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紙の本
あっさりとしていながら深みがある
2017/04/09 08:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在、絶版(取り扱っていない)とのことで、とても勿体ないな~と思えるぐらい、面白い小説でした。
無人島を数人で開拓していく物語は、たとえば『15少年漂流記』や『神秘の島』、『ロビンソン・クルーソーの冒険』などがありますが…
この小説は、一風変わっていて、自分たちから無人島に移り住み、そしてそこで「王国」を作ろうとする。
日本から独立して、王国をつくる7人の物語は、政治の勉強にもなりましたし、「社会をつくるとはどういうことか」「権力を持つとはどういうことか」、そして「リーダーとなって統率していくことの難しさ」を面白おかしく、そして真剣に語ってくれます。
マスコミが情報を捻じ曲げていく様子もリアリティがあります。
「国」の難しさ、「人との関わり」の難しさ、「想いを伝えること」の難しさなどなど、いろいろなことを感じさせてくれる、さらっとしていながらも深い小説でした。
ハラハラ…4
うきうき…3
キュンキュン…2
うるうる…2
ほのぼの…3
ふむふむ…5
紙の本
自分たちの居場所を作る
2015/09/30 14:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
中堅リゾート会社が所有する小笠原諸島他人島は、日本国に対し独立を宣言した。彼らが掲げるのは、誰かの居場所となれる国だ。日本に生きづらくなった人は誰でも、国民となる権利がある。総理大臣は柳川登、17歳。それを支えるのは元アイドルの外務大臣である野原梢、考える前に行動するタイプの国土交通大臣の原田渉、格闘タイプの防衛大臣の酒匂信子、地権者である食料大臣の三鬼恵悟、医師免許をはく奪された医療大臣の須賀清史、元営業マンの内務大臣の目黒洋一だ。
もちろん、日本からの独立など簡単に受け入れられるわけもない。マスコミが食いつき始めるものの、日本政府からは半ば無視され、環境保護団体の急先鋒が糾弾に来たり、国民の増加に伴い利権を嗅ぎつけてくる業者がいたり、自然との闘いが繰り広げられたりする。
そして盛り上がった機運は、少しのきっかけで叩き落とされる。わずか7人で始めた国の興亡記だ。
なぜ彼らがそれをなすにいたったのか、人間サイドから描くというよりも、現象サイドから描いている感じがして、いまひとつ腑に落ちない。彼ら彼女らはそれぞれ思い悩んでここに至ったわけだが、それが言葉で説明されるだけで、描いているという感じではないのだ。結局、一巻で全てを描き切るには、あまりにも要素を盛り込み過ぎだった。
まあ要素はたくさんあっても良いかもしれないが、その中で重点的に描く要素を決め、そこだけにスポットを当てて描いた方が、まだ盛り上がった気がする。それぞれにちょっとずつ触れただけなので、今ひとつ消化不良の感が否めない。
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