紙の本
「親」が語る、はやぶさ君
2012/06/09 19:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
いまさら、と言われるかもしれないが小惑星探査機「はやぶさ」の誕生から帰還までを描いたもの。
同じような本は何冊か読んでいるが、プロジェクトマネージャであった川口教授が著者だったので、思わず手に取った。
偶然だが、この本を読み終わった翌日、「”はやぶさ2”製造開始」という記事が新聞に掲載されていた。
全ページカラーなので、新書にしては定価がお高め。
面白いのは奇数ページ左下欄外に地球、火星、イトカワ、はやぶさの軌道の簡略図がついており、打上げから帰還までの軌道がパラパラマンガのように見る事ができる点。
これまでに読んだ「はやぶさ」本はカプセルの帰還までだったが、この本は、それらより後から出版されているので、カプセル内にイトカワの微粒子が発見された部分についても書かれている。
当事者だから敢えて、そのようにしているのか、全体的に事実を淡々と述べている印象だ。
が、さすがに「はやぶさ」の最後とイトカワの微粒子発見の部分では、行間から感情が滲み出ているように思える。
最後の章末に書かれた一首が多くを物語っている。
「わくせいの いにしえかたる たまてばこ ながきかんなん いまぞかなえり」
「はやぶさ2」のプロジェクト(2014年に打ち上げ予定)が順調に進む事を願う。
紙の本
何よりもありがたいのはカラー版であること
2023/11/02 13:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「はやぶさ」の誕生から帰還までが解説されている、何よりもありがたいのはカラー版であること、非常によくわかる、それにしてもNASAの何十分の一、何百分の一、ひょっとしたら何千分の一の予算でここまでできたとはとんでもなくすごいことだ
投稿元:
レビューを見る
プロジェクトリーダーの川口先生の本だけあって的確な内容とカラーなので写真も綺麗!しかもロマンチストなのか読み物としても楽しめます。良書ですねぇ。
投稿元:
レビューを見る
(2011.01.11読了)(2011.01.06借入)
「はやぶさ」に関する本、6冊目です。とりあえず「はやぶさに」ついては、これで打ち止めでしょう。
本を開いて、眼を引くのは、奇数ページの左隅に描かれている太陽、地球、イトカワ、はやぶさの位置関係を示すパラパラでしょう。図の横に、その位置関係にあった年と月が添えてあります。1か月ごとの変化を追えるように描いてあるようです。楽しめます。
他の5冊の本に比べると、専門的かもしれません。とはいっても、新書ですので、本格的な専門書というわけでもありません。
章立てを紹介しておきましょう。
第1章、「はやぶさ」誕生
第2章、イオンエンジン
第3章、スウィングバイ
第4章、イトカワで見たもの
第5章、冬の訪れ
第6章、遠い家路
第7章、帰還
終章、発見 (持ち帰った微粒子)
●惑星探査の方法(7頁)
①フライバイ
天体のそばを通り過ぎる際に探査するもので、長時間の観測は難しい。
②オービタ
天体の周りを回って観測する方法で、フライバイに比べて得られる情報は格段に多くなる。
③着陸
惑星の表面に着陸して、その場で観測・分析するものである。
④サンプルリターン
惑星に着陸した後、表面の試料を地球に持ち帰るのが、サンプルリターンである。往復飛行が必要になるため、4つの惑星探査法では一番難しい。
●なんでも世界初のアメリカ(14頁)
小惑星(彗星)の塵を惑星間から直接カプセルで回収している(2006年)ので、小惑星の成分を地球に持ち帰った最初の国はアメリカである。
小惑星エロスに探査機を着陸させた(2001年)ので、小惑星に探査機を最初に着陸させたのもアメリカである。着陸向けの観測機器をほとんど何も積んでいないので、着陸させても意味はない。
(「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」に着陸して、その成分を地球に持ち帰って来たとしても、小惑星の成分を地球に持ち帰ることをやったのも、小惑星に探査機を着陸させたのも既にアメリカがやっていることだ、とアメリカは誇っている。)
●イトカワに向かうには(72頁)
地球から「はやぶさ」をコントロールして、イトカワに向かわせるには、地球からはやぶさとイトカワを観測して調整するやり方では、誤差がプラスマイナス300キロぐらいになるので、全長500メートルの小惑星に丁度よく接近させることは難しい。
はやぶさにイトカワ方向を撮影させて、はやぶさから見て、イトカワがどっち方向に見えるかを確認しながらコントロールする方法を取った。
●イトカワの表面が大きな石ころだらけな理由(79頁)
小惑星は丸くなく、その内部は液体ではなく、全体が粉体といえる。コップに重い金属ナットと米粒を一緒に入れて上下に振ると、重いはずの大きなナットが浮き上がってくる。これはブラジルナッツ効果といい、慣性力と小さい粒子の摩擦力が原因で生じる。イトカワでも当初、小さい砂と大きな岩がまじりあっていたものが、小さな天体がぶつかるたびにイトカワがゆすられ、大きな岩が表面に現れ、その結果イボだらけになったと思われる。
●自前の技術がないと(86頁)
リアクションホイールは三基ともアメリカの同じ会社が同じ時期に制作したもので、そのうちの二基がほぼ同じ時期に故障した。分解不可という条件で輸入されたために、技術的な詳細がわからず、残りの一つもいつ壊れてもおかしくない。(自分たちが設計して制作したものなら、回復方法など、故障時の対処方法を検討できるが、購入したものは、故障したらお手上げだ。)
●イトカワに着陸するには(88頁)
曲がった茄子か胡瓜みたいな形のイトカワは、自転しているので、着陸しようと近づいていく間に形がどんどん変わって行く。曲がっているあたりを目指すとすると、両側のとんがっているところにさえぎられることも考えられる。(結構難しかったようだ。くびれたところが影になって、明るい部分が二つに分離されて、はやぶさが混乱したこともあったようだ)
●故障しても直接見ることができない(122頁)
人工衛星や惑星探査機、ロケットが、他の機械と全く異なるところは、そこに行って故障個所を見たり、修理したりできないことだ。
故障につながる要因が何かを考え、すべて列挙する。さらに、その要因を引き起こす原因が何かを列挙していく。その原因を一つずつ検証して、故障の可能性があるものはすべて潰していく。
イトカワの微粒子と思われるものが多数見つかったようですが、結果はいつごろ出るのでしょうか、その結果から何がわかるのでしょうか。発表が待たれます。
☆「はやぶさ」に関する本(既読)
「はやぶさ」吉田武著、幻冬舎新書、2006.11.30
「小惑星探査機はやぶさの大冒険」山根一眞著、マガジンハウス、2010.07.29
「小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡」的川泰宣著、PHP研究所、2010.10.05
「小惑星探査機はやぶさ物語」的川泰宣著、生活人新書、2010.10.10
「小惑星探査機はやぶさ」川口淳一郎著、中公新書、2010.12.20
「はやぶさ、そうまでして君は」川口淳一郎著、宝島社、2010.12.24
「ハレー彗星の科学」的川泰宣著、新潮文庫、1984.03.25
「月をめざした二人の科学者」的川泰宣著、中公新書、2000.12.20
「小惑星地球異常接近」金子隆一著、光文社、1994.06.30
(2011年1月11日・記)
投稿元:
レビューを見る
私=はやぶさ帰還のニュースで初めてその存在を知ったニワカファン。なんか凄そうだけど,新聞やテレビの報道だけでは,どのへんがどれだけ凄いのかいまいち分からない。そこで,オールカラーの本書を手にとった。
◆
地球の引力圏外まで長時間・長距離を航行し,全長500m程度の未知の小惑星イトカワに着陸した上,資料を採取して地球に帰還する……そのミッションは困難を極めている。しかし,プロジェクトマネージャーである著者は,「NASAもためらうような計画でなければ,われわれのオリジナリティは実現できない」,「多少やぶれかぶれ気味ではあるが,人類初の挑戦をしよう」などと考え,プロジェクトを始動させる。
本書の内容は盛りだくさんだ。はやぶさ誕生の経緯,搭載された新技術,芸術的というべきスウィングバイ,航行中に襲いかかる幾多のトラブル,それを乗り越える創意工夫と精神力,地球への感動的な帰還,そして未来の展望。これらすべてが新書サイズに詰め込まれている。技術的に詳細な部分へはあえて分け入らず,写真や図をふんだんに使うなど,一般人の興味に応える工夫が施されている。まさに,はやぶさ入門書の決定版だ。
投稿元:
レビューを見る
半年ぐらい前に話題となった「はやぶさ」プロジェクトの概要がわかる一冊。
何が嬉しいってカラーということ。モノクロとカラーでは情報量が圧倒的に違う。
何度も言い尽くされているのでここで詳細は書かないけれども、「はやぶさ」が本当にものすごいことをやり遂げたんだなと実感できる一冊。コンパクトにまとまっていて、技術屋としてはもっといろいろ書きたいと思うんだけど、これだけでも十分伝わる。すごい一冊。
投稿元:
レビューを見る
はやぶさの一生を、一番身近で見てきた川口リーダーが細かに解説。2億3000万km離れたはやぶさを「教育」し、最後まで諦めずに地球まで引っ張ったその熱意が伝わってきます。
投稿元:
レビューを見る
宝島社の同著者本が「プロマネによる広報活動」の趣なのに対し、こっちは「教授川口氏おおいに語る」というカンジで、両方買って読んでも気にならん住み分けができていて流石と感心。この内容でこの値段はコスパフォ良過ぎ。頁左下のパラパラ軌道遷移図秀逸(アイデアが)
投稿元:
レビューを見る
構想から25年、プロジェクトチームができてから15年、飛行を開始して7年。日本人プロジェクトチームの粘りづよい努力と工夫の成果と思われる。感動して泣けてきた。美しい写真もよかった。
投稿元:
レビューを見る
副題「玉手箱」は開かれた~はやぶさが世界初の快挙である点。地球の引力圏を離れて宇宙を航行し,他の天体に着陸してサンプルを採取し,地球に帰ってくる~プロジェクトマネージャ。いろいろな人によって,はやぶさは本にされ,映画にもなっている。日本という国を考えれば快挙で,喜ぶ人も多いと云うことになるが,科学的快挙や発見は人類共通の宝であって,国は無関係だが,大きなお金が掛かる以上は何処かに冠を戴くしかないのであって,国は大きなスポンサーになり得る。アメリカで同時期に作られたリアクションホイールが3台の内2台壊れていて,アメリカの研究者とも協力しなくてはなしえないが,アメリカに出し抜かれた悔しい思いが伝わってくる。補助充電スイッチがONになっていたのは説明がつかないと云っているのが面白い。糸川さんが名機隼の設計者であったこともどこかで読んだだろうが,偶然の一致ではない。はやぶさ2のスウィングバイ失敗は痛いなあ
投稿元:
レビューを見る
「はやぶさ」帰還以降、展示会・映画・DVDなどはやぶさの旅の成果・その困難等に接する機会は多かったと思う。本書もそんな「はやぶさ」を伝える一冊だ。映像ソースには映像でしか伝えられないものもあるが、本書を読むと文字でしか伝えられないものもあると確信した。はやぶさとそのプロジェクトスタッフには改めて、ご苦労様・そしてありがとうと言いたい。
投稿元:
レビューを見る
著者ははやぶさプロジェクトの責任者。はやぶさが,地球の重力圏を脱して再び地球に戻ってきた初めての物体だったとは知らなかった!あと,「はやぶさ」も「イトカワ」も打上後の命名っていうのも意外。
はやぶさについては,他にもいっぱい本があるようだが初めて読んだ。今度,松浦晋也さんの「星になった小惑星探査機はやぶさ」も出るらしい。読みたいなー。
投稿元:
レビューを見る
映画『はやぶさ』を見て、
もう少し深く知りたいと思い読みました。
著者の川口淳一郎さんは、
小惑星はやぶさ探索プロジェクトの、
プロジェクトマネージャーだった方です。
地球の大気圏外に出た探査機が、
小惑星からサンプルを採集して、
地球に戻ってくることが、
如何に重要なのかが改めてわかった気がします。
ページをめくると、
はやぶさの軌跡が
コマ送り漫画で、
見られるのが、
可愛らしいと思いましたよ。
投稿元:
レビューを見る
はやぶさの本はこれまで、いくつか読んだけれど、本書が圧倒的に素晴らしいのはその著者である。はやぶさプロジェクトリーダーの川口淳一郎氏が書いている。
平易な文章を書く人だと感じた。文章が小刻みで、リズムがよくて読みやすい。
いくつも本を読んだり、テレビの特集、映画を見たせいで、ストーリーは頭に入ってしまっていて、新鮮さはなかったけれど、やはり、実際に現場で指揮した人の文章は臨場感があるなぁと思う。
また、常に日本の宇宙開発、科学技術の将来の発展を願い、はやぶさにおいても、ミッションのそれぞれがどういうメリットがあるのかを述べる姿勢が印象的。常に説明を求められ、動機づけが十分であることを多方面に求められているのから、くせになっているのかもしれない。が、誠実に説明してくれる姿勢は、大変好感がもてる人物である。途中の絵の解説も分かりやすく、はやぶさのことが知りたい方は、この本から読むのが一番よいのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
とてもやわらかくてわかりやすい語り口。事実を淡々と書き連ねているようでいて、その中に強い意思がある。