紙の本
面倒だけれど深まる理解
2010/10/31 00:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりにメモをとりながら本を読んでしまった。本文中、登場する二年四組の生徒35名の異名と本名の対比が秘匿されていて、各章で小出しにされる情報を突き合せなければ、その対比が明らかにならないという、一種のパズル要素を含んでいるのだ。このため、情報をメモしつつ、対比表を完成させていった。
しかし、第6章までには、消去法も含めて、全ての登場人物の対比表が完成するので、そこからは普通の物語として楽しめる。そして、物語が怒涛の展開に突入するのも大体それ以降なので、全体構成としても、パズルパートと騒動パートに分かれていると言って良いかも知れない。
私立伯東高校の新人教師の愛川奈美は、先輩教師たちの陰謀によって、非常に個性的なメンバーばかりが集められた隔離クラスの担任を任される事になる。ありきたりな不良や不登校生徒は当然として、クラッキングや機械工作で犯罪スレスレのことをやる生徒、政治家や金持ちの娘とメイド、成績優秀だが性格が捻じ曲がっているヤツ、親から虐待されていた生徒などもいる。こんなバラバラになりそうなクラスを統率しているのが、委員長と裏ボスだ。前者は知恵と人脈によって、後者は実力によってクラスに一体感を醸成している。
そんな委員長が新学期早々クラスメイトに課したのが、交換日記だ。一冊のノートを誰かに配布し、その人物がその一日の出来事を書いて誰かに渡す。誰が書いたのか分からない様、匿名性を重視して、基本的に人物は異名で書き表わされるのだ。
そんな交換日記が始まって数日すると、クラスメイトが各々、ちょっとした出来事に巻き込まれているのが分かる。それはバラバラだとよく分からないのだけれど、日記の記述が進むにつれ、事態はつながっていき、最後は結構な大事になってしまうのだ。
そしてそんな大事件の影で、高校生らしくと言おうか、様々な恋愛事情、人間模様も明らかになっていく。
パズルとして数学的な厳密さがあるわけではないと思うし、余詰めのある詰め将棋みたいな印象も受けるが、ストーリー展開を補助する一要素として考えた場合には、大勢のキャラクターを把握するために読者はそれなりに手間をかけなければならないため、それぞれに対する理解が深まり、物語への移入を容易にするツールとして十分機能している気がする。
一ヶ月だけでこの怒涛の展開だったので、彼らに周りには今後も事件は起きるだろう。それをこれからどう描いていくかに、作者の技量が問われてくる気がする。次回は同様の手法は使えないだろうから。
今回の表紙のイラストは普通にキャラが並んでいるだけの様で、人間関係をよく表現していると思った。
ネット上に異名と本名の対比表を置いてみたので、もし興味があれば探してみてください。
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これは新鮮。読むパズルですね。難点は特質上メモがないと読みづらいところか。三馬鹿以外は中盤でどうにか予想はついたけど、何度も読み返す必要があるからなかなか進まない(笑)まぁそれがこの作品の楽しいところですけどね。
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“これは『二年四組 交換日記』だ。
やりたくもねぇし書きたくもねぇが、こうして手元にノートがある以上書かねばならぬ。書かないなどという選択をしてしまえば、我がクラスのボスは怒りもせずに俺を海の底に沈めるに違いない。
さて、愚痴はここまでにして話を進めよう。そして、正直にいおう。
掃き溜めだ。
二年全体の中から腐ったリンゴばかりを集めたクラスとしかいいようがない。それを説明するかのように俺らのクラスだけ、なぜか校舎が違う。いや、なぜか……なんていう必要もない。明らかに隔離されている。何にしろ、二年四組だけ部室棟にポツンと存在しているのだから。
そりゃ確かに学園で一、二を争う美形のモデルとマドンナが同じクラスなのは嬉しいことだが、隔離するのが当然だろうクソもいる。三馬鹿不良どもは、さっそく生粋のいじめられっ子を標的にいじめを楽しもうとしたのだが、制裁男の拳の前に吹き飛ばされてノックダウン。秀才野郎は授業中に他人の質問を横取りしまくり。アナウンサーと解説者は他人の行動を監視しまくり。ちなみに登校拒否児童は三人が三人共このクラスだ。もっとも登校拒否児童三は通算三日ほど、登校拒否児童二は新学期初日にはきていたが……。
とにかく二年四組にはこの上ない連中がそろっているわけで、そういう俺もクソの一員という自覚がある。
そんなクラスの委員長だ。普通の人間に務まるわけもないのだが、これ以上はないだろう女がこのクラスにはいた。”
すごいわ、これ。
表を用意してそれを埋めながら読まないと、少ししんどいかもしれないけど、別にそこまで難解なパズルではない。
前半部分で全員の名前はわかるから、後半部分は思いっきり話の中身に専念できる。
誰が誰なのかわかってから序章を読むのも結構楽しい。
何より、容姿・異名・本名がとてもぴったりすぎ。あと、そのため呑み込み易い。
全三十五人+αβ…を見事に操りきってる。
“本当にこのクラスの面々はどうかしている。”
いやはやまったくそのとおり。
面白かったー。
すごいよこのクラス。
“放課後。
佐倉澪さんが一冊のノートを持ってきてくれた。何かしら?と思ったら、『交換日記』と書かれている。
今日はそれを一日かけて読んだわけなのだけど……、あの子達は、一体何をしていたのだろう……。
暴走族?サギ集団?ロシアの諜報機関の内紛?
信じられない言葉が並んでいる。
生徒の生の言葉を聞けるのはすごく嬉しいし、あぁ、そういう関係なんだ、そういう関係になったんだ……と思う部分もあるけれど、問題点のほうがはるかに多い。
どうして、私はこのクラスの担任なのだろう。
誰か代わって欲しい。”
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楽しかった!こんな感じの作品に出会いたいなとか思ってたから、本当に嬉しい!好き嫌い別れるだろうけど、自分は好きな作品展でした。
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けっこう楽しめました。でもパズル要素は簡単だしあんまりなくてもよかったかな
話自体はクラスのそれぞれがいいキャラしてておもしろかった
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読み終わって思うのは、
この小説のメインのパズル要素は
35人の名前当てじゃなくて
最終章に入る前に最後の黒塗りの中身に
気づけるかなんじゃないかと。
読んでる最中は半分もいかないうちに
全員の名前が分かっちゃうし、
後半は面白いけど超展開だしで
いろいろ突っ込みどころ多いなーとか思ってたけど、
ラストで、そう来るかって感じで
自分のほうが甘かったなと。
一言付け加えるなら、
たまに主語が誰なのか2行先くらいまで読まないと
分かりにくい記述があるのが少々残念。
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タイトル通り、交換日記という形で展開していく物語です
クラスメイトの名前とあだ名を繋げるという
パズル要素を含んでいて珍しい作品と言えるでしょう
ギミックの秀逸さに目がいってしまいますが、
読み物としても平均以上の面白さがあり
ゆるっとした感じで最後まで楽しむ事ができます
まずはさらっと読んで物語を味わった後、
時間が余ればギミックのパズルに挑戦する
というのが正しい楽しみ方のような気がします
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ひとつ後悔したのは、ちょっとずつ読むんじゃなくて一気に読んでしまうべきだったなということです。
これに関しては、やっぱりメモしながら読むのが適切ですね。記憶力の弱い私では案の定、誰が誰だっけなとなってしまいました。
生徒はどいつもこいつもぶっとんでいて、いつのまにやら規模のデカい騒動に巻き込まれ(巻き込んで、でしょうか)といった感じです。
この荒唐無稽っぷりは、なんともラノベらしくていいんじゃないでしょうか。
個人的な推しメンはやはりお嬢です。
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個性溢れすぎる総勢35名のクラスメイトの本名を探す、パズルのような変わったライトノベル。たまにはこんなのあってもいいとは思うが、パズルとして楽しむにはハツラツ娘の存在が胸に刺さった。眩しい程の明るさ故に、普通のクラスだと「ウザイ」と思われ、生きる場所を選ばねばならない。悪気があるわけじゃないのに、本人に落ち度はないのに、等身大で普通に生きられる場所が限られるというのは、辛い。ギャグとして楽しむにはハツラツ娘に身を入れすぎた。
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問題児ばかりが集まった二年四組。
そして何故か始まる交換日記。
中身は、本名とあだ名の入り乱れ。
一体、誰がどのあだ名なのか、が本題?w
気にならないからいいや、で読み始めても
徐々に誰が誰なのか、気になってきます。
35人分のヒントがあちらこちらにちらばっていて
あれがこれで…と、脳内がパンクしてきて
結局メモ取りが始まりますので…。
逆らわず、メモを片手に読み進めた方がいいかと思います。
結局かなり最後まで、いい具合に全員の名前が埋まりません。
埋まった瞬間、物語そっちのけで、やった! と思う事かと。
話としては単純(?)かと思われますが。
ちょこっとラブあり(笑)
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クラス35人がそれぞれ個性的で書き分けが凄い作品です。
名前とあだ名の一致をそれぞれ見つけながら読むのが結構大変…
だけどなんとか全員一致しました!!いぇい!
でも本当おもしろいです。
あと関係ないんですけど『肝心要』という字がよく出てくるなぁと思いました♪本当関係ないですねww
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パズル感覚で楽しく読めました。
クラスメイト一人一人のキャラが立ってて
良かったです。
表紙もよかったし、、、
続編とかも読みたいです。
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変わり者ばかりが集められたクラスのメンバー達が起こす騒動を、パズル要素を含めて描く。本名と異名の対比は自分で見つけなくてはなりません。これが結構面白い。
久しぶりにメモをとりながら本を読んでしまった。本文中、登場する二年四組の生徒35名の異名と本名の対比が秘匿されていて、各章で小出しにされる情報を突き合せなければ、その対比が明らかにならないという、一種のパズル要素を含んでいるのだ。このため、情報をメモしつつ、対比表を完成させていった。
しかし、第6章までには、消去法も含めて、全ての登場人物の対比表が完成するので、そこからは普通の物語として楽しめる。そして、物語が怒涛の展開に突入するのも大体それ以降なので、全体構成としても、パズルパートと騒動パートに分かれていると言って良いかも知れない。
私立伯東高校の新人教師の愛川奈美は、先輩教師たちの陰謀によって、非常に個性的なメンバーばかりが集められた隔離クラスの担任を任される事になる。ありきたりな不良や不登校生徒は当然として、クラッキングや機械工作で犯罪スレスレのことをやる生徒、政治家や金持ちの娘とメイド、成績優秀だが性格が捻じ曲がっているヤツ、親から虐待されていた生徒などもいる。こんなバラバラになりそうなクラスを統率しているのが、委員長と裏ボスだ。前者は知恵と人脈によって、後者は実力によってクラスに一体感を醸成している。
そんな委員長が新学期早々クラスメイトに課したのが、交換日記だ。一冊のノートを誰かに配布し、その人物がその一日の出来事を書いて誰かに渡す。誰が書いたのか分からない様、匿名性を重視して、基本的に人物は異名で書き表わされるのだ。
そんな交換日記が始まって数日すると、クラスメイトが各々、ちょっとした出来事に巻き込まれているのが分かる。それはバラバラだとよく分からないのだけれど、日記の記述が進むにつれ、事態はつながっていき、最後は結構な大事になってしまうのだ。
そしてそんな大事件の影で、高校生らしくと言おうか、様々な恋愛事情、人間模様も明らかになっていく。
パズルとして数学的な厳密さがあるわけではないと思うし、余詰めのある詰め将棋みたいな印象も受けるが、ストーリー展開を補助する一要素として考えた場合には、大勢のキャラクターを把握するために読者はそれなりに手間をかけなければならないため、それぞれに対する理解が深まり、物語への移入を容易にするツールとして十分機能している気がする。
一ヶ月だけでこの怒涛の展開だったので、彼らに周りには今後も事件は起きるだろう。それをこれからどう描いていくかに、作者の技量が問われてくる気がする。次回は同様の手法は使えないだろうから。
今回の表紙のイラストは普通にキャラが並んでいるだけの様で、人間関係をよく表現していると思った。
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三十五人の腐ったりんごが集められたクラスで始まった交換日記.
最初の記入者がクラスメイトを記号化したんで
その流れに乗って記号で書かれるクラスメイトたち.
時々出てくる名前から誰がどれなのかを考えながら読むと楽しい.
パズル的な物語ですね.
なかなか良かったよ.
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2010年10月当時の日記転載
結論から言うとかなり面白かったです。
人数が多い分、テンプレで個性的なキャラを極端にして採用してますが、それくらいじゃないとこの人数じゃキャラ立ちしませんよねw
でも、先日Y氏が挫折してましたがその理由が解りました。
登場人物35人の名前が、異名だけ表記されて本名が特定されてないんですね。その本名と異名を一致させながら読んでいくシステムです。
何が問題って、本名が解らないと読みづらいんですよ。3章くらいまでは記憶力駆使して頑張ったんですが、結局名簿栞作って名前書込みながら読んで行きました。
名前を書き出す作業は面倒臭いけども、やってみるとなかなか楽しかったですw
でも、読者にそんな手間をかけさせるのは個人的にどーかと思いますね。
本名を伏せる事によってネタバレに繋がるギミックがあったりするなら話は別だけども、そんな大きなギミックはありませんでしたし。
…いや、ちょっとはあるのかな?
でもまあ名前が解ってたから面白くなくなるってことはないかな。
なので下に特定した名前をうpしておきますwおそらく100%だとは思いますが、もしかしたら間違いがあるかも…。メインキャラは大丈夫だと思うけどね。
これで栞を造って読めばかなり読みやすいと思いますよ?
もちろん自分で特定しながら読んでも、記憶力の限界に挑んでもいいと思いますけどねえww
だいたい10章までには全員特定できるかな?
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・御三家壱
サムライ 吉田智之
制裁男 津村和義
ハツラツ娘 遠藤香奈
いじめられっ子 柳井秀樹
万能者 中条大輔
スポ淡 土谷仁
幸薄男 西隆
虐待男 久留米良太
ストーカー 五十嵐春香
マスコット 山吹一美
・御三家弐
お嬢 神埼陽子
メイド 氷川詩織
モデル 飯塚美奈
マドンナ 大内桃子
才女 徳山茜
シャレ 島涼子
口軽女 森野由美子
アダルト 藤田ようこ
登校拒否三 中島美由紀
ハンサム 仙崎良
インドア男 田中秀行
・御三家参
腹黒 渡辺卓也
秀才 五条信也
アナウンサー 相馬冬美
解説者 相沢敬之助
ハッカー 吉井亮
機械女 二階堂晴枝
登校拒否一 田崎健
三馬鹿一 青山一志
三馬鹿二 柿沼新二郎
三馬鹿三 長谷川信三郎
・中立
委員長 水岡透
副委員長 高橋亮治
中立娘 佐倉澪
登校拒否二 橘みなも