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「夏を殺す少女」で鮮烈な日本デビューを飾った作者による傑作ミステリ。
行方不明になった保険会社の女性調査員を探す依頼を受けたホガートがプラハで連続殺人事件の調査をしている女性私立探偵と知り合い、その事件にも巻き込まれて行く。
先に挙げた「夏を殺す少女」と比較すると、ジックリと物語が展開するイメージだが、まどろっこしさなどはなく、謎が謎を呼ぶ展開は先を読む手を休ませない。
「夏を〜」と共通する点といえば、主人公が身体的にハンディとなるものを持っている点や主人公とともに活躍する女性にトラウマとなるような過去がある点、二人が謎を解決するためには手段を選ばない行動をとる点が挙げられる。これらの要素は決して褒められないものもあるが、それによって物語がよりスリリングに展開して行くという点で読者をより惹きつける効果があるように思う。
本作は三部作として作られているようなので、次作の刊行が待ち遠しい。
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(No.14-6) ミステリです。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵ペーター・ホガートは、大手保険会社支社長からある依頼を受けた。
ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が消失。調査に派遣した絵画専門の調査員は、消失した絵画は刷りかえられた偽物だったとの報告を残し行方不明になった。その調査員を見つけ出して欲しいというのだ。
プラハに飛んだホガートは、一人の女探偵(イヴォナ・マルコヴィチ)に出会う。彼女が調査しているプラハの連続殺人事件の話を聞くうち、ホガートはとんでもない事実に気付く。
「夏を殺す少女」で衝撃的なデビューを飾った、オーストリア・ミステリーの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?』
「夏を殺す少女」が面白かったので、これも読みました。前作と違って、ミステリというよりハードボイルドだと思います。ハードボイルドって久し振りに読んだわ。
ホガートが私生活が寂しく一匹狼であることはハードボイルドの基本なのですが、理由がちょっと弱いかも。まだはっきり付き合ってもいなかった恋人にあっさり去られたから、私生活が寂しいというのは。
でも以前仕事で大失態をしてしまいそれが気持ちの上で尾を引いていて、二度とそういうことはしないぞと思いながらもどんどん事件に深入りしていく様子は、おおやっぱりハードボイルド!
イヴォナも厳しい過去を背負っていて、それが何なのかなかなか明かされないのですが、その影を感じることでホガートは惹かれていきます。
舞台はほとんどがプラハ。私はプラハに対しては何となく暗い重苦しいイメージがあるのですが、この小説もそんな感じでした。
そして・・・・、警察はかなり無能ですね。もっとしっかり捜査してればここまでのことにはならなかったのに。
まあ、警察が有能だったら探偵ではなく刑事が主人公の小説になっちゃうかな。
犯人がぼやっと分かり始めたころから物語が加速し、探偵たちと読者は同じ情報を共有するので「ああ、そうなんだ!」と一緒に驚けました。
これ、映画化したら面白いだろうなあ。読みながら映像が目に浮かんできました。ラストに向けてハラハラドキドキの展開です。
大変面白かったです。これはシリーズになっていてすでに2作目は本国で出版されているとか。
早く翻訳出版して欲しいです。
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保険調査専門の探偵・ホガートが、プラハの展覧会で消失した絵画を調査していた保険調査員の行方不明事件を捜査する。
絵画の話は少ししかない!というツッコミはある。が、プラハの暗黒街ものとして面白かった。
次はウィーンが舞台のものを読みたい。
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保険調査専門探偵のホガートは絵画消失事件の調査員が行方不明になった事件を調べるためにチェコに向かう。
だがそこで、猟奇連続殺人事件に巻き込まれてしまう。
ホガートが事件のヒントを掴むのが簡単すぎじゃね?とか、犯人像がありきたりじゃね?とか思うものの、ミステリ部分の仕掛けがおおっ!っと思わせるもので、概ね満足。
脇を固めるキャラクタが生き生きしてるのもいい。
ただ頻繁にホガートをボガートに空目して、何と無くトレンチコートなイメージがつきまとう読書でありましたw
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作者の前作「夏を殺す少女」は面白かったけ悲惨だった。黒のクイーンは、雰囲気が違った。探偵の冒険もの。プラハという昔の面影が残る街を舞台に、マフィアも美人の探偵もでてくる。ご当地ものと上手くミックスされて楽しんだ。
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作者の手腕なのか訳者のテクニックなのか、さくさく進んで大変読みやすい。短いセンテンスの中に、シンプルな表現で必要最小限の情報は提示されているので、ストーリーとキャラクター両方が浅く広く読み手に浸透してくる。
前作同様、事件を通して知り合った男女のコンビが、協力して真相に迫るという展開。今回の舞台はプラハ。ひとつの事件がいくつもの枝葉に分かれていくという展開はよくあるが、本作品はその逆。誰を追って何を明らかにすべきなのかが判りやすいので、ストレスも少ない。
ストーリーは順調に進むが、都合よくできている感は否めない。手掛かりの入手や、真相に近付くプロセスにミステリ的要素はあるものの、主人公が簡単にクリアしていくので、どこか興醒めな感覚は残る。小道具の使い方などは巧いと思うので、余計に勿体無く感じる。
全体的に薄味で無難。ストーリー、キャラクター、事件の背景や舞台など、もっと掘り下げれば個性も強くなるだろうが、私はこのままでいいと思う。どっぷり浸かるわけでもなく、半身浴の心地良さで軽く読み進められるのが自分に合っているみたい。続編も読みますよー。
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ネタバレの内容なので未読の方は読まないで戴きたいのだが、幼児虐待がテーマの小説は読んでいてとても辛い。「夏を殺す少女」より前の作品であるが、テーマは全く同じだ。
ミステリーとしては良質であり、捻りもあって読みがいはあると思う。チェコという国については殆ど知識がなく、勿論行ったこともないようで、情景が想像しにくいのが難点だろうか。
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プラハの美術館が火事になり絵画が焼失した事件を追っていた同僚が行方不明になり、その調査に主人公のウィーンの保険調査専門探偵が雇われて真相をさぐる話。連続殺人事件に巻き込まれながらその犯人を推理していく過程はおもしろく読めたが、結末の真相は少々がっかりだった。個人的にはルール違反的な印象かな。しかし主人公のキャラはいいなと感じた。直接話の内容には関係のない主人公の弟や姪の存在が気になる。
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買ってから少し読んだ後、進まず、放置。
だいぶ時間が経ってしまいまして。。。
というのも、前半部分がちょっと読みづらかった。。けど、中盤から展開が早くて、一気に読んだ。
やっぱり、そのネタ。。とか、チェスは知らない。。とかあったけど、久しぶりのヨーロッパミステリーを満喫。
プラハの暗さを経験したくなった。
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プラハで起きた火災の際にすり替えられた絵画。調査に向かった調査員の失踪。調査を依頼されたボガート。プラハの暗黒街のボス・グレコとの会見。グレコのオフィスで出会った探偵イヴォンヌの調べる連続殺人事件。8人の被害者。首を切られた遺体。被害者の遺体の中に調査対象の調査員シェリンクを見つけたボガート。第一の被害者の夫・ザイッチからの依頼。チェスとの関連に気がついたボガートとイヴォンヌ。事件に使われた棋譜の正体。
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チェコのプラハが舞台のミステリ。ちょうど2週間前にプラハ観光から帰ってきたばかりだったので、行く前に知っていたら、と地団駄踏みました。
良いミステリで、ハラハラ・ドキドキさせられて面白かったのだけど、やや骨太さに欠ける印象。いろんな要素が詰め込んであって、ポイントが絞りきれていない感じというか。
それでも、元々重いストーリーなので、もしもっと書き込んであれば、辛くて読めなかったかもしれず、その点はかえって良かったのか、それとも作者の配慮か。
三部作の第一弾だそうで、主人公の輪郭がまだクリアでないところがあるが、その分、次にはどんな魅力を見せてくれるのか、今から楽しみだ。
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タイトルの「黒のクイーン」よりも、
「白のビショップは生きている」の方に痺れたのでこっちをタイトルにした方がと思った一秒後にそれじゃネタバレ極まれりだと我に返った。
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絵画中心のミステリと思って購入したので、その点では期待はずれだったが、主人公ホガートやイヴォナの人物造形がよくて楽しめた。プラハの街、絵画、映画、チェス等、もっと膨らませてもいいんじゃないのかなという魅力的な要素が淡々と詰め込まれている印象。
ホガートを主人公にしたシリーズが三部作になる予定とのことなので、続編の翻訳も期待したい。
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『夏を殺す少女』と犯人の属性が同じ・・・またそのパターン?
ちなみに、主人公とヒロインも何となく似ている。
推理をほとんどしてない。流れに沿っているだけ。
動機などもなんかこじつけっぽい。
せっかくのプラハの舞台はあまり生きていない。
面白くなくはないけど、なんかモヤモヤ。
あと、プラハの警察って本当にこんなにショボいの?
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歴史が色濃い影を落とす魅惑の街プラハ。
その街を舞台に美術や映画、チェスが絡んだ事件を追う主人公たち。
人物造形はなかなか魅力的で舞台設定はかなり好みなのだが、どれも今ひとつ中途半端な印象が拭えない。面白くない訳ではないのに、要素ひとつひとつが掘り下げ方が足りないまま無理に繋ぎ合わせた大味なエンターテイメントミステリといったところ。事件の真相も想定内で捻りはない。
3部作ということなので今後に期待したい。