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[ 内容 ]
食欲をそそるいい匂い、果実の爽やかな香り。
食べ物は匂いがあるから「おいしさ」も引き立つ。
いい香りは心地良さや精神の安定につながる。
いやなにおいがすれば逃げ出したくなる。
しかし、香りを感じる脳のメカニズムは、長らく分からなかった。
なにしろ、数十万種類もの香り分子を脳はいったいどのようにして感じるというのか、大きな壁が科学者の前に立ちふさがっていた。
本書は、この謎を解き明かしてゆく近年の驚きと新発見に満ちたドラマを再現する。
[ 目次 ]
第1章 日常生活での嗅覚の役割
第2章 におい分子受容体の発見
第3章 脳へのにおい情報の入口
第4章 脳のなかのにおい地図
第5章 においを伝える神経回路
第6章 においを評価する
第7章 においと意欲と情動
第8章 嗅覚研究への期待
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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紅茶に浸したマドレーヌを口にしたとたん、遠い昔の子供の頃を思い出すとは、プルーストの有名な一節です。香りをきっかけに遠い日の出来事や悲しかった、あるいは楽しかった過去の状況をありありと思い出すことはよくあること。
鼻をつまんで食べ物を咀嚼すると、食べ物がずいぶんと味気なくなります。これはレトロネーザル経路を介しての香りのモニターができなくなるため。レトロネーザル経路を介しての香りの情報が脳が口の中にある食べ物を評価するうえで大きな役割を果たしていることがわかる。
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アロマの関連で読みました。
本書の内容は特にアロマに直接関係するわけではなく、嗅覚器官の働きについてです。
本書の「おわりに」に "分かりやすくするために内容のレベルを下げることは、しませんでした" とあるように、非常に科学的な内容です。また、論旨展開についても科学的な考え方がスタンスとしてあるように思います。そのため、話がぶっ飛んだりせず、素人が理論の穴を突きたくなるような書籍と違ってよく納得できる内容でした。
それでも一般の方に読めるように、ということもあり、事前知識がなくても読めました。
におい分子の名前や、各器官のこまごまとしたところを覚えたいのでなければ、「そういうのがあるんだな」といった感じでサクサク読み進めた方が読みやすいと思います。
内容について少し。
タイトルの「におい地図」というのが、脳内でのマッピングといった程度の曖昧な内容かと思って読みましたが、実際は「嗅球」という器官のどの部位が反応するのか、という意味での「地図」でした。
個人的には、においを分類する方法について、考え方の層が一つ増えた感じです。
・ニンジンの匂いなど 物での分類
・におい物質の分類(○○ピネン、△△リモネン、××アルコール など)
・嗅球上の分布(におい地図)
におい地図から次(脳内での認識)ではまた、嗅皮質ニューロンというところで、「ニンジンの匂い」といった単位に戻され、脳としては結局「ニンジン」として認識することになるので、一般的に使えるのは2番目の「におい物質の分類」がいいところでしょう。