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大河ドラマ『江』にちなんで、戦国の姫君たちの本が多く書店に出るようになりました。
表紙のイラストに惹かれましたが、中には絵はありません。
ただ、右ページが文章、左ページが図式という形式になっており、わかりやすく理解しやすいものとなっています。
「女性は信憑性の高い資料が少なく、後世の創作を疑われるものも多い」と断りを入れながらも、あえてその伝承性を取り、真偽は別にして、紹介したとのこと。
今となっては、立証しきれない過去も多いので、本当のことばかりではないと割り切って読めば、楽しく知識が得られます。
前田利家と妻のまつは、幸せなおしどり夫婦だという印象を持っていましたが、利家亡き後、お家を守るために、まつは江戸で人質生活15年送ることとなったとは知りませんでした。
身内が病気の時にも帰郷できなかったとは、本当に囚われの人質のようです。
でも、まつの尽力のおかげで、前田家は、秀吉亡き後も、家康によるお家断絶にはあわずに済んだのでしょう。
明智光秀の妻熙子(ひろこ)は、結婚前に疱瘡をわずらい、あばた面となったため、親は妹を身代わりに嫁にしようとしたが、光秀は会ったこともないのに替え玉と気付き、あばたに構わず熙子を娶ったとのこと。
明智家に金が無い時、彼女はたびたび自らの髪を売って食事代や薬、生活費などを用意したとのこと。
そして、光秀は、修正側室を持たなかったとのことで、いい夫婦だったんだなと思います。
二人の子供の一人に玉子(ガラシャ夫人)がおり、ガラシャ以外は、明智一族は本能寺の変後、坂本城で自刃したとのことで、歴史の悲しさを思いました。
なかなか気になる家系です。
今でも合戦時の鎧が残る、姫大将といわれた瀬戸内の鶴姫は、武将の家に生まれたわけではなく、宮司の娘だったそうです。
16歳にして戦に出て、今では伝説化されています。
また、秀吉の側室だった香の前は、賭け碁の賞品として政宗の家臣、茂庭綱元の妻となり、一女をもうけた後、政宗のお手つきとなり、男子を産んだとのこと。
晩年は御家騒動に巻き込まれたそうで、男の身勝手で何度も人生を変えられた、悲劇のヒロインです。
家康の側室には武田家出身者が多いのは、家康は、かつて敗れたことのある信玄を尊敬しており、滅亡後には旧臣を多く引き入れていることもあるのではないかと書かれていました。
いろいろな女性が紹介されており、知らない人がほとんどでした。
それでも、資料の少ない女性ながら、こうして後世に語り継がれているヒロインたちもたくさんいるんですね。
女性の側面から戦国武将、戦国時代を見られる一冊となっています。