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これまで未収録の短編を集めた補遺集といった塩梅で、各作品を貫くテーマ的なものは(朝鮮以外には)見当たらないものの、逆に作品のバラ付きが広く(2003~2013年!)、作家荒山徹のいい所も悪い所も盛りだくさんのバラエティ豊かな作品集となっております。
「金髪くノ一絶頂作戦」という狂った原題の「阿蘭陀くノ一渡海」。実はこの中では最もシリアスで、確かに改題やむなしといった感じでした。ここでは初期の忍者ものに見られた「権力者の理不尽な圧政と、それに立ち向かう者の相克」が描かれていてなかなか懐かしい思いに駆られました。しかしまぁ山田風太郎忍法ものの影響が強く感じられる部分もあったりしましたが。
「三くノ一大奥潜入」、これについてはノーコメントwただ荒山先生の性描写って露骨すぎるというか無修正ポルノじみたものがありますよね。
「密書「しのぶもじずり」」題材こそ違うものの、ほぼ『柳生大作戦』と同じアイデアで、プロトタイプのような作品でしょうか。冗長さが無い分、こちらのほうが面白かったような気もします。
「韓流夢譚」については「歴史改ざん」「良心組」など実にキワどげなネタを使いながらも、朝鮮妖術ノッカラノウムを登場させて穏やかにカバー。…カバー?
まぁ荒山先生は実に無邪気に自作あるいは他者の作品と世界観を共有させてきますが、本作もそれで。オチはブッとんでてむしろ痛快ですらあったんですが、良くも悪くも荒山先生らしい作品であったなという感じです。