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紙の本
間奏的な巻
2014/01/10 12:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:redbeni - この投稿者のレビュー一覧を見る
角川書店版からの本作品ファンです。
しばらくアナウンスが無かったためあきらめていましたが、待望の最新刊!
……しかし、開始当初のストーリーの勢いがこの巻にはあまりありません。
プランセスとヒカルが別行動をとっているのは今まで通りで良いのですが、どうにも話が拡散してしまっている印象を受けました。主要登場人物の行動は、現在の位置と状況を簡単に説明するにとどまっています。
疑問だったのが、ヒカルの扱い。
絶望から表情をなくし、ライフルを手にジャングルを徘徊するという、かなり壮絶な状況にあったようなのですが、そのくだりに割かれているページがかなり少なく、その異常な状況を説明しきれていない印象を受けました。ストーリーとしてヒカルが追い詰められる状況をきっちり描けていたなら、そこに読者が感情移入して戦争の壮絶さを味わうこともできるでしょう。しかし、この巻ではその部分は触れられていません。とにかくヒカルが修羅のようになっていて、ジャングルの中で恐ろしい体験をしたという「設定」が数ページで語られるだけです。
もちろん戦争では、恐ろしい体験をした人の性格や容姿がガラッと変わり、友人家族がその恐ろしい体験の詳細こそ聞かないものの、「なにかあったらしい」と察することはあるでしょうし、それはある意味でリアルな設定だとも考えられます。
ですが、そのリアルさを作劇上で活かせているかと言えば、はなはだ疑問です。主人公の壮絶な経験を察する友人家族にあたる登場人物は、この巻ではヤスクニ提督なのですが、主人公の壮絶な体験を察する役割として登場から間もないヤスクニ提督は力不足な感が否めませんでした。まだプランセスやおばあちゃん、三連星やライトニングあたりがヒカルの変容を察するなら、さもありなんと思えたのですが。
主人公が正気を失い、ジャングルを亡霊のようにうろつく……という、かなりショッキングな展開を導入しているにもかかわらず、その話を受け止めきれるキャラ配置ができていなかったために、私は「あー、そういう設定なのね、ハイハイ」と、物語への没入感が急速に失われてしまいました。
物語が動き出すなら次巻からでしょう。
この巻は間奏曲。
この作品を集めるなら買うべきですが、一冊の物語としては、どうしても減速感が否めませんでした。
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