紙の本
気分悪くなるが、一気読み。
2014/07/13 23:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BACO - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて、とても胸クソが悪くなった。
息が詰まり、吐き気がするほど気分が悪くなる(少し大袈裟か?)。
他の読者投稿を拝見しても似たような所感があり、自分だけではなかったことにちょっと安堵を得られた。
作品自体の批判ではなく、題材が強烈すぎた。
グロテスクということではなく、まともな人なら心理的にダメージを受けるのではないか...?
そんな気分にされながらも続きを知りたくなり、一気読みとなった。
少年犯罪、想像もつかない犯罪などが盛り込まれていたが、なんとなくノンフィクション?とも思えるくらいのリアリティーさも感じられた。
何故か自分の身内、知り合いでこんなことが起きたら...、と想像してしまう。
作品途中で心休まる休憩ポイント、ラストはスカッと爽快に解決、には期待しないで頂きたい。
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読みながらどうしようもなく胸がふさがり、息が苦しくなった。目の前が暗くなり、気持ちが暗くなった。どうして、どうしてこうなってしまうのだ、と読み進めるのが辛くなる。
主人公にかろうじて平穏な日々が訪れたと思ったら、それもまた木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。
虐待などの理不尽な暴力にさらされ続けると、人は無気力を学ぶ。圭輔の目線で描かれているからこそ、そうなってしまう過程もまるで我が事のように心に染み入ってくるが、外部からそれを理解することは難しいだろうということもまたよくわかる。
実際、この「達也」という人物は決して自分の手を汚さない。言った言わないは常に水掛け論となるし、場の空気をある特定の方向に仕向けることなど、あとから検証することなど不可能なのだから。
もっとも恐ろしいことは、達也や道子のような人間が突然現れるわけではない、ということだ。そもそもの素質もあるだろうが、それだけで怪物のような人間になるわけではない。
ラストでわずかに読者の溜飲を下げるかのような出来事が起きるが、それですべて解決というほど簡単なものでもないことも同時に示されていて、改めて「人間の本質」について考えさせられる。
本当に重苦しく辛い物語であるが、それでも読後には一筋の希望の光が見えてほっとする。
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読んでいる間、憎悪の炎で焼き尽くされそうだった、自分の心から吹き出す憎しみの炎に。
自分がこんなにも人を憎いと思うなんて…
可哀想とか、なんとかしてあげたいとか、そんな表面上の思いはすぐに消えてしまう、自分の心を必死でコントロールしながら読み続ける、苦しくて苦しくて苦しくて。なぜ、こんな目に遭わされねばならないのだ、なぜ、なぜ。
「正義は必ず勝つ」なんて思うほど若くはないのだけど、それでも心のどこかで信じたいと思う、このまま終わるわけがない、終わらせたくない、終わらないでくれ、正義はどこにある!と叫びながら。
この世には、ヒトの形をした悪魔がいるのだ、これは本の中の話だけではない、とふと背筋が寒くなった。
憎悪に憎悪で対するのではなく、ヒトとしての道を守ることで戦い続ける主人公にひれ伏しそうになりました。 勇気を与えてくれる一冊
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+++
平凡な家庭の小学生・圭輔は、ある事故をきっかけに遠縁の同級生・達也と暮らすことになり、一転、不幸な境遇に陥る。寿人という友人を得て苦境を脱し、長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込んだ“私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。かつての友情に免じて、私の弁護をしていただけないでしょうか”。裁判を弄ぶ達也、追いつめられた圭輔。事件を調べ始めた寿人は、証言の意外な綻びを見つけ、巧妙に仕組まれた罠をときほどいてゆくが―。『教室に雨は降らない』の気鋭による、クライムサスペンス!
+++
圭輔の子ども時代の物語である第一部と、長じて弁護士になってからの第二部からなる物語である。
平凡だが幸せな家庭で育った圭輔だが、遠縁だという道子と達也という親子がときどき訪ねてくるのが何となく厭な気分だった。だが次第に親子は圭輔の家庭に入り込み、ある日取り返しのつかないことが起こってしまう。火事で両親を失った圭輔は道子の家で暮らすことになり、みじめな日々が始まるのである。そんな日々のなかで、達也の常識では考えられない性向が嫌でも目に付くようになるが、逃れられないでいる圭輔だった。そんな中唯一救いだったのは、同級生の寿人であり、救い出してくれたのは、彼のおじさん夫妻だった。
弁護士になった圭輔に達也が名指しで弁護を依頼してくるまでが、圭輔にとっていちばんしあわせだったのではないだろうか。達也と再会してから、また厭な思いばかりするようになる圭輔が可哀想になってくる。だが、寿人と協力し合い、狡猾な達也のやり口を暴いたときは、胸のすく思いだったが、このままで終わらせるような達也だろうか、と不安にもなる。まったくこの世にこんなに厭な奴がいるのだろうかと思わせるほどの達也の存在が、これ以上圭輔を苦しめることがなければいいと祈るような一冊である。
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気持ち悪い、嫌だ、吐き気がする。こんなことを思いながら読んだ本は初めてかも。最悪。でも、最高だった。こんな薄さなのにこんなにも厚みのある内容。感服。
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悪の怪物。気分が悪くなる話し。こんなのがいたら嫌だな…
2014.5.6
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おもしろいってなんだ?と最近少し話題に出て、嫌な気分になるけど面白い小説とか映画とかあるよなーと。
まさにこれだわ。
良心を持たない人は割とたくさんいる。こわ。
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井岡さんの新作。両親の死により代理人になった母親の従姉妹とその義理の息子により、虐げられた生活を送っていた主人公。虐待によって思考を停止させていた主人公は、唯一の楽しみの読書をきっかけに親友をえる。親友の助けにより、高校卒業とともに、代理人から逃れ弁護士になった主人公に、再び親子が理不尽な要求で接近する。卑劣な手段で相手を蹂躙することを楽しむ性格。最近の嫌な事件でもこんなモンスターがあらわれるけど、どうしてそんな人間が作られるのか?
前半はあんまりにも主人公がかわいそうで、理不尽さに気が滅入るけど、後半は同じ弁護士事務所の美人先輩弁護士さんとの関係や、親友と共に親子を追い詰めて行く展開にどんどん引き込まれていった。
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前半の主人公の不幸と、全編にわたる犯人の狡猾さが酷すぎて、
読んでいて不快で途中でやめようかと思いました。
後半、ぐんぐん「すかっ」とする展開になるかと思いきや、
最後の最後にやっと、という感じで、
私はこの手の小説は苦手だなーというのが、読み終わったところでの感想です。
小説としての面白さは★4かもしれないのですが。
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ごく平凡で幸せな生活を送っていたはずの主人公。だが親戚の少年・達也との出会いから、彼の人生は転落してしまう。その前半のストーリーはあまりに過酷で、読むのがつらいほど。だけど続きが気になって、どんどん読み進んでしまいます。
そして後半。苦境を脱して弁護士になった主人公に弁護依頼をしたのは、達也。とある事情から依頼を断れない主人公と、彼を弄ぶような態度をとる達也。事件の真相、そして達也の目的はなんなのか。圧倒的なリーダビリティで一気読みでした。
主人公の頑張る姿と彼を支える友人の姿が素敵で、応援したくなるのですが。達也の悪辣っぷりもこれはこれでまた魅力的かも。圧倒的な「悪」であるがゆえに、タイトルでもある「代償」がどう絡んでくるのか、読みどころです。
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この社会に悪人はいる。そして、そいつは、自分の行っていることが、悪だと認識すらしていないかもしれない。
平凡なひとりの小学生が、そいつに狙われた。そして、子供時代をめちゃめちゃに破壊された。
大人になってそいつに再会し、また人生をめちゃめちゃに破壊されかけたが、ぎりぎりのところで踏みとどまって戦った話。
日本の社会にも犯罪者はいる。
報道されている事件をみるだけでも、とても多くの人間を殺めて、のうのうと暮らし、そして最後に自殺したりする異常な(?)犯罪者。それは、ひとりだけ、一回きりではなく、何度もそんな報道が繰り返されていく。
一部の平和主義者は言う。すべての武器を捨てて、相手の善意を信じるべきだと。
私は、そうは思わない。悪人はいる。そして、彼は自分が悪をなしていることすら認識していないかもしれないから。
悪が自分に向けられない限りそれを悪と認識しないから、善意のまま悪を行うものがいる。
そんなことを思いながら、本書を読んだ。
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.8.29読了。悪の申し子にみいられた平凡な少年奥山圭輔。母親のまたいとこと称する道子に連れられた達也が家に入り込んでくるうちに家に不穏な雰囲気が漂い、何不自由なく育った圭輔の家庭が崩壊していく。何もかも失いながらも弁護士となった圭輔の前に、強盗殺人の被告となった達也が弁護を頼んでくる。嫌悪しながらも達也にあやつられ、また、破滅させられそうになる圭輔。
前半、圭輔の少年時代がかわいそうでたまらず、達也、道子親子にどうしようもなく嫌悪感を抱きます。後半はいったいどう展開していくのか目を離すことができず、のめり込んで読了。よかったです。
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あああああ!
こん男のこづらにくさっ!!
と、方言全開で叫びたくなるような
実に実に不愉快なキャラクター・達也。
だけどねぇ
こんな男って、リアルで出会うとちょっと魅力的なんだよねぇ。
始末が悪いよねぇ。(苦笑
そんな私は道子さんを嗤えないわ。
道子さんサイドに立った読み方なら
美しくもなく、歪んじゃいるけど
これは恋愛物語だもの。(…なのか?ぅむむ。)
ラストはしょうがないよね。
因果は巡る糸車 って昔聞いた通り。
で、なにか困った事態に陥っても
なるべく圭輔には依頼したくないわぁ。
なにこのお間抜け加減。
あんな辛い時代を過ごしておきながら、これだもの。
不憫過ぎるわ!
今後は幸せに尻に敷かれとくが良いさ。(笑。
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設定とか、あらすじには惹かれるものはあり、読んでいてもそれなりに引き込まれる内容なんだけど、もう一歩かな。細部がイマイチなのと、終盤が尻すぼみというか、力尽きたというか。暇つぶしには十分でした。
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冒頭
───
七月が過ぎても世界は終わらなかった。
「なんだよ、二学期もあんのかよ」とクラスの誰かがぼやいた。
騒いでいた大人たちは、照れ隠しなのか、それとも心のどこかでやっぱり世界の破滅を願っているのか、こんどはコンピューターが狂って西暦2000年の元旦に文明は崩壊すると唱えはじめた。
証券取引所のコンピューターが煙を噴き上げたり、飛んでいる飛行機が片っ端から落ちたりすることもなく、普通に年があけ二十世紀最後の年になった。
───
「本の雑誌」か「ダ・ヴィンチ」で推奨されていた作品。
小学生の圭輔には達也という遠縁の同い年の男子がいた。
達也が啓介の家に遊びに来ていた時、圭輔の家は火事になり、両親が死んでしまう。
その後、圭輔は達也の家に引きとられ生活をすることになるのだが、圭輔はそこで酷い扱いを受けるとともに、達也の怖さを知ることになる。
その圭輔の救いは、図書室で出会った寿人という無二の親友を得たことだった。
寿人と知り合いになったことで、圭輔は地獄のような生活から逃れることができ、のちに弁護士にまでなる。
その圭輔の所属する弁護士事務所に突然飛び込んで来た弁護の依頼。
それは、殺人で起訴された達也からのものだった------。
最初から中盤までは全く胸糞の悪くなるような話で、怒りをどこにぶつけたらよいのか、耐えられなくなるような思いだった。
小学生でこんな悪ガキがいたら、少年法など不必要。
一刀両断、今すぐにでも死刑にしてやりたいほどの小僧だ。
こんな悪ガキの小学生、現実にいるのかなあ?
いや、いるかもしれないな、今の時代なら------。
それが十数年後に再び現れ、自分の弁護をしてくれという。
なんで弁護を引き受けるんだよ、圭輔!!と叫びたいほどだった。
もちろん、小説上の伏線としてここで引き受けないとあとの話が続かなくなるからだけどさ。
圭輔には自分自身、知られたくない後悔と秘密があったのだ。
でも、それは考え過ぎじゃないの? 圭輔の意気地なし、といらつきながら読み進めた。
ずっと気分の悪いまま読み進めたが、タイトルが「代償」なのだから、最後は報いが来て、スカッとしたおわりになるんだろうと期待したのだが、全くそうじゃなかった。
これじゃ、あかんじゃないの。
後遺症が残ったって、有罪になったって、無期懲役や死刑には持っていけないだろう。
ということは、圭輔も寿人も、今後安閑としてられないということじゃないの?
達也がこのままで終わらせるはずないじゃん。これほどの極悪人が。
君たちの命が再び狙われるに決まっているじゃないか。
ああ、気分が悪い終わり方だ。
伊岡さん、これじゃあ「代償」にならないよ------。