を通じて「選手ひとりひとりを叱り、褒め、発奮させるための叱咤激励」
策を必死に繰り出していたのである。
その真意や苦心の中身については、サラリーマン世界にも十分通用するだけの
示唆に富んだものとなっている。
とりわけ「三悪人」という最大級の皮肉と敬意を持って取り上げられた、
江本,江夏,門田の3選手との間に繰り広げられた凄まじいばかりの真剣勝負には、
笑いあり涙ありのドラマ感すら漂っている。
「自分とは価値観の違う苦手な相手にほどきちんと向き合っていかなければならない」
という教訓がそこには垣間見える。
野球には興味がない方々であっても、職場で人材育成の壁にぶつかっておられる方にとっては
何かのヒントを掴むキッカケになるのではないだろうか。
電子書籍
野球好きな会社員には良いかもしれません
2015/11/14 10:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:メート - この投稿者のレビュー一覧を見る
具体的なエピソードは基本的に野球の話題なので、野球好きには楽しく読める本でもあると思います。また、本人がこの本で言っているように、昔から多くの本を読んできた野村さんだからこそ書ける文章だと思います。日本語の勉強にもなるのではないでしょうか。
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野村監督の本を読むのは初めてですが、
職場には何人も読んでいる人がいます。
今回初めて読んでみて、理由がわかりました。
監督と選手の関係は、
まさに教師と生徒の関係そのもの。
選手をわが子のように思うからこそ、
言いにくいことも言ってきたという姿勢は、
私たちも見習うべき部分なのでしょう。
だって、「あかの他人の子」ならどうでもいいですもの。
すべてに心酔することはありませんが、
そうだよなぁと納得する部分はたくさんありました。
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言葉によって人を変えれることを記した本。ノムさんがヤクルト監督時代に経験したことを記していることが多く。楽天については全然ふれられてなかったことは残念でしたが、人を育てていくにあたっては参考になる本です。
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結論、以前読んだ「野村ノート」とかぶる話(イチロー攻略、江夏再生)もあるがやはり面白いです。
正しく「いかなる個人よりも全員の方が賢い」を日本で実践していた人だと思います。
非常に「適材適所」「人に気づかせ考えさせる」あたりは勉強になります。
どんな時代になってもその「人」というところの考え方は普遍なんじゃないかと思っています。
全体として、自身の野球人生から考え生まれた「人間再生」をテーマにした本です。
昭和の野球が分かるとさらに楽しく読めると思います。(一応私はS62年生まれなので現役時代は知りません。)
チェック点
・目標を自ら考えさせる。
・「人間的成長なくして技術的進歩なし」
・先入観や固定観念を排して徹底的に選手を観察する。
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語録集ではなく、「なんでボヤくのか?」と言うことに焦点を当てた書籍。
うん、ためになる。
叱り方につながる部分がほとんどで、叱り方について厳しくなった現在に何らかの提言をしているように感じられました。
何らかって言うのはまぁ愛のむちってやつですね。
西武の大久保コーチの一件を取り上げていましたけど、その部分だけ抜き出してあーだこーだ言うのはやっぱり違うと思うんです。
一連の流れを見なきゃ本質は掴めないんだよね。
と言うことで、さすがノムさん!と言う作品であります。
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2011年9月1日、読了。
「言葉」の重要性、そしてそれを自覚した上で選手にどう言葉をかけるか、ぼやくのか。
山本五十六が「ほめてやらねば人は動かじ」と発言した事は有名だが、野村氏は「叱る」ことに重点を置く。
ただし、考えて準備をした結果、シンプルな指示をし、その指示を守った結果のミスであれば、決して叱らない。
選手の成長は、枝葉末節を見た度重なる指摘ではなく、シンプルで根本的な指摘にかかっているのだと感じた。
「人間的成長なくして技術的成長なし」
星五つ!
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ノムさんもやっぱり古典から多くを学んでる。「満は損を招き、謙は益を受く」(書経)。オレもいつも謙虚でありたいものだ。素直は成功の鍵だな。
江夏さんに「言いにくいことを面と向かって言ってくれた・・・」と感謝されたノムさん。指導者としての真髄を見た気がした。 「こいつを一人前にしたい」というリーダーの強い想いは必ず部下に通じる。怒りと叱りの違いをわきまえよう。
人を育てるには、叱るだけでなく「ここだ!」というタイミングですかさず褒めることも必要だ。相手のタイプを見極めて飴と鞭を使い分けよう。先入観、固定観念を排除して、部下の長所を見つけてやることがリーダーの重要な役だ。 「思考が人生を決定する」(五木寛之)。ある言葉がきっかけで考え方が変わり、人生が変わることがあり得るのだ。
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人を育てる際の方法論が、具体例と共に記載されており、学び取ることができる。
野村さんが監督時代にいろいろと頭を使って考えて、選手個人にあった、指導をし、やる気のスイッチを押していたのだと思う。
こういう本から学び取って、是非実践していきたい。
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ボヤキで有名な野村監督が、なぜぼやくのか、そしていかにして人を動かすかを綴った一冊。
さすがに監督としても実績を上げてるだけに説得力がある。
多くの話は別書で読んだ記憶があるものの、「人は無視、賞賛、非難で成長していく」というのはその通りだと思うし、「一番大切なのは愛情」というのも賛同できる。
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読書録「野村ボヤキ語録」4
著者 野村克也
出版 角川書店
p69より引用
“ 中国の『書経』に「満は損を招き、謙は
益を受く」という教えがあるが、満足すれば
思考が止まる。思考しなければ進歩が止まる。
何事においても一流とは、謙虚な気持ちを忘
れず多くの疑問を抱き、目標に向かってつね
に努力し続けられる人間のことをいう。”
目次から抜粋引用
“やる気を引き出す言葉
気づきを与える言葉
やさしい言葉をかけるだけが愛情ではない
ほめてやらねば人は動かじ
人を見て法を説け”
元プロ野球選手である著者による、監督時
代に選手の指導にあたってかけた言葉などを
まとめた一冊。
人の気持ちを奮い立たせる一言からその人
自身に見えていないことを教える一言まで、
数多くの実例をあげて語られています。
上記の引用は、努力とモチベーションにつ
いて書かれた項での一節。
お腹いっぱいになってしまうと、それ以上食
べたくなくなるように、やる気も満たされて
しまうと無くなってしまうのですね。
いつまでも一つの事を続けていくためには、
少しずつ気持ちを満たし続けるようにして、
決して満足しきってしまわないようにした方
がいいのかもしれません。
プロ野球選手としても、監督としても、大
きな実績を残し続けた人だからこその説得力
のある文章です。
野球をする人ばかりではなく、なにかに行き
詰まっているのであれば、前に進むためのヒ
ントを得られるかもしれない一冊ではないで
しょうか。
ーーーーー
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プロ野球の名選手として1960年代の南海ホークス黄金時代を支え、引退後は「ID野球」を掲げて弱小球団のヤクルトを3度まで日本一に導いた名監督の野村氏だが、入団当初は契約金無しのテスト生という扱いだった。それでも二軍から這い上がりレギュラーの座を奪い取った原動力は、まだ何年目かの時、当時いつも叱られていた鶴岡監督から何かの拍子に「おまえ、ようなったな」と掛けられた一言にあると振り返る。その後の選手生活、そして20年間の監督生活で貫き通したのは「言葉によって人間は変わる」という信念。プロ野球の監督として「やる気を引き出す」言葉、「気付きを与える」言葉、そして「戦略としての」言葉など、その才能や性格・置かれた状況によって「言葉」を選びながらアドバイスや助言を与え、選手の能力を120%開花させた例は数多く、言葉の持つ力を教えてくれる。その中でも「南海の三悪人」と呼ばれた門田・江本・そして江夏の各選手と対決した時のエピソードや、古田選手との長くて深~い関係はとっても興味深い。
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前回に引き続き、大変素晴らしく思います
一部内容が重なっている処もあるが、再度読む分には何も問題はない。
人を動かすには、論理、利害、感情
満は損を招き、謙は益を招く
人を見て法を説け
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南海時代の三悪人、江本、江夏、門田の話が面白かった。昔は癖のある選手が多かったようだ。ノムさんは選手のせいにしないいい指導者だった。ボヤキも簡潔明瞭でファンやマスコミに対してサービスしていた。これがプロだと思う。責任の所在を明確にする。「おまえがもし打たれても責任を感じることはない。責任はすべてあの場面に登板させたおれにあるのだから」目標を言わせる。何事においても一流とは謙虚な気持ちを忘れず多くの疑問を抱き、目標に向かってつねに努力し続けられる人間のことをいう。「人間的成長なくして技術的進歩なし」