投稿元:
レビューを見る
図書館の本棚で、カウンセリングという言葉に引かれて手に取った。1995年に出版された本の改訂版ということだが、心の中とその表現についてとても分かりやすく書かれている。
女性が陥りやすい思考パターンを、「不安」をキーワードに読み解き、そこから抜け出す為の、方法や考え方を具体的に提示している。
難しい心理の学説や論文などにはない、いたって具体的な実例を基にした話し振りは、分かりやすく納得できる。
著者は長年ドメスティックバイオレンスに苦しむ女性達のサポートを長くされてきたという経歴も説得力がある。
あとがきに書かれていた「水平の暴力」という言葉が心に残った。抑圧者と被抑圧者、支配者と従属者と言う上下関係がある社会で、抑圧されている側の人間同士でふるまわれる、様々な心理的な暴力を意味する。長く男性の支配構造が続いてきた社会の中で、女性同志が競わされ、自分や相手を傷つける構造は今日でも残っている。
「おんなだから」と自らの行動に枠をはめ、「おんなのくせに」と言う言葉で相手の行動を非難する。この構造から抜け出すには、自分を信じて、自分の中から湧き出てくる力で自分を支え、コントロールすることしかありません。そして、失敗や非難も自らのものとして受け入れる強さも必要です。
そういうコントロールを自らの中に見いだしたいと考えている方に、お勧めです。